【鈴木友里子、ベルリン=松井健、ブリュッセル=野島淳】太陽光や風力発電など再生可能エネルギーを普及させる「固定価格買い取り制度」をめぐり、ドイツと欧州連合(EU)が対立している。メルケル政権は「脱原発」を選び、再生エネの拡大と強い経済の両立をめざすが、思わぬ横やりが入った形だ。独などを参考に制度を導入した日本もひとごとではない。 風力や太陽光による電気は、市場価格より割高な固定価格で買い取られる。それに必要な費用は、「賦課金」として電気料金に上乗せされる。問題となっているのは、この賦課金の「企業優遇制度」だ。再生可能エネが拡大するにつれ、賦課金額も上昇。一般家庭では現在、1キロワット時あたり5・28セント(1セント=100分の1ユーロ)で、来年からは6・24セントに上がる。 ただ、鉄鋼や化学産業など電気を多く使う企業は賦課金が割り引かれる。強いドイツ経済を支える産業が、割高な電気料金を払う