1967年4月下旬、私は徳山ソーダの依頼を受け、同社が米国のガルフ・オイルから技術を導入する契約の交渉のため同社の担当者と共にテキサス州ヒューストンのガルフ・オイル本社に出張していました。交渉は順調に進んで主要な事項については悉く合意に達し、僅かに残ったいくつかの事項については翌朝の会議で片付けようということになり、ホテルに戻ったその夕刻、ニューヨークの未知の人物から電話がかかってきました。Hilton InternationalのGeneral Counselのシドニー・ウィルナーと名乗ったその人物は、差し迫った口ぶりですぐに東京へ戻って欲しいと言いましたので、驚いた私が訳を尋ねると、千代田区永田町の東京ヒルトンホテル(現在のキャピトル東急)はその所有者東急電鉄とのマネージメント契約に基づきHilton Internationalがマネージしてきたが、その契約を東急が一方的に解除してホテ
少年事件を考える討論会が、千葉市の千葉家裁であった。非行に手を染めた少年たちと向き合う家裁の裁判官や調査官たちが、最近の事件の傾向などを発表し、意見を交わした。 千葉家裁は、二〇〇五~一四年まで十年間の全国の少年事件に関する統計を分析し、発表。少年事件の数は全体で減る一方、わいせつ事件が一四年は六百二件で〇五年より約二百件増えた。盗撮や痴漢、公然わいせつの増加ぶりも目立つという。大野恵美・主任家裁調査官は「インターネットの発達で犯行のノウハウが得られ、『みんなやっている』と間違った認識から事件を起こすことがある」と指摘した。 詐欺事件は一四年に千五百三十一件で、〇五年と比べ約五十件増えた。千葉家裁の管内も多く、少年はニセ電話詐欺で受け子などを担い、背後に暴力団員がいて逆らえない環境で犯行に関わる場合もある。「被害者の心情を考えられるようになることが、再び非行に走らないようになるために重要だ
■暴力団の歴史「暴力団」という言葉は、法律上は、「その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。)が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体」(暴力団対策法第2条第3号)と定義されていますが、一般には、いわゆるヤクザ(博徒・ばくと)集団と同様の意味で使われてきました。 断指(平成5年版警察白書より)ヤクザ組織自体は歴史的には古く、江戸時代後期にまで遡ることができます。現代でも、構成員相互で親分・子分・兄弟分の縁(擬制血縁関係)を結び、江戸時代の任侠道やヤクザ道などを標榜している団体も多く、断指や入れ墨、仁義など裏社会にのみ通用する独特の副次文化が残っており、しかもそれらの一部がいわば表の文化の一部をなしている場合もあります(日常生活で普通に「親分・子分」や「仁義」といった言葉が使用されることがあります)。暴力団のこのような特殊な精神構造からも、その問題
■ 衝撃の判決AV違約金判決を受けて、裁判所もようやく女性の人権について尊重した判断をするようになってきたかな、なんて思っていた今日この頃、同じ東京地裁で、アイドルの交際禁止を正当化し、アイドルに賠償を命ずる判決が出たという。 「交際禁止」違反、元アイドルに賠償命じる判決 東京地裁であった9月18日の判決によると、当時15歳だった少女は2013年3月、マネジメント会社と専属契約を結び、「異性との交際禁止」などの規約を告げられた。7月に6人組のグループとしてデビュー。ライブやグッズ販売などで220万円を売り上げたが、10月に男性と映った写真が流出して交際が発覚。会社はグループを解散した。 判決で児島章朋裁判官は、アイドルとは芸能プロダクションが初期投資をして媒体に露出させ、人気を上昇させてチケットやグッズなどの売り上げを伸ばし、投資を回収するビジネスモデルと位置付けた。 その上でアイドルであ
9月16日、安保法制は地方公聴会が行われ、与党は特別委員会で締めくくりの質疑を行おうとする中、参議院議員会館前で、法学や政治学などの研究者で作る「立憲デモクラシーの会」がリレートークを行った。13人の学者が、法案や政府の進め方を批判しつつ、一連の運動は可決後も終わらず、賛成議員の落選運動や違憲訴訟、さらには選挙以外にも市民が政治に参加する文化を創っていくなど、これからに向けての思いや考えを口々に語った。多くの人々が、時折小雨が降る中、話に聞き入った。 それぞれの発言要旨は次の通り。 樋口陽一(東京大学名誉教授・憲法学)二つ話をします。 第一に、議員諸公への呼びかけです。日本の命運を左右するような法案、それも日本の国会に提出する前に、外国の議会で約束してきた法案を、こんな状態で通してよろしいのか。みなさん一人ひとりが歴史に対する責任を持っている。一人ひとりの考えに忠実に、組織も政党も派閥も離
憲法判例百選の執筆者198人にアンケート調査を行い、151人の方々から返信をいただきました。 (調査期間6月6日~12日 他界した人や辞退した人などを除き、アンケート票を送付) 今回の安全保障法制についてのご意見を、ご自由に、ご回答いただきました。そのなかで、ご自身の見解を実名で公開してもいいとされた方々です。 お名前をクリックしますと、解説内容がご覧になれます。 ※ご回答いただいた順となっています。
福岡の弁護士|菅藤浩三のブログ福岡若手弁護士のブログ「ろぼっと軽ジK」は私です。交通事故・企業法務・借金問題などに取り組んでいます。実名のフェイスブックもあるのでコメントはそちらにお寄せ下さい。 法律家の常識を覆す(といってもよい)、破壊力のある東京地裁2014/4/14判タ1411号312頁(控訴無く確定、ちなみにYは本人訴訟です)が、SNSで話題になっている。 破壊力抜群すぎて、あまり巧みに解説するとあらぬ誤解を招き、自爆しかねないので、判決文や解説文を簡略に紹介するにとどめる。 クラブのママである被告Yと、クラブの顧客だったAとの間に、7年間にわたる継続的な不貞行為があったことより、精神的苦痛を被ったと原告X(Aの妻)がYに対し400万円の慰謝料を請求した事案である。 AとYとは、月に1~2回の頻度で土曜日に昼食をとった後、ホテルに行って夕方に別れるというパターンを繰り返していた。
筆者も属する法曹界では、ここ数年、民法の大改正がずっとテーマでありました。これについては、民法学者の方々が広げた壮大な計画が様々な思惑の中でいつの間にか縮んでいき、最後には旗振り役だった偉い学者先生が突如弁護士登録されたりと、私のような実務法曹のサイドから見ると「本当にやるの?こっちは改正されたら一から勉強するんだよ?」という雰囲気もあったのですが、いよいよ法案要綱の提出まで漕ぎ着けたようです。 短期消滅時効制度がなくなる今回の民法改正のなかの大きな柱の一つは短期消滅時効制度の廃止です。これについては東京新聞の記事が分かりやすいので紹介します。 現行民法は、債権が無効になる時効を原則未払いの発生から十年とした上で、特定の業種は一~三年と規定。例えばDVDのレンタル料やタクシー運賃、ホテルの宿泊料は一年、弁護士費用は二年、病院の診療費や建築工事代金は三年となっている。 債権の時効は、取引伝票
「ヤマト運輸」と言えば、中興の祖である小倉昌男元社長が、宅配便をめぐって「官」と壮絶な戦いを演じた、という逸話とともに語られることが多い会社である。 小倉氏も既にこの世を去り、最近では、押しも押されもせぬ陸運業界の大手企業、という地位が確立したこともあって、“官との諍い”が大きなニュースになる機会もあまりなかったのだが、22日、久々に“らしい”ニュースが報じられた。 「ヤマト運輸は22日、3月末でメール便サービスを廃止すると発表した。メール便に手紙などの『信書』が交ざると、利用者に刑事罰が科される恐れがあり、誤った利用を避けるためだ。」(日本経済新聞2015年1月23日付朝刊・第11面) 「郵便法」の問題点については、記事の中でも簡単に紹介されているのだが、よりわかりやすいのが、ヤマト運輸が22日付でHPに公表した資料だろう。 http://www.kuronekoyamato.co.jp
議院法制局は、内閣法制局よりも技術的に劣っているというのが、一般的な認識であろう。例えば、元通商産業省の官僚で、衆議院議員の江田憲司氏は、高橋洋一氏との共著である『霞が関の逆襲』(P94)において、次のように記載している。 法律案の作成や審査をする機関は2つあります。内閣法制局と議院法制局です。 内閣法制局は、政府が提出する法案に関して、問題がないかどうかを、その閣議決定の前に審査するのですが、各省庁から持ち込まれる、かなり精度の高い案を審査するだけで、自分では法案を作成しません。 議員法制局は、各議員から持ち込まれた議員立法のアイデアや素案を、法案の形にまとめるところまで行う機関です。しかし、その出来は決して素晴らしいものとはいえず、また、ときには間違いもある。 だから霞が関では、「議員立法は前例とせず」という極めて不遜な原則もあるのです。議員立法が法律となっても、そこで採用された考え方
日本人のノーベル物理学賞受賞は大変うれしいニュースでしたね。ところで、報道で知った方も多い(実は私もそうですが)中村修二カリフォルニア大教授はすでに米国籍になっていたのですね。 中村教授といえば、青色発光ダイオードの特許に関して当時の雇用者である日亜化学と職務発明の報酬についてもめたことで知られています。結果的には高裁まで行き、日亜化学側が約8億円を支払う和解で決着しました(参照Wikipediaエントリー)。この裁判は特許法の職務発明規定の改定にもつながりました。 さて、この中村教授らのノーベル賞受賞は、現在進行中の特許法職務発明規定の改正論に影響を与えるのでしょうか?ここでは2つのポイントがあります。第一に、上記のような経緯で決まった職務発明の報奨金規定を仕切り直そうとしていること、第二に、中村教授はある意味日本の産業界に見切りをつけて米国に渡ってしまったということです。 まず、職務発
2014年10月01日 23:48 カテゴリ民法(債権法)改正 債権法改正-中間試案から要綱仮案までに改正提案から除外された主要項目について、除外された理由を列記してみました Posted by kawailawjapan No Comments No Trackbacks [本ブログトップページ]→ http://blog.livedoor.jp/kawailawjapan/ * * * * さて、本日は、債権法改正ネタを取り上げさせて頂きます。 ご承知の方も多いかと思いますが、法制審の民法(債権関係)部会における債権法改正の審議のうち、中間試案から要綱仮案までの間に、結構な数の主要項目が、検討の対象から除外(=すなわち、改正は見送り)されています。 それらがどういう理由で除外されることになったのかは、今までの部会資料に示されており、それら部会資料を丹念にチェックするとわかるのですが、記
契約のルールを大幅に改める民法改正の最終案が固まった。 法制審議会(法相の諮問機関)の民法部会が2014年8月26日、法務省がまとめた案を大筋で了承。来年2月の法制審の答申を経て、法務省は通常国会に民法改正案を提出する方針だ。 消費者と中小企業の保護を強化 改正は約200項目に及ぶが、ポイントは消費者と中小企業の保護の強化だ。①法定利率を3%に引き下げた上で変動制導入、②欠陥品の対応多様化、③賃貸契約の敷金ルールの明確化、④中小企業融資で求められる個人保証を原則禁止――などを盛り込んだほか、カネの支払いに関する時効を5年に統一することなども打ち出した。ただ、インターネット取引などで使用される「約款」の効力の明確化は一部が反対したため議論を継続するとして、決着を先送りした。 民法は計5編に分かれ、契約や家族関係に関するルールなどを規定しているが、今回変わるのは前半の主に契約に関する部分で、一
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