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ブックマーク / akamac.hatenablog.com (30)

  • 1400布留川正博著『奴隷船の世界史』 - akamac's review

    書誌情報:岩波新書(1789),234+6頁,体価格860円,2019年8月22日発行 奴隷船の世界史 (岩波新書) 作者: 布留川正博出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2019/08/23メディア: 新書この商品を含むブログを見る -- 『ロビンソン・クルーソー』(1719年)は大塚久雄に触発されて「中産的生産者」論として何度か読んだ。書はロビンソンの家内奴隷経験やブラジルでの砂糖とタバコのプランテーション経営,黒人奴隷貿易への関わりという歴史的背景をプロローグに,スペインの奴隷労働調達「アシエント」,「移動する監獄」=奴隷船と奴隷商人の実態(スピルバーグ『アミスタッド』を想起),奴隷貿易・奴隷制度の廃止を骨太に描いている。 奴隷制度を王国に組み入れたポルトガルによって始められた大西洋奴隷貿易は,やがてオランダ,フランス,イギリス,デンマークなども参入し15世紀後半から19世紀半

  • 731リスボン大地震(1755年)の総合研究 - akamac's review

    リスボン大地震は1755年11月1日万聖節の9時半頃に発生した。数万人とも言われる犠牲者数の多さやヴォルテールとルソーの「神の摂理論争」を引き起こしたことでも知られている。 アダム・スミスは『道徳感情の理論』(1759年)で,地震が起こって「偉大な大清帝国」と何千万もの住民が消え失せてしまったとしたらヨーロッパの人々はどう思うだろうかと問題を提起し,遠く離れた場所の災厄と我が身に起こった些細な事件とを比較することから「共感」の意味を考えたのだった。 永冶日出雄(ながや・ひでお)のエッセイ「リスボン大地震を追って――ロシオ広場とサン・アンタオ門街――(『日の科学者』第49巻第7号(通巻558号),2014年7月号)で,みずから震災を体験したモレイラ・デ・メンドンサの著作『世界地震通史』(1758年)の図説を紹介し,ご自分の研究を公開していることを知った。東日大震災の1カ月後,75歳の誕生

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    servando
    servando 2014/07/02
  • 929田澤耕著『〈辞書屋〉列伝――言葉に憑かれた人びと――』 - akamac's review

    書誌情報:中公新書(2251),iv+266頁,体価格860円,2014年1月25日発行 〈辞書屋〉列伝 - 言葉に憑かれた人びと (中公新書) 作者:田澤 耕発売日: 2014/01/24メディア: 新書 - 辞書には多くの言葉の意味と用例が,その辞書の編纂には多くの物語がある。『オックスフォード英語辞典』(ジェームズ・マレー),『ヘブライ語大辞典』(ベン・イェフダー),『カタルーニャ語辞典』(プンペウ・ファブラ)・『カタルーニャ語・バレンシア語・バレアルス語辞典』(アントリ・マリア・アルクベー),『言海』(大槻文彦),『アメリカ語辞典』(ノア・ウェブスター),『和英語林集成』(ヘボン),『西日辞典』(照井亮次郎・村井二郎),『スペイン語用法辞典』(マリア・モリネール),『カタルーニャ語辞典』・『日語カタルーニャ辞典』・『カタルーニャ語小辞典』(田澤)と辞書を編んだ人物が主人公ではあ

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  • 871杉田玄白翻訳(バラエティ・アートワークス漫画)『まんがで読破 解体新書』 - akamac's review

    書誌情報:イースト・プレス(MD104),190頁,体価格552円,2012年4月10日発行 解体新書 (まんがで読破 MD104) 作者:杉田玄白イースト・プレスAmazon - 「まんがで読破」シリーズ(→http://www.eastpress.co.jp/manga/)も100作を超えた。 主人公・玄白以外にも前野良沢,中川淳庵,大槻元節(玄沢),平賀源内,桂川甫周とすべて実在の人物が登場する。翻訳を開始するまでの事情と腑分けの実見による裏付けをしながら『ターヘル・アナトミア』の語から訳語の確定の様子を描き出している。 腑分けをする下人・虎松の祖父に語らせている印象的な部分は「医者というものは体を扱う仕事なのに……罪人の死体を触りたくないのか自分で知ろうともしない/興味がないのかわしが指し示す臓器を質問もせずに見るだけ」(36ページ)だろう。腑分け人がすでに臓器を知っていたのだ。

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  • 801アビジット・V・バナジー/エスター・デュフロ著山形浩生訳『貧乏人の経済学――もういちど貧困問題を根っこから考える――』 - akamac's review

    書誌情報:みすず書房,370+xxxii頁,体価格3,000円,2012年4月2日発行 貧乏人の経済学――もういちど貧困問題を根っこから考える 作者:アビジット・V・バナジー,エステル・デュフロ発売日: 2012/04/03メディア: 単行 - 世界の貧困という大問題を大上段に構えず平易な言葉(訳者の功?)で考え,「やればできる」とのメッセージが溢れている。植民地主義やグローバリゼーションの波という大枠の議論を避け,貧困の生活や家族,地域でのあらわれを紹介し,政策と制度のあり方への「根っこ」からの問題を突きつめている。 著者の姿勢の特徴は実証性にある。ランダム化対照試行――「どこかの市場に介入し,ランダムに選んだ経済主体の一団がその介入を利用できるようにし,それ以外の主体はそのままとし,結果を比較する,というものだ」(経済学の話題をいつも提起している「himaginaryの日記」から借

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  • 785中島義道著『ヒトラーのウィーン』 - akamac's review

    書誌情報:新潮社,236頁,体価格1,500円,2012年1月20日発行 ヒトラーのウィーン 作者:中島 義道メディア: 単行 - 『わが闘争』,アウグスト・クビツェク著『アドルフ・ヒトラーの青春』,フランツ・イェツィンガー著『ヒトラーの青春』の叙述から取捨選択し,ヒトラーがウィーンで暮らした17歳から22歳までの5年3ヶ月を「覗き込」んだ。ヒトラーの人格形成やユダヤ人増悪の醸成などがこのウィーン時代と切り離せないことを見て取っている。 著者のヒトラー解剖から「半ば意図的な記憶の混乱,半ば意図的な矛盾の放置,半ば意図的な虚言」(62ページ)や「他人を理解する能力を絶望的に欠いている」(187ページ)性格を『わが闘争』から嗅ぎ取る。 ヒトラーにとってウィーンは画家になる夢を打ち砕かれた街であり,浮浪者収容所にまで転落した街である。ユダヤ人増悪は当時のウィーンの穴蔵のような自分の住居と富の

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  • 771ドッブズ,B. J. T. 著(大谷隆昶訳)『錬金術師ニュートン――ヤヌス的天才の肖像――』 - akamac's review

    書誌情報:みすず書房,vi+330+cxviii頁,体価格7,500円,2000年6月23日発行 錬金術師ニュートン 作者:B.J.T. ドッブズ発売日: 2000/06/24メディア: 単行 - ニュートンをして近代科学の開拓者ではなく中世最後の錬金術師と評価を定着させた功績は経済学者ケインズだった。キングズ・カレッジ(ケンブリッジ)のケインズ・コレクション手稿として知られるニュートン文書をオークションで入手し,生誕300年時に「ニュートンは理性の時代の最初の人ではなく,最後の魔術師だ」としたエピソードはよく知られている。科学者ニュートンの多面的な研究に先鞭をつけたのがケインズであった。ケインズ最後の論文はニュートンに関するものだった。 『ニュートンの錬金術』(寺島悦恩訳,平凡社,1995年,[isbn:9784582537123])の著者による魔術師ニュートン追求書第2弾(主著)が

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  • 756醍醐聰著『消費増税の大罪――会計学者が明かす財源の代案――』 - akamac's review

    書誌情報:柏書房,270頁,体価格1,800円,2012年7月25日発行 消費増税の大罪―会計学者が明かす財源の代案 作者:醍醐 聰発売日: 2012/07/01メディア: 単行 - 消費税増税法案は可決成立してしまった。「熟議」どころか「未熟議」でことを決してしまった汚点は歴史に残る。自民党政権下で頻発した強行採決と結果においてなんら変わらない。 消費税増税法案をめぐる与党内,与野党間の取引が進行中の最中に出版された書は,可決成立後の現在でも一読に値する。政府,大手マスコミ,専門家の「大罪」を指摘するだけでなく,マスコミが必ず主張する代案(所得税増税)を示している。消費税増税論の経済活動インセンティブ論,安定した財源論,直間比率是正論を吟味して退け,逆に消費税の逆進性(とその対策として導入予定の「給付付き税額控除」の限界)と転嫁問題を取り上げている。そのうえで財源調達機能と所得再分

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  • 746喜多見洋・水田健編著『経済学史』 - akamac's review

    書誌情報:ミネルヴァ書房,vi+350頁,体価格3,200円,2012年2月20日発行 経済学史 作者:洋, 喜多見,健, 水田発売日: 2012/02/20メディア: 単行 - イギリス,フランス,ドイツを中心に近代以降の経済学歴史を概観したオーソドックスなテキストである。とはいえイタリアにおける経済学,20世紀後半以降の現代経済学,日における経済学を組み込んで経済学展開の多様性を意識している構成は新機軸である。経済学史のテキストとして「様々な経済学の興亡の可能性」(336ページ)を探り,現代経済学のみを経済学とせず,「相対主義的視点」(同上)を採り,現代経済学にいたる克服と継承を鮮明にした編集には評者も賛成だ。 評者の講義の体験からすると,日における経済学の展開と現代経済学の主流・それを批判する潮流に言及しないと,経済学史は経済学歴史を回顧するだけのしんきくささを払拭できな

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  • 690藤川隆男編『アニメで読む世界史』 - akamac's review

    書誌情報:山川出版社,236頁,体価格1,500円,2011年9月30日発行 アニメで読む世界史 発売日: 2011/10/01メディア: 単行 - アニメは『世界名作劇場』で放送された作品ばかりだ。大規模な移民と社会階層の変動の時代だった19世紀を舞台に,ヨーロッパ(フランス,ベルギー,スイス,イギリスなど)から始まり,アルゼンチン,オーストラリア,アメリカを経て,再び20世紀のオーストリア,ドイツ,イタリアに戻ってくる。作品(括弧内は原作)は,『レ・ミゼラブル』・『少女コゼット』(ヴィクトル・ユゴー『レ・ミゼラブル』),『フランダースの犬』(ウィーダ『フランダースの犬』),『家なき子レミ』・『ペリーヌ物語』(エクトル・マロ『家なき子』,同『家なき娘』),『アルプスの少女ハイジ』(ヨハンナ・シュピーリ『ハイジ』),『小公女セーラ』(フランシス・バーネット『小公女』),『母をたずねて三

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  • 604小澤卓也著『コーヒーのグローバル・ヒストリー――赤いダイヤか,黒い悪魔か――』 - akamac's review

    書誌情報:ミネルヴァ書房,xiv+326+6頁,体価格3,000円,2010年2月25日発行 コーヒーのグローバル・ヒストリー 赤いダイヤか、黒い悪魔か 作者:小澤 卓也発売日: 2010/02/25メディア: 単行 - コーヒー産業を生産から消費にわたってバランス良く叙述したは意外に少ない。フェアトレードの影響力の増大とともにコーヒーのグローバル・ヒストリー――生産,精製,金融,貿易,焙煎,広告,小売,販売,消費などをふくむコーヒーの世界史――の理解はますます重要になっている。 著者は農産物としてのコーヒー歴史と飲み物としてのコーヒーを解説し,生産(ブラジル,コスタリカ,コロンビア,ベトナム,エルサルバドル,グアテマラ)と消費(アメリカ,ヨーロッパ,日)の特徴を描く。「(コーヒーを)まるごと理解するための基礎的な参考書」が書のコンセプトになる。 ラテンアメリカを知るためにはコ

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  • 599鳥飼玖美子著『国際共通語としての英語』 - akamac's review

    書誌情報:講談社現代新書(2104),194頁,体価格740円,2011年4月20日発行 国際共通語としての英語 (講談社現代新書) 作者:鳥飼 玖美子発売日: 2011/04/15メディア: 新書 - 1989年告示の学習指導要領はすでに「英語教育の目的は,コミュニケーション」であることを謳っていた。小学校での英語導入や学校英語では実用にならないという「英語教育への怒りと恨み」が後押ししたと著者は分析している。喩えは的を射ている。「「学校で何年も体育を習ったけど,上手くはならなかったぞ,どうしてくれる」と怒る人はいませんが,英語については「学校で何年も英語を習ったけど,上手くならなかったぞ,どうしてくれる」と憤慨している人が日には多数いる」。 著者はそうした英語教育の実情をふまえ,何のためにどのような英語であるべきか,異文化理解でもスキルでもなく国際コミュニケーションを可能にするため

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  • 579植村邦彦著『市民社会とは何か――基本概念の系譜――』 - akamac's review

    書誌情報:平凡社新書(559),351頁,体価格940円,2010年12月15日発行 市民社会とは何か-基概念の系譜 (平凡社新書) 作者:植村 邦彦発売日: 2010/12/16メディア: 新書 - 市民社会論をスミスから,マルクスから解放し,新しい政治的回路を構築しよう。市民社会概念を西洋とそれを特殊化した日の系譜に遡って検証した著者のメッセージだ。civil society の語義に遡りその意味内容が変化して経緯を明らかにする部分と日における受容を解明した部分とからなる。「市民社会」というひとつの言葉に込められた意味を問うことで,思想と実践の核心を探るきわめて濃密な書物である。 まず,civil society は古代アテネのアリストテレス『政治学』に起源をもち(ラテン語 societas civilis の直訳),16世紀半ばまでに世俗国家を表現する言葉として使われるように

  • 574高島利行・仲俣暁生・橋本大也・沢辺均・山路達也・植村八潮・星野渉・深沢英次著『電子書籍と出版ーーデジタル/ネットワーク化するメディアーー』 - akamac's review

    書誌情報:ポット出版,205頁,体価格1,600円,2010年7月10日発行 電子書籍と出版─デジタル/ネットワーク化するメディア 作者:高島 利行,仲俣 暁生,橋 大也,山路 達也,植村 八潮,星野 渉,深沢 英次,沢辺 均発売日: 2010/07/10メディア: 単行(ソフトカバー) - 愛用の MacBook Air のハードディスクが壊れてしまったようだ。ディスクを初期化して Time Machine で復元したりシステムを入れ直したりしてみたが,調子がおかしい。修理に出すことにした。 てなわけで今日は iPad からのポストになった。ごく簡単な紹介だ。 ポット出版のウェブサイト,トークセッション,講演などをまとめたもの。電子書籍リーダーとそれに対応したコンテンツの普及で出版とそれを担ってきた出版社の意味が問われている。出版社はなくなってしまうかもしれないが,出版は残る。文字

    574高島利行・仲俣暁生・橋本大也・沢辺均・山路達也・植村八潮・星野渉・深沢英次著『電子書籍と出版ーーデジタル/ネットワーク化するメディアーー』 - akamac's review
  • 570ポール・コリアー著(甘糟智子訳)『民主主義がアフリカ経済を殺す――最底辺の10億人の国で起きている真実――』 - akamac's review

    書誌情報:日経BP社,318頁,体価格2,200円,2010年1月18日発行 民主主義がアフリカ経済を殺す 作者:ポール・コリアー発売日: 2010/01/14メディア: 単行 - 最底辺の10億人の国々*1への中途半端な民主主義の注入は「デモクレージー」になりかねない。銃と戦争とクーデターがはびこり民主主義の基盤構築が実現できていない国々では一見民主主義への道の一里塚とされる選挙ですら逆効果である。援助国とも国連とも読み取れる国際行動への提言は,チュニジアやエジプトの「革命」を目の当たりにすると,著者の見立ては半分当たり半分外れともいえる。ちなみに,チュニジアやエジプトは著者のいう最底辺の10億人の国々には入っていない。 統計調査,ランダム化実験,抗争成功関数,費用便益計算などの手法を使い,最底辺の10億人が住む社会では来民主主義が引き寄せるはずのアカウンタビリティと正統性によって

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  • 506 (1)佐藤誠司著『英作文のためのやさしい英文法』,(2)小池直己著『語源でふやそう英単語』 - akamac's review

    (1)書誌情報:岩波ジュニア新書(658),iv+223頁,体価格840円,2010年6月18日発行 英作文のためのやさしい英文法 (岩波ジュニア新書) 作者:佐藤 誠司発売日: 2010/06/19メディア: 新書(2)書誌情報:岩波ジュニア新書(661),viii+227頁,体価格840円,2010年7月21日発行語源でふやそう英単語 (岩波ジュニア新書) 作者:小池 直己発売日: 2010/07/22メディア: 新書 - 英語を再学習することにしたというわけではなく,生協でを物色していたらたまたま目に入った英語だった。岩波ジュニア新書は発刊以来31年になり,当初のジュニア向けという発行姿勢は不変ながら,読者の方がポストジュニア世代になったと言われている。ついには評者のようなおじさん世代も買っている。 (1)は,日常で使う中学生レベルの基的な文法知識を解説している。英語感覚を

  • 494松尾匡著『対話でわかる痛快明解経済学史』,『不況は人災です!――みんなで元気になる経済学・入門――』 - akamac's review

    書誌情報:日経BP社,316頁,体価格1,600円,2009年8月31日発行 対話でわかる 痛快明解 経済学史 作者:松尾 匡発売日: 2009/08/27メディア: 単行書誌情報:筑摩書房,219頁,体価格1,600円,2010年7月5日発行不況は人災です! みんなで元気になる経済学・入門(双書Zero) 作者:松尾 匡発売日: 2010/07/07メディア: 単行 - 選挙の結果次第では政権が代わり,政策実現過程も変わりうることを示したことでは昨年の総選挙と今回の参議院選挙は意味がある。日を暗黒の雲のように覆う昨今の不況が政策の間違いや必要な政策の欠如であるとするならば,世論次第で政策を変え,それを実現できる政権の誕生も可能になる。 経済学を知ることで社会を動かす経済の仕組みと経済政策の有効性を問いかける新著は時期に叶った出版だ。不況は天災ではなく,歴代自民党政権と財界,日銀

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  • 491佐藤賢一著『フランス革命の肖像』 - akamac's review

    書誌情報:集英社新書ヴィジュアル版(018V),172頁,体価格1,000円,2010年5月19日発行 <ヴィジュアル版> フランス革命の肖像 (集英社新書) 作者:佐藤 賢一発売日: 2010/05/14メディア: 新書 - 1770年代のルイ16世の時代から19世紀の初めのナポレオンの皇帝までフランス革命の進行に合わせながら,足跡を残した有名無名の80点ほどの肖像画を読み解いている。 ルイ16世に財政再建を託されたネッケルは「さすが成功した実業家だけに下ぶくれの福相ではあるのだが,どこか軽薄そうな印象を覚えてしまう」(19〜22ページ)。フランス革命の思想を準備したルソーは「男らしくも太い眉毛,まっすぐ縦に走る鼻梁,しっかりした顎の造りなどを見ると,噂通りの頑固が容貌にも出ている。瞳は強い光を放ち,さすがの才気を裏付けているようだが,それでいて肖像によっては,どこか虚ろにも,あるいは

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  • 477松方冬子著『オランダ風説書――「鎖国」日本に語られた「世界」――』 - akamac's review

    書誌情報:中公新書(2047),iii+216頁,体価格740円,2010年3月25日発行 オランダ風説書―「鎖国」日に語られた「世界」 (中公新書) 作者:松方 冬子発売日: 2010/03/01メディア: 新書 - 「鎖国」――長崎商館付き医師だったケンペルが『日誌』の序文に日を「閉じた国」と書き,19世紀にその序文が「鎖国論」として翻訳出版されたことにちなむ――時代,幕府は出入りするオランダ人に各種情報を提供するようもとめた。それが「風説書(ふうせつがき)」である。1641(寛永18)年から1857(安政4)年までのおおよそ200年間,幕府が世界を知る唯一の海外情報だった。 著者は,オランダ語資料を用いて「オランダ側の視点」(「現場密着型」)(16ページ)で分析し,長崎の通詞が幕府に伝えてもいいと判断した情報として,オランダ人から長崎通詞を経て幕府に伝わる情報のブレを明らかに

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  • 452垂水雄二著『悩ましい翻訳語――科学用語の由来と語訳――』 - akamac's review

    書誌情報:八坂書房,207頁,体価格1,900円,2009年11月25日発行 悩ましい翻訳語―科学用語の由来と誤訳 作者:垂水 雄二発売日: 2009/11/01メディア: 単行 - マルクスの抜粋ノートに Henry Dunning Macleod (1821-1902) からのものがある。労働価値論を批判し,限界効用逓減を考案し,限界革命の先駆者とされる人物である。Macleod は「マクラウド」と表記することが慣例になっているが,Macleod の字面からは「マクラウド」は想像しにくい。人名表記は現地音主義を採っているので,「マクラウド」と読むのだと言われると,そうですかとしか言いようがない。かつて,最初にケインズ (J. M. Keynes) が紹介された時,「キーンズ」か「ケインズ」かで大論争があったことがある。結局,人から「サトウキビ(複数) (sugar canes)」

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