熱海市伊豆山で土石流が発生し、一夜明けた4日夕。自宅が土石流に巻き込まれた造園業、田中公一さん(71)は現場付近の高台から、自宅の方向を眺めていた。歩いて数分の場所にある木造平屋の自宅で、妻の路子さん(70)が取り残されたとみられ、自衛隊員らが付近を捜索中だった。 「許されるなら、自分も一緒に捜したい」。そんな思いで、この日も朝から現場に来た。規制線が張られて近づけず、高台からでも、周囲の建物に邪魔されて捜索の様子は見えない。現場を行き来する自衛隊員らを眺めるしかできず、「目の前なのに何もできない。歯がゆい」と漏らした。