「隠しとうなら出せなどの取り調べを受けました」と乗用車の運転手が証言した供述調書=福岡市博多区で2022年5月27日午後2時48分、佐藤緑平撮影 そのSDカードは、どこに――。福岡市で2018年に起きた交通死亡事故を巡り、亡くなった歩行者をはねた車のドライブレコーダー(ドラレコ)から事故直後、1枚のSDカードが消えた。「証拠保全の必要はなかった」と説明する警察に、遺族は「捜査は本当に尽くされたのか」と不信感を募らせている。 【現場の写真】男性は背後からはねられ亡くなった 裁判記録などによると、事故は18年7月4日未明、福岡市東区の住宅街で起きた。飼い犬を連れて歩いていた男性(当時78歳)が背後から乗用車にはねられ、搬送先の病院で死亡が確認された。車に乗っていたのは運転していた男性だけで事故の目撃者や防犯カメラ映像は見つからず、車に搭載されたドラレコの記録は、状況を知りうる数少ない手掛かりの