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第160回 金融大地震に世界がやるべきこと、日本ができること(3) 経営コンサルタント 大前 研一氏 2009年1月21日 今回の金融危機に対する世界の取り組みを見て、二つの大きな弱点が浮き彫りになったと言える。一つはIMFの限界、もう一つは国の限界である。 まず、各国の状況を見てみよう。この図をみると、各国の政治家たちは金融支援安定化策というのをほとんどはちゃめちゃ、でまかせ、プランもなく思いつくままに言っていることが分かる。いまや国家による「救済策オリンピック」の観がある。 米国は、金融機能安定化法・住宅公社救済・シティの債務に政府保証・その他各種支援‥‥といった具合に、あえて言えば勝手気ままな対策を打ち出している。それは欧州諸国も同様だ。アイスランド、スウェーデン、英国、フランス、ドイツ、スイス、ベルギー、イタリア、スペイン‥‥いずれの国々もまるで歩調の取れていない、ばらばらの対
第159回 金融大地震に世界がやるべきこと、日本ができること(2) 経営コンサルタント 大前 研一氏 2009年1月14日 前回述べたように、2008年9月以降の世界金融危機の大地震は、年が明けた現在でも簡単には収まりそうにはない。サブプライムショックに端を発し、リーマン・ブラザーズ破綻によってあっという間に世界中を揺るがすにいたったこの大地震、そのもう一つの活断層とも呼べるのがシティバンクの問題である。 世界最大の銀行であるシティバンクのバランスシートを見てみると、優良資産(グッドバンク部門)が1兆7440億ドル、不良資産(バッドバンク部門)が約3000億ドルある。一方で負債総額は1兆9240億ドル、資本金が1260億ドルある(さすがに世界最大の銀行だけあっても資産も負債も桁違いだ)。以上の数字を頭の中に留めていただいた上で端的に言うと、当座のシティバンクが抱える問題は複数あるが、筆
第158回 金融大地震に世界がやるべきこと、日本ができること(1) 経営コンサルタント 大前 研一氏 2009年1月7日 わたしは全国の経営者を対象にした「向研会」という勉強会を主宰している。この会ではもう10年以上にわたって毎月一回、経営の世界で起こっていることに関してテーマを決めてわたしが話をするのだが、毎年12月はその年の経済・経営を振り返りながら来年の世界の経済状況の見通しを述べるのが習わしだ。わたしなりの分析を提供し、もって皆さんの経営のお役に立てていただこう、という狙いである。自分で言うのも口はばったいが、これはメンバーには大変な好評をもって迎えられている。 今回(昨年12月)の勉強会を準備するにあたっては、わたしもいささか頭を抱える仕儀となった。なにしろ「見通す」ことが難しいのである。理由は言うまでもない、例の世界的金融危機だ。昨年9月以降のダウ工業株30種平均株価の推移
いま、政府の税制に対する考え方が変わろうとしている。それは主として住宅ローン減税の改正から読み取ることができる。 先般、自民党税制調査会の柳沢小委員長は、2009年度の税制改正について、所得税だけでなく住民税からも税金を差し引ける制度を導入する考えを示した。この制度のポイントは、収めている所得税よりも多くの税金を控除できるようになることである。これが実現すれば大きな進歩といっていい。従来の住宅ローン減税は単に所得税から差し引かれるだけであったのだから。 具体例で説明しよう。ある人が家を購入して、翌年50万円の所得税控除を受けられることになったとする。簡単に言えば所得税の納税額が50万円割り引いてもらえることになったわけだ。ところが、その人が収めている所得税が20万円しかなかった場合は、控除額も20万円となり、差額の30万円は消え去ってしまう。これが従来の税制だ。 ところが新しい税制で
米国大統領選挙が今年(2008年)11月4日に行われた。皆さんもご承知のように「チェンジ(変化)」を掲げた民主党のバラク・オバマ上院議員が当選した。記念すべき米国建国史上初の黒人大統領の誕生である。大統領選と同時に行われた連邦議会の上下両院選でもオバマ氏当選の相乗効果で民主党が躍進、上院・下院ともに過半数を大きく上回った。つまりある意味では、共和党政権の継続を図ったジョン・マケイン上院議員は二重に敗北したわけだ。 わたしは以前から、米国の国民性を考えればオバマ氏が大統領になるだろうと予測していた。理由は簡単なことだ。いま米国は停滞ムードである。経済的にはごく低調で、厭戦(えんせん)的な気分になっている。こういう時、米国民は変化を求める。ケネディ元大統領、クリントン元大統領もちょうど同じような局面で選ばれた。オバマ氏も含め、3人とも大統領選以前は有名とは言い難い存在だった。演説一つで民主党
世界が金融危機に巻き込まれ、各国の通貨が弱まっているなかで、ひとり日本円だけが高値傾向を示している。これは、世界の株式相場が急落したことから投資家がリスク資産の圧縮に動き、その結果として円買い・ドル売りに向かったためである。同様のことはユーロでも起きた。円はユーロに対しても高くなってきた。それもドルを上回るほど急激に、である。 まずは以下の対ドル・対ユーロでの円の推移を示したグラフを見ていただきたい。赤がユーロ、青が米ドルに対する円の上昇・下降を示している。 上図をみれば明らかなようにドル(青色)については、ここ10年くらいの間、上がったり下がったりを繰り返している。これはまあ、「いつものこと」だ。一方ユーロは、1999年にスタートしてしばらくは弱い状態(円高・ユーロ安)が続いた。だが、2001年あたりからは状況は一転、徐々に円安・ユーロ高へと向かった。この傾向は2008年の初頭まで続い
メガソーラー本番、日本の復権なるか?! ● 太陽光発電の復権をかけて、日本は再度、重い腰を持ち上げ始めた。太陽光発電はこれまで日本の“専売特許”として世界のトップを突き進んできた。しかし、2005年に7年間守り続けてきた累積導入量首位から転落。2007年には太陽光発電パネルの生産量でもドイツに抜かれ2位になった。明らかに日本は太陽光発電の分野で失速したといえる。 ●導入量でも生産量でも遅れをとった日本が、今年(2008年)になって打ち出したのが「福田ビジョン」と緊急提言である。前者は「太陽光発電世界一の座を取り戻すため2010年に原状の10倍、2030年に40倍を目指す」というビジョン。後者の緊急提言は、新たな技術開発や思い切った支援措置などによる需要創出によって、3~5年後には太陽光発電システムの価格を現在の半額まで引き下げようとする内容だ。 ●こうした“復権”の取り組みの中で
見えてきた!EV本格普及への道 ●先ごろ日産自動車が2010年に電気自動車(EV)を発売すると表明した。先行する三菱自動車と富士重工業は09年の市販化を予定している。ダイムラーやゼネラル・モーターズもEVを開発中だ。こうした各社の動きはEV時代の到来を予感させる。 ●EVが時流に沿ったモビリティであることは間違いない。走行時の二酸化炭素(CO2)排出量はゼロで、発電時の排出量を考慮してもガソリン車の4分の1程度である。有害物質を含んだ排気ガスの心配もない。原油以外の資源で電気を起こせば、石油への依存度も低減できる。 ●ただし、課題も残されている。ガソリン車と比べて航続距離はかなり短く、それを補うための充電インフラの整備はようやく始まったばかり。また、車両価格は軽自動車の数倍になる見込みで、これが普及の妨げになることも考えられる。 ●こうした状況を踏まえて、神奈川県では「かなが
「鉄のカーテン」という言葉からもうかがい知れるように、かつてソ連と米国は宿命的なライバル関係にあった。ところが1991年にソ連が崩壊してロシア連邦となって以来、旧ソビエト連邦だった国のうちいくつかは親西欧の立場を取るようになってきている。グルジアやウクライナがその代表格だ。グルジアのサーカシビリ大統領、ウクライナのユーシェンコ大統領は親欧米派の姿勢を明確に打ち出している。 グルジアについては今年(2008年)の8月にロシアとの紛争で世界を騒がせたばかりなので、記憶している読者も少なくないだろう。 この国には、分離独立を求める南オセチア自治州がある。ロシア連邦政府は以前からこの南オセチア自治州に平和維持軍を駐留させ支援していた。そして8月にグルジアは南オセチア自治州に侵攻、ロシアもグルジア領内にまで軍事介入し、両軍の間で紛争が起こったという事件である。このグルジア紛争をロシアと米国の新し
グリーン電力を景気対策の本命に 世界同時株安の影響を受け、2008年10月1日以降、東京株式市場の日経平均株価は急落、10日までに下げ幅は3000円を超えた。その後1000円ほど戻したものの予断を許さない状況だ(14日現在)。政府は10月下旬にも、追加となる緊急経済対策を具体化する方針。中小企業の資金繰り対策や設備投資減税、個人の所得税減税などが候補に挙がっている。対策の規模は2008年度補正予算案の1兆8000億円を上回る見通しだ。 短期的な景気対策はもちろん重要だが、この機会に、太陽光や風力などのグリーン電力への投資を加速すべきだ。すでに政策面での後押しは始まっている。政府は2008年6月に「新エネルギーモデル国家」構想を打ち出し、一次エネルギー国内供給量全体に対する再生可能エネルギー(太陽光や風力、バイオマスなどの自然循環の中で生まれるエネルギー)の比率を2020年度に8.2%、2
緊急提言 ポールソン案は額不足、手順も誤り この記事は、大前研一氏が『The Financial Times』ならびに『The Japan Times』に寄稿した 緊急提言(英文)の全文を日本語に訳したものです。 経営コンサルタント 大前 研一氏 2008年10月1日 本稿を執筆している時点(10月1日)で、米下院は7000億ドル(約75兆円)の公的資金枠を目玉とする金融安定化法案を否決した(※)。議会が当面の優先順位を正しく理解しているのなら、この否決は妥当なのかもしれない。とはいえ今問題なのは、抵当流れで家を失った人を政府が助けるべきなのか、それとも市場に任すべきなのか、という議論ではない。現時点で何より重要なのは、市場に流動性を供給すること、とりわけ経営破綻にひんしている金融機関に供給することである。 ※その後日本時間10月5日に法案は成立した。 日本の、いわゆる「失われた1
エアコンの省エネ新基準確定、在庫1500万台に中国メーカー困惑 エアコンのエネルギー効率基準をめぐる争いに結論が出た。今回の結論は、エアコン業界とエアコンのリーディングカンパニーに「起死回生」か「再起不能」を迫るものだ。 記者は8月22日、中国家電協会から次のような内容を聞いた。国家標準化管理委員会と中国標準化研究院が中心となって改訂した「ルームエアコンのエネルギー効率基準値とエネルギー効率等級」に対する意見聴取稿が、今年6月、正式に協会と関係企業に配布された。その後、エアコンのエネルギー効率基準の最低ラインを従来の5級(エネルギー効率比2.6)から一気に2級(同3.2)へ引き上げる案が、企業のフィードバックを経て確定した。この基準は2009年3月ごろに正式に実施される予定だ。 これに先立ち、格力、美的、志高などの主要メーカーや中国家電協会は「まず3級(エネルギー効率比3.0)へ引き
政治・経済のニュースは、ほぼ自民党総裁選一色になってしまったようだが、こういうときこそ、ちょっと視点を変えて、このところめっきり報道が少なくなった隣の国の経済について考えてみたい。 少なくとも表面的には、予想されたほどのトラブルもなくオリンピックが終了し、先日からはパラリンピックが開幕した中国のことである。その中国において、上海株の暴落が止まらないのだ。 日本でいう日経平均株価に相当するものに、上海総合指数という株価の指標がある。その値が、オリンピック開幕直前の8月7日では2728だったものだが、ほぼ一本調子に下がり続け、9月5日には2202。約1カ月で2割近くも下落している。 それどころか、昨年11月には一時6005の最高値を記録しており、そこから数えると10カ月でなんと半分以下、63%も下落しているのだ。 一方で、中国はまだ経済成長率が2桁を続けているという。そんななかで、株価
2050年には温室効果ガスは70%削減できる(前編)来るべき低炭素社会に向けてこれからの日本ができること ●マイナス6%どころではない。2050年までには、全世界で温室効果ガスの排出量を1990年に比べて半減するという目標が、G8北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)でも確認された。 ●しかし、2050年の目標を掲げられても、まだ40年も先の話だ。実感もわかないし、いったい何をすればいいのか見当もつかないというのが、一般生活者の本音だろう。 ●そのような状況の下、「日本には温室効果ガスを1990年に比べて70%削減できるポテンシャルがある」という報告書を2007年に発表。さらに2008年5月には、その具体的な12の方策をまとめたのが、環境省による地球環境研究総合推進費によって実施されている日英共同研究「低炭素社会の実現に向けた脱温暖化2050プロジェクト」(以下、脱温暖化2050
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