「売ります」の看板を掲げたロンドン市内のパブ。ビールの売り上げは大恐慌以来、最低のレベルまで落ち込んでいる(AP) 【ロンドン=木村正人】世界的な金融危機が英国の伝統文化であるパブを直撃している。パブで飲まれるビールは最盛期に比べ、1日当たり1600万杯分、909万リットルも減り、毎日5店のパブが廃業に追い込まれている。1929年の大恐慌以来のピンチだ。食料・石油高騰に加え景気後退の影が濃くなる中、地方のパブは郵便局や日用雑貨店を兼業するなど必死に生き残りを図っている。 英国のパブは、仕事帰りに職場の仲間と、また近所の人たちと地元醸造所の地ビール「エール」を飲み、おしゃべりを楽しむ場だった。最近ではドイツタイプのビール「ラガー」が幅を利かせ、ビール会社の直営パブが増えたものの、昔ながらの個人経営パブがまだ全体の8割以上を占める。 昨年7月から店内は全面禁煙。今年3月、酒税はビール1杯3ポン