廃校寸前の母校を残すには――。頭を悩ませた中学生が出した答えは「友だちを増やそう」。家族での移住を促すために空き家を改修しようと、インターネットで募金を呼びかけ、700万円を集めた。自分も移住組。「田舎の学校が僕を変えてくれた」 山陰の小京都と言われる島根県津和野町。観光客でにぎわう中心部を離れると、山あいに集落が点在する。人口約300人の左鐙(さぶみ)地区もその一つだ。 日原(にちはら)中学校1年の鈴木智也君(12)は2013年春、東日本大震災をきっかけに、都心に勤める父(53)と離れ、茨城県つくば市から母の貞子さん(44)らと左鐙にIターンした。 茨城では全校児童600人の小学校に通い、「引っ込み思案で会話が苦手」だった。転校した左鐙小学校は当時、7人。授業で先生から1日に何十回も指されるうち、積極的になった。 地域の人が先生役の自然体験。週1回、習う石見神楽。年1回の地区合同運動会。