憲法改正に向けて議論が進んでいる。自民党は9条に関して「2項維持」「自衛隊明記」とする案を取りまとめた。そして、「必要最小限の実力組織」という文言は削除される。「必要最小限」という概念は一体いつ登場したのか? 国際政治学者の立場から憲法解釈の混乱や誤解を解いてきた篠田英朗氏が、その知られざる歴史を検証する。 「必要最小限」は政局がらみの産物 自民党の憲法改正推進本部が、「必要最小限の実力組織」という表現を取り除いて、9条改憲案をまとめる方針を固めた。 私はそれをとても良い動きだと考えている。「必要最小限の実力」が、非常に曖昧で、長い間、混乱を招いてきた概念だからだ。 【自民党の憲法改正推進本部の改正案(3月22日時点)】 9条の2 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣