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小説に関するshichiminのブックマーク (44)

  • 埴谷雄高の小説『死霊』のストーリー全体の紹介 - sho__yamaguchi’s blog

    はてなブログ」を始めることにした。かつて note に置いてあった記事を置いたり、新たに書いたものを置いたりしたい。 一回目は、わけあって、表題のとおり「埴谷雄高の小説『死霊』のストーリー全体の紹介」である。これは 2023年11月22日にnoteで公開したものだ。若干加筆したうえで以下に置いておきたい。 >>> ノートは埴谷雄高の『死霊』[*]のストーリーを紹介する。なぜこれを行なうのかと言えば《この作品が全体としてどんなものか》をおおまかに掴むためのストーリー紹介は――私の知る限り――いまだ行なわれていないからである。いや、ひょっとしたらどこかでやられているかもしれないが、少なくともネットで簡単に手に入る内容紹介はないと思う。それゆえ、社会貢献の意味もこめて、今回は大雑把に『死霊』の物語を紹介したい。 [*] 現在、『死霊Ⅰ』・『死霊Ⅱ』・『死霊Ⅲ』(講談社文芸文庫、二〇〇三年)と

    埴谷雄高の小説『死霊』のストーリー全体の紹介 - sho__yamaguchi’s blog
    shichimin
    shichimin 2024/03/14
    いまだ読めてないんだよな>死霊 ガイド用にブクマ
  • めざめようか|吉本ばなな

    中学校のときの同級生の伊藤くんが交通事故にあって、植物状態になってしまった。そのニュースはすぐにメールで回ってきた。 彼の家庭は複雑で、彼には両親がいなかった。お父さんはひとりっ子の彼をお父さんの両親の元に置いていって別の女性と結婚し、そのあと行方をくらましたそうだ。 お母さんは彼を産んで数年後に若くして亡くなっていた。 だからずっと父方のおじいさんとおばあさんが彼を育てていた。そのおふたりもそんなに裕福ではなかったので、脳死と診断された彼を長い期間病院に置いておくお金はない。 友人、知人、親戚にひととおりゆっくりと会ってもらって、そのあとで人工呼吸器を外そうと彼らは決めたそうだ。 その知らせを聞いて、とても気が重かったけれど会いに行くことにした。 懐かしいクラスメートのいろんな人たちからみんなで行こうと誘われたのだが、私は断った。 「みんなビビってるんだろ、他の人といっしょに行って気を紛

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  • 「自分が加害者になったときに被害者にどう向き合うか」を描いた物語ってその逆よりも少なくない?→こういう理由かも

    ピエール手塚🍙 @oskdgkmgkkk 自分たちが被害者になったときに、加害者にどう向き合うか(殴る、許す、忘れるなど)を描く物語の量に比べて、自分たちが加害者になったときに、被害者にどう向き合うかを描いた物語の数って少ない気がしていて、でも人生において役立つのは、実は後者かもしれないと思うこともある。 2023-11-05 10:47:11 ピエール手塚🍙 @oskdgkmgkkk 被害者に対してどう向き合うべきかのモデルが少なすぎるから、加害性から目を背けたり、これは加害ではなく正当なものだと抗弁したり、自分だって被害者だと主張したりをしてしまいがちだけど、そうではないあり方が、それが類型的と思われても、それをやればまだましなものがあると、ましな気がする。 2023-11-05 10:50:26

    「自分が加害者になったときに被害者にどう向き合うか」を描いた物語ってその逆よりも少なくない?→こういう理由かも
  • 「三体」が好きだった人にオススメしたいSF小説・後編

    オラフ・ステープルドン「最後にして最初の人類」は現代の人類から数えて第18番目の人類の進化を描写する奇書で、巨大な脳みそだけの存在になったり、知性を退化させてトドかアザラシみたいになってしまったりと、何億年にも及ぶ人類の歴史が豊かな空想力で描かれる。プロットとキャラクターは極めて希薄で、現代の作家がこんな作品を書いて売れることは考えにくいのだけれど(ほぼ設定資料に近いかも)、個人的にはお気に入りと言うか性癖に近い魅力を感じる。 「スターメイカー」はそれをさらに発展させたもので、時間と空間を越えて精神が銀河を飛び回り、エキセントリックなエイリアンの生態の設定を惜しげもなく披露しつつ、それが銀河の歴史にどのような影響を与えたかを語る。そして、この宇宙を創造した存在の意図を探求する旅をする。光速の限界があるため、その旅やエイリアン同士の交流はテレパシーで行われるという設定はSFとしては苦しいが、

    「三体」が好きだった人にオススメしたいSF小説・後編
  • 「私、母から謝られていないんです」 娘を男の寝室に差し向けた実母への思い 『ダンシング・マザー』(内田春菊 著) | 「週刊文春」編集部 | インタビュー・対談

    2019.02.19インタビュー・対談 「私、母から謝られていないんです」 娘を男の寝室に差し向けた実母への思い 「週刊文春」編集部 『ダンシング・マザー』(内田春菊 著) 出典 : #週刊文春 ジャンル : #小説 『ダンシング・マザー』(内田春菊 著) 内田春菊さんが育ての父に性的虐待を受け続けた体験を小説にした『ファザーファッカー』は90年代のベストセラーだ。25年後に発表された『ダンシング・マザー』は、男を家につなぎとめるため娘を彼の寝室に差し向けすらした、実母の視点で描かれている。 16歳で家出をした内田さんは、後に実母と絶縁したことを諸作品で明かしている。今回、実母の立場から、娘が蒙った暴力を語り直したということは、赦せるようになったということなのだろうか。 「第一子を産んだ時も言われました。“子供を持ったということは、お母さんと仲直りしたんですか”。私、母から謝られていないん

    「私、母から謝られていないんです」 娘を男の寝室に差し向けた実母への思い 『ダンシング・マザー』(内田春菊 著) | 「週刊文春」編集部 | インタビュー・対談
  • 彼女が僕としたセックスと動画の中のセックスは完全に同じだった──ゴールデン街で店番をする風俗嬢から突然のDM | 山下素童「シン・ゴールデン街物語」

    2023年7月26日に、連載を書籍化した『彼女が僕としたセックスは動画の中と完全に同じだった』が発売します! 記事は連載の中でも特に読まれた、SNSのメッセージをきっかけにゴールデン街で会った風俗嬢とのエピソードです。 風俗嬢からの突然のメッセージ 「初めまして。突然の連絡すいません。このアカウントは、最近あなたがフォローバックした風俗嬢の日常用のアカウントです。ゴールデン街で飲んでいるというツイートを見かけて、連絡してしまいました。私もゴールデン街でよく飲んでいます。というか、実は金曜日だけ店番もやってるんですけど、よかったら飲みませんか? 返信はいただけないと思うのですが、どうしても気になってしまいまして」 Twitterで知らないアカウントからDMが届いた。最近フォローバックした風俗嬢のアカウントはどれだろう、と思って自分のフォロー欄を上から確認すると、最近フォローバックした30

    彼女が僕としたセックスと動画の中のセックスは完全に同じだった──ゴールデン街で店番をする風俗嬢から突然のDM | 山下素童「シン・ゴールデン街物語」
    shichimin
    shichimin 2022/12/21
    うん。面白かった
  • 名作マンガとその盗作?と言われた小説が「同じ実在の人物をモデルにしていたかも」という話

    またの名を田中@モデルナ×4完 @rafcooc 吉田秋生さんの「河よりも長くゆるやかに」って、福生に住んでる姉弟の話なんですけど、その中で、二人が、家族を捨てて10歳も年上の女とアパートで同棲している父親のところに、生活費をもらいに行く場面があるんですよね。とある川べりのアパートなんですけど。これが1983年の作品です。 2022-04-21 01:25:10 またの名を田中@モデルナ×4完 @rafcooc 同じ設定、同じ場面が、鷺沢萌さんという方が高校生のときに書いた「川べりの道」という小説に出て来て、この方はこの作品で1987年に文學界の新人賞を獲るんですけど、わたしはずっと、これは吉田秋生さんのマンガをどこかで読んでいて、うっかり書いてしまったケースかな、と思ってたんですよね。 2022-04-21 01:27:52 またの名を田中@モデルナ×4完 @rafcooc わたしは「川

    名作マンガとその盗作?と言われた小説が「同じ実在の人物をモデルにしていたかも」という話
    shichimin
    shichimin 2022/04/22
    鷺沢さん亡くなってたのか
  • AAゴールデンエイジ(オジョンボンX) - カクヨム

    さすがにネタバレになるので伏せますが小川一水の「○○の○」を日を舞台に、そして今書いたらこうなるだろうかと夢想しました。コンパクトで容赦のない文明批評は、日頃からもやもや考えていたことを見事に言語化してくれた感じ。なにより「ちゃんとした小説」だと思って読んでいなかったので、最後のオチにもシビレました。 そして、あえて問おう。「ここで終わるのか?」と。

    AAゴールデンエイジ(オジョンボンX) - カクヨム
    shichimin
    shichimin 2021/09/29
    よい!この未来は体験したい。
  • 戦争が子どもを怪物に変える『ペインティッド・バード』

    戦争が子どもに襲いかかり、子どもが怪物に変わっていく話。人間が、いかに残酷になれるかを、嫌というほど教えてくれる。 あまりのグロさに「劇薬小説」として認定した『ペインテッド・バード』が映画になった。 ©2019 ALL RIGHTS RESERVED SILVER SCREEN ČESKÁ TELEVIZE EDUARD & MILADA KUCERA DIRECTORY FILMS ROZHLAS A TELEVÍZIA SLOVENSKA CERTICON GROUP INNOGY PUBRES RICHARD KAUCKÝ 小説は、エグいのに目が離せない、手が離れない、強い吸引力をもつ。TIMES誌の「英語で書かれた小説ベスト100」に選ばれている。 読む地獄 戦争は大衆を襲う狂気だ。身寄りを失った10歳の男の子が向かう疎開先の人々は皆、能に忠実だ。むきだしの情欲や嗜虐性が、目を逸

    戦争が子どもを怪物に変える『ペインティッド・バード』
  • 2020年本屋大賞ノミネート! 川上未映子の最新長編『夏物語』 人生のすべてを大きく包み込む、泣き笑いの大長編。第73回毎日出版文化賞 文学・芸術部門受賞作 | | 特設サイト

    2019.07.05 2019年8月24日(土)HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGEにて花田と新井の答えのない読書討論会 vol.3「川上未映子『夏物語』について語る」<ゲスト:川上未映子さん>が開催されます ※受付終了しました 2019.07.01 2019年8月3日(土)丸善・丸の内店にて川上未映子さん トーク&サイン会 「反出生主義は可能か~シオラン、ベネター、善百合子」が開催されます〈ゲスト:永井均さん〉 ※受付終了しました 2019.06.28 2019年7月26日(金)ジュンク堂書店 池袋店にて川上未映子さんサイン会が開催されます 2019.06.24 『夏物語』第一部の連載がcakesにて始まりました。平日毎日更新されます。(cakesサイトへリンクします) 2019.06.21 2019年7月13日(土)紀伊國屋書店 梅田店にて川上未映子さんサイン会が開催

    2020年本屋大賞ノミネート! 川上未映子の最新長編『夏物語』 人生のすべてを大きく包み込む、泣き笑いの大長編。第73回毎日出版文化賞 文学・芸術部門受賞作 | | 特設サイト
    shichimin
    shichimin 2019/07/10
    川上未映子『夏物語』特設サイト
  • 松岡正剛の千夜千冊

    先週、小耳に挟んだのだが、リカルド・コッキとユリア・ザゴルイチェンコが引退するらしい。いや、もう引退したのかもしれない。ショウダンス界のスターコンビだ。とびきりのダンスを見せてきた。何度、堪能させてくれたことか。とくにロシア出身のユリアのタンゴやルンバやキレッキレッの創作ダンスが逸品だった。溜息が出た。 ぼくはダンスの業界に詳しくないが、あることが気になって5年に一度という程度だけれど、できるだけトップクラスのダンスを見るようにしてきた。あることというのは、父が「日もダンスとケーキがうまくなったな」と言ったことである。昭和37年(1963)くらいのことだと憶う。何かの拍子にポツンとそう言ったのだ。 それまで中川三郎の社交ダンス、中野ブラザーズのタップダンス、あるいは日劇ダンシングチームのダンサーなどが代表していたところへ、おそらくは《ウェストサイド・ストーリー》の影響だろうと思うのだが、

    松岡正剛の千夜千冊
  • 【12/24更新】#今まで読んだ中で一番こわい短編小説 タグまとめ

    12/24 更新 国内115+海外46作品まで集計 1/26 更新 国内95+海外45作品まで集計 今回更新分:PC=8P、スマホ=16P付近からです 1/18 更新 国内75+海外39作品まで集計 1/15 14日22時台までのツイートを掲載 1/14 集計完了作品の一覧表示を開始 1/9 集計開始 【国内の作品】 ★言及ツイート数 作者名「作品名」/収録 ☆=1/26 22:00更新分 ◇=12/24 3:30更新分 ↑=12/24 言及ツイート数を追加した作品 ★203 乙一「SEVEN ROOMS」/ZOO↑ ★149 小林泰三「酔歩する男」/玩具修理者↑ ★146 江戸川乱歩「人間椅子」↑ ★124 星新一「おーいでてこーい」/ボッコちゃん↑ ★108 江戸川乱歩「芋虫」/陰獣・芋虫 ★108 小松左京「くだんのはは」/霧が晴れた時 自選恐怖小説集 ★62 岩井志麻子「ぼっけえ

    【12/24更新】#今まで読んだ中で一番こわい短編小説 タグまとめ
  • 36年ぶりの快挙!全米図書賞を受賞した多和田葉子作品の静かな迫力(阿部 公彦) | 現代ビジネス | 講談社(1/2)

    今年で第69回を迎える、アメリカで最も権威のある文学賞である全米図書賞が11月14日(現地時間)に発表され、多和田葉子さんの小説『献灯使』の英語版 ”The Emissary” が翻訳文学部門を受賞しました。1982年に『万葉集』と樋口一葉の作品集が受賞しているため、今回の受賞は、日の文学作品として36年ぶりの受賞となります。とはいえ、日人には馴染みの薄い全米図書賞。『献灯使』という小説の何が評価され、受賞につながったのか。英米文学の第一人者である三人に寄稿していただきました。 檻の中のライオン 多和田葉子さんについて書くときは、作品そのものに強烈な個性がありすぎて「すいません、とてもご人まで手が回りませんでして」というふうになりやすい。付き添いのお母さんみたいに後回しにしてしまう。「おっと、著者もいたんですね。これは失礼しました」と。 私も今まではそうだった。 しかし、今回はおめで

    36年ぶりの快挙!全米図書賞を受賞した多和田葉子作品の静かな迫力(阿部 公彦) | 現代ビジネス | 講談社(1/2)
    shichimin
    shichimin 2018/12/24
    多和田葉子氏を知らなかった。読んでみよ。
  • 女が男を支配する社会のリアルな恐怖! 男女逆転の復讐ファンタジー!|Web河出

    解説 単行 - 外国文学 女が男を支配する社会のリアルな恐怖! 男女逆転の復讐ファンタジー! 渡辺由佳里(エッセイスト、翻訳家) 2018.10.25 『パワー』 ナオミ・オルダーマン 安原和見訳 【解説】渡辺由佳里 アメリカでは2016年の大統領選挙で、初めての女性大統領になることが期待されたヒラリー・クリントンが、ドナルド・トランプに敗れた。得票数ではクリントンのほうがトランプよりも280万以上多かったのだが、アメリカ独自の「選挙人制度」というシステムのために、選挙ではトランプが勝利したのだ。 自分に対して厳しい質問をする女性ジャーナリストたちにセクハラ的な嫌がらせをし、「スターなら、プッシー(女性器)をつかむとか、(女は)なんでもやらせてくれる」と自慢し、妊娠中にプレイボーイ誌のモデルと不倫をし、別のポルノ女優に不倫の口止め料を払い、ツイッターでも露骨な女性蔑視の発言をするトラ

    女が男を支配する社会のリアルな恐怖! 男女逆転の復讐ファンタジー!|Web河出
  • 社会は「人間を作る工場」か?村田沙耶香『地球星人』衝撃の問いかけ(堀井 憲一郎) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)

    村田沙耶香の小説は、とてもクリアである。 世界をきれいにわかりやすく説明してくれる。読んでいてなかなか気持ちがいい。 世界を捉える独自の視点がしっかり設定されており、それにぶれがない。 新しい視点を与えてくれて、そこが心地いい。 村田沙耶香の小説の魅力はそこにあるとおもう。 読みやすい。 世界を違った角度から見せてくれ、刺激的である。 ただ、その視点設定の歪みぐあいが尋常でない。 気楽に読めて、恐ろしい衝撃を受けてしまう。 村田沙耶香は芥川賞を取った『コンビニ人間』で広く注目され、今年は『地球星人』を出した。 楽しげなタイトルと、やさしい文体とは裏腹に、その描き出す世界は衝撃的である。読めば、世界が違ってみえる。力強い文学世界がそこにある。 弱い立場に甘んじない清々しさ 彼女の物語の主人公は、だいたい社会的な立場が弱い。 村田沙耶香の登場人物たちは、「暴力」に対して常に意識的に生きている。

    社会は「人間を作る工場」か?村田沙耶香『地球星人』衝撃の問いかけ(堀井 憲一郎) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)
  • 府中三億円事件を計画・実行したのは私です。

  • 「私が三億円事件の実行者です」 自称犯人の告白が「小説家になろう」に...信憑性は? : J-CASTニュース

    「府中三億円事件を計画・実行したのは私です。」――こんなタイトルの「告白文」が、今ネット上で話題を呼んでいる。 三億円事件。その「犯人」を自称する人物や、「真相解明」をうたう書籍は、これまでたびたび登場してきたが、今なお未解決のままだ。また同じ穴のムジナか――と思いきや、ちょっと今回は趣が違う。というのも、その文章が公開されたのが、人気投稿サイト「小説家になろう」なのだ。 の死をきっかけに「告白」決意 「小説家になろうをご覧の皆さん。 この場を借りて、ひとつの告白をさせていただきます。 --府中三億円事件を計画、実行したのは私です。 今なお語り継がれる未解決事件の全貌を、みなさんにお話し致します」 「小説家になろう」に掲載された独白は、こんな一文から始まる。最初の投稿は2018年8月8日、以後は中断を挟みながらもコンスタントに書き継がれ、9月23日に「完結」した。分量はおよそ8万字だ。

    「私が三億円事件の実行者です」 自称犯人の告白が「小説家になろう」に...信憑性は? : J-CASTニュース
  • 生きのびるための狂気に自覚的であること『杳子』

    電車の窓から眺めていると、自分が動いているのか、世界が流れているのか、分からなくなるときがある。特に駅に停まっているとき、向かい側の電車が動き出すとき、まるで自分の車両が発車したかのような錯覚に陥る。いまいる場所をむりやり認識しようと、軽い吐き気とともに自分を再起動する。 古井由吉の短編『杳子』の導入部が、まさにそうだった。「杳子は深い谷底に一人で坐っていた」から始まる、精神を病む女子大生と青年との異様な出会いの場面である。深い山中から、ふいに開けた谷に出るとき、眼前の岩という岩が(静止しているにもかかわらず)流れ落ちるように見えるときがある。 視界を覆い尽くす山の圧力を直接受け取るいっぽう、自身の卑小な重さと相対化し、身体が浮き上がような、さもなくば岩がのしかかってくる感覚だ。もちろんこれは錯覚なのだが、平衡感覚を取り戻そうと、軽いめまいとともに自分を再起動する必要がある。これ、山に入っ

    生きのびるための狂気に自覚的であること『杳子』
  • トマス・ピンチョン 『重力の虹』 - sekibang 3.0

    トマス・ピンチョン全小説 重力の虹[上] (Thomas Pynchon Complete Collection) 作者: トマスピンチョン,Thomas Pynchon,佐藤良明出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/09/30メディア: 単行この商品を含むブログ (14件) を見る トマス・ピンチョン全小説 重力の虹[下] (Thomas Pynchon Complete Collection) 作者: トマスピンチョン,Thomas Pynchon,佐藤良明出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2014/09/30メディア: 単行この商品を含むブログ (10件) を見る トマス・ピンチョンによる「20世紀最大の問題作」を読みおえる。上下巻で1400ページぐらい。重かった……! 旧訳でも読んでいたが、内容はほとんど覚えておらず、よく知られているあらすじである「第二次世界大戦中、

    トマス・ピンチョン 『重力の虹』 - sekibang 3.0
  • 頭がおかしくなるほどおもしろかった──《アイアマンガー》三部作 - 基本読書

    堆塵館 (アイアマンガー三部作1) (アイアマンガー三部作 1) 作者: エドワード・ケアリー,古屋美登里出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2016/09/30メディア: 単行この商品を含むブログ (17件) を見るエドワード・ケアリー《アイアマンガー》三部作が先日発売の『肺都』によって完結したが、これが当に凄い物語だった。奇しくも『肺都』が昨年最後に読了したとなったけれども、そんなことは無関係に問答無用で『肺都』が17年のベストだ。それどころか《アイアマンガー三部作》は、人生においてこれ程の熱量の物語にあと何度出会えるのだろうか……と考え込まずにはいられない、破壊的な小説作品なのだ。 人間を突き動かさずにはいられない特異なリズムがこの物語全体を貫いている。劇作家でもある著者による台詞、会話劇は一つ一つの発言が声の大きさ、息の吐く音まで聞こえてきそうな(凄まじい翻訳の力もあるの

    頭がおかしくなるほどおもしろかった──《アイアマンガー》三部作 - 基本読書