「福知山線5418M 一両目の真実」 吉田恭一著 エクスナレッジ 2006年11月発行 1470円(税込み) 文字がそんなに多いわけではないし、文章が晦渋(かいじゅう)なわけではない。本を読むのが苦手な人であっても、さっくり2時間もあれば読み終わる本だ。しかしその内容は「重い」などという一言で片づけられるものではない。2005年4月25日に発生し、死者107人を出す大惨事となった福知山線脱線衝突事故。その列車の1両目に乗り合わせ、生還を果たした記録なのである。 同事故では、脱線した車両がマンション1階の駐車場に突っ込み、1両目は壁面に激突してぐしゃぐしゃにつぶれた。当初救助に当たった人々は、残った2両目が先頭車両だと誤認し、やがて「車両の数が合わない」と気が付いて1両目が完全につぶれていることに気が付いたという。それほどひどい状況の中から著者の吉田恭一氏は辛くも生還