国内芋焼酎シェアの4割を握る霧島酒造。年間販売量は4500万本(一升瓶換算)に達し、そのうち芋焼酎「黒霧島」(通称クロキリ)が85%を占める。2014年3月期の売上高は565億円。 クロキリは1998年に発売し、14年で焼酎業界の王者として君臨した麦焼酎「いいちこ」を作る三和酒類の売上高を抜いた。11月10日号「黒霧島5000日戦争」特集では、商品の開発から販売に至る全軌跡を紹介した。消費者が支持したのは、他の焼酎よりもやはり美味いからだろうが、芋臭くない独特の風味を作り出す過程は書き切れていない。 高い品質をどう実現しているのか。一般の工場見学ルートでは入れない舞台裏から、その秘密に迫る。 連立方程式のようなブレンド比率 30:22:32:16――。作業服に身を包んだ社員が、真剣な表情で日誌に何やら数字を書き込んでいる。複雑な連立方程式のような数値の羅列。実は、これは製造後に貯蔵した複数