ブックマーク / slib.net (13)

  • 十つの春に

    雪ノ下まり子 地名などの名称は時代背景に沿った表記をしています。 『雪と花の狭間に』の番外編。蘭と一哉の出会いを綴りました。 時代背景は1997年。ポケモン、ハイパーヨーヨーの人気が出始めた時代です。 プルシアンブルーの少女 ――桜の木の下にいるはずなのに―― ただ川縁に咲く桜を見たいだけだった。 プルシアンブルーの少女の頑とした眼差しに見据えられ、立ち尽くすほかなかった。 春を告げる雪柳の香りに包まれているにも関わらず、飛鳥川一哉は全てを純白に埋め尽くす雪の清らかさに当てられた心持ちにさせられた。 「父ちゃん父ちゃん、信号機が横向きだよ?」 「そりゃそうだよ」 「福島も雪国だって聞いてたんだけどなあ。来年は修学旅行間達と福島行くと思ってたのによぉ」 隣でお菓子を頬張る花梨を尻目に一哉はため息をついた。普段ならば花梨と同じくらいお菓子にらい付いているというのに。 無理もなかった。 こ

    十つの春に
  • 時間猫

    かなかな 「お詫びいたします。昨日、あなたさまの『時間』をこちらの手違いでお渡しできませんでした。その埋め合わせとして、一日分の『時間』をあなたさまだけに日お渡しいたします。このようなミスがないよう我々【時間組合】はこれからも誠心誠意お勤めいたします」 朝起きると、自分は『時間』だと喋る一匹のがいた。普通のとらだ。いわく、人々の一日という時間はこの時間たちによって毎晩枕元に届けられているらしい。時間の配達ミスにより、私の昨日という時間だけがすっぽり抜けたようなのだ。そこで帳尻を合わせるために今回このような方法に出たという。 「それでは。どうぞ今日という一日を存分にお楽しみください」 は消えた。 私はとりあえず時計を見て、今が七時だと知る。普段通り朝をとって八時には家を出た。バス停へ行くが、誰の姿も見えない。おかしいなと思いつつバスを待つ。予定時刻を二十分過ぎても来ない。

    時間猫
  • 続・探偵に悪魔は反則です -神探シ-

    滄州 錺*文フリ大阪12こ17 初バイトがまだやめられません。兄さんごめんなさい。 update:2023.2.24 直観探偵シリーズ② 表紙感謝:ハトリ様;https://estar.jp/users/104802264 ※2/22:探偵に悪魔は反則です<探偵シリーズ①>、3/3:探偵に天使は味方です<③>掲載開始 ※エブリスタでも同シリーズを掲載しています→https://estar.jp/novels/25064556 起:落シ物 氷輪(ひわ)くんが、いなくなっちゃいました。 ある日突然、わたしはそれに気付いて、あんまりにも自然に消えちゃった氷輪くんに、背筋が冷えながら愕然としました。 わたし、ウツギ・ネコハです。異世界から日に留学に来て、女子高校生をしながら探偵バイトをしてます。 そんなわたしの高校生活を、見守ってくれたのが悪魔の氷輪くん。そのはずなのに―― どうしてなんだろう。

    続・探偵に悪魔は反則です -神探シ-
  • フリーズ45 死とハデスの狭間で

    空色凪 1宗川麗子の場合 「ねぇ。もし世界が終わるとしたら、何をたべたい?」 交差点の真ん中で、時が止まったかのような錯覚を宗川は抱く。 「え?」 振り返ると、空色のロングコートを着こなす一人の少年がいた。手には林檎を持っている。何故か、いや、必然か、宗川はこの少年に惹かれた。 「君、林檎べる?美味しいよ」 信号の音。子供の頃に聞いた通りゃんせのメロディーが想起される。確か、行きはよいよい帰りは怖い。何の話なんだろう。それすら忘れて、宗川は少年から林檎を受け取ると、我慢できずにむしゃぶりつく。 「ねぇ。もし世界が終わるとしたら、何をたべたい?」 少年は再度問いかける。 「私は……」 宗川はそう言いかけてはっとした。少年が宗川の頬に手を添えて、顔を近づける。黒の映える前髪の間から除く瞳は美しすぎて、宗川は性を越えて興奮する。いや、歓喜に近かった。もう永遠に咲くような至福。 少年は宗川の唇に

    フリーズ45 死とハデスの狭間で
  • ブルーハワイ

    世界はふたっつあるのに、みんなしてその事をずる賢く黙っている。 * 雲が真夏の空をどんどん覆って、空色をっていった。やがて東から順にダバダバと激しい雨が私たちに迫って来る。 私とケイちゃんは歓喜の悲鳴を上げながら天気の狭間を駆け抜けて、間一髪のところで目指していた駄菓子屋にたどり着いた。「危ねかったねえ」と駄菓子屋のおばちゃんは声を掛けてくれたけれど、子どもの私たちはただもじもじするばかりで、こういうときどう応じたらいいのかを心得ていない。 ケイちゃんは私と同い年のいとこで、夏休みに佐久のおばあちゃんのうちに遊びに行けば必ず会える。佐久は私にとって何もかもがダイレクトな場所だった。公園なんてちゃちなものはどこにもない。遊びに行くのは何の安全策も施されていない裸の川や山や岩場で、遊び道具は物の魚や昆虫だった。蛇口から出る水はきりりと冷たく、夏の暑さは刺すようで、冬の寒さも刺すようで。それ

    ブルーハワイ
  • 阿瀬上 礼央

    「どこでもいい、どこか遠くへ行ってくれ」 一人の男が、勢いで乗り込んだタクシーの運転手にそう告げた。 その男は、ピアノのコンクールで聴衆の態度に苛立ち、途中で演奏を放棄したピアニストの卵だった。 男の無茶な要求に対し、運転手は「かしこまりました。」とだけ答える。 人生の行き場を無くした男を乗せて、タクシーは行き先不明の目的地へと走り出す。 小説 掌編 全年齢対象 Copyrighted

    阿瀬上 礼央
  • 『ロボットロマン in ファンタジー』 カラクリ繰り 作

    カラクリ繰り 注意事項 この作品はパロディ色が強い部分がある作品です。 そういうのが不快な方はブラウザバックをよろしくお願いします。 そして私の作品を掲載してくださった星空文庫様に感謝を。 なお、文章量が多くなったため作品を分割しました。 続きは、ロボットロマン in ファンタジー(修正版)(2)からお読みください。 ロボットロマン in ファンタジー(修正版)(2)への行き方は、ページ左下にある'カラクリ繰り'をクリックしていただくと直ぐ見つかります。 よろしくお願いします。 プロローグ 俺の名前は長巻轟太(ナガマキ ゴウタ)。 勇ましい名前だがぽっちゃり体型ロボオタ現在ニートの30歳だ。 俺は今ようやく発売されたPC用オンラインゲームソフト"ロボットロマン2 誰が為のロボ、己が為のロボ"のインストール作業をしている。 「ロボットロマン2」とは、一言で言えばロボ好きのロボ好きによるロボ好

    shimatokuo
    shimatokuo 2023/03/17
    アリスとルイスの絆や成長が素晴らしかったです。また、物語もサスペンスフルでドキドキしました。
  • 探偵に天使は味方です*冬休み

    滄州 錺*文フリ大阪12こ17 お休みって不穏だね。探偵以上にキケンな日々です。 天使のスマホと悪魔のPHS、どっちに頼ろうかな? update:2023.3.14 直観探偵シリーズ④ 表紙感謝:ハトリ様;https://estar.jp/users/104802264 ※2/22:探偵に悪魔は反則です<探偵シリーズ①>、2/24:神探シ<②>、3/3:夏休み編<③>掲載済み ※探偵悪魔初期メンバーが出る&神探シ回答付きのパラレル話はこちら→https://puboo.jp/book/134686 破:迷える探偵と天使の別れ 高校の二学期は大変でした。こんにちは、ウツギ・ネコハです。 わたしは一年しか日にいない予定です。だから一学期はすごく適当に過ごしてたんだけど、夏休みの補修にちゃんと出て、宿題もわかる所だけはちゃんと書いたら、担任の先生が「やればできるんじゃないか、棯(うつぎ)」と言

    探偵に天使は味方です*冬休み
  • ジニー&リン - 還暦夫婦のバイクライフ小説

    暇があったらバイクに乗っています。定年過ぎて、今までいっぱい背負っていた責任や、持っていた権益を全て後任に譲り、再任用で呑気に仕事しています。

    ジニー&リン - 還暦夫婦のバイクライフ小説
  • 探偵に天使は味方です*夏休み

    滄州 錺*文フリ大阪12こ17 わたしは悪魔使いです。よろず相談所タカノで探偵見習バイトをしてます。 沢山の人外能力者のヒトに囲まれて、今日もわたしの高校生活は不穏です。 update:2023.3.3 直観探偵シリーズ③ 表紙感謝:ハトリ様;https://estar.jp/users/104802264 ※2/22:探偵に悪魔は反則です<探偵シリーズ①>、2/24:神探シ<②>、3/14:冬休み編<④>掲載予定 ※エブリスタでも同シリーズを掲載しています→初話:https://estar.jp/novels/24829932 守:迷える探偵に天使の導き いきなり言っても「?」だと思うけど、わたし、日風に言えば「転生者」です。こことは全然違う異世界から、人間の暮らしを学びにやって来ました。 わたしが元々いた世界は、この国からすれば野蛮な未開地帯です。良くてわたしのいた「京都」が、「日

    探偵に天使は味方です*夏休み
  • 扉のない中庭

    サラサフロラ 作 書肆彼方 編 I will give my love an apple without e'er a core, I will give my love a house without e'er a door, I will give my love a palace wherein she may be, And she may unlock it without any key. My head is the apple without e'er a core, My mind is the house without e'er a door. My heart is the palace wherein she may be, And she may unlock it without any key. ——英国の古い歌 干しわらになった王子さま 一 はじまり むか

    扉のない中庭
  • おだまきまな

    奈良に住むオタク主婦です。小説置き場として利用させてもらうので、この星空文庫さんに来ました。これまで書いてきた長編・短編小説の完結したものから執筆途中までのものなど、またシナリオもどきなども投稿したいと思います。ブックカフェとして読んでいただければと思います。どの作品も原作にプラスアルファのサプライズをつけたようなものになっています。原作改変ものなので、原作尊重派の人にはあまりよくないかもしれません。なお縦書き表示ですが、「えあ草紙リーダー」で縦書き表示にされるといいと思います。ブックマークレットが便利です。無料ですのでぜひご利用ください。https://www.satokazzz.com/airzoshi/ なおリンクしているサイト「風森の道」の中に、このブログの完結作品の小説のmobiファイルが置いてあります。kindle縦書き表示できるので、必要な方はもらってください。無料です。

    おだまきまな
  • うめか

    プロフィールを見て下さってありがとうございます。 五歩前に進むのには、五秒時間がいる。 五秒時間があれば、五行の詩を読むことができる。 私の詩は全く上手じゃないけれど、数分時間があれば読めるものばかりですので、覗きに来てやって下さったら嬉しいです。 詩は多くを語らないけれど、大事なことを伝えることができる。 事実でなくて、全くの作り物だったとしても、その中に真実が隠されている筈。 Twitterもやってるので、良かったら声をかけて下さいね!

    うめか
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