無風が予想された日本銀行の金融政策決定会合に意外な風が吹いた。金融緩和に積極的なリフレ派で知られる片岡剛士審議委員が、初めての出席で現状の緩和策は「不十分」として議長案に反対した。対案は出されておらず、次回10月会合で具体策が出されるかどうかが注目される。 7月に審議委員を退任した木内登英、佐藤健裕両氏の後任として、三菱東京UFJ銀行出身の鈴木人司氏とともに初会合に臨んだ片岡氏は、賛成票を投じた鈴木氏をよそに、現在の金融緩和は「2019年度ごろに2%の物価上昇率を達成するには不十分」として反対した。消費者物価の前年比が「2%に向けて上昇率を高めていく」との見通しに対しても、「可能性は現時点では低い」と反論した。 SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは会合後のリポートで、「マンネリ化が進んでいるとも言えた金融政策決定会合や日銀内の議論に片岡委員が新たな風を吹き込んだ」との見
<北朝鮮が核実験を行った数日後、韓国でソウル防衛対話(SDD)が開催された。今年は43カ国から860人が参加した。欧米と中国では「抑止」の考え方が異なり、サイバー攻撃ではなおさらこれまでの概念が通じないことが明らかになった> 北朝鮮が6回目の核実験を行った数日後、韓国の国防部が6回目のソウル防衛対話(SDD)を開催した。今年は43カ国から860人が参加したという。四つの全体セッションに加え、二つの特別セッションが同じ時間に並行して開催され、全体で六つのセッションがあった。その裏で、各国政府の次官級会合が二カ国間、多国間でも開催された。外遊中の文在寅大統領は録画ビデオでメッセージを寄せ、宋永武国防部長官と李洛淵国務総理が開会式で挨拶し、徐柱錫国防部次官が終始ホストを務めた。 すれ違う安全保障の概念 多くの参加者の関心は、核実験、ミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮への対応だった。多くのスピーカー
「決定力」なき野党に失望 週明け以降、衆議院の解散・総選挙の可能性が急激に高まっている。9月23日には主力紙が「政府与党が、9月28日の臨時国会冒頭での衆議院解散、10月10日公示、22日投票で最終調整に入った」と報じた。その後のニュースはほぼ衆院の解散・総選挙一色となっている。 衆議院の解散権を持つ安倍首相は、インタビューで、「具体的な日程については、訪問先のニューヨークから帰国する9月22日以降に判断する」と述べており、解散の有無や日程については現時点では、明らかにされていないが、連立与党である公明党の山口代表と会談するなど、事前の調整が着々と進んでいるようである。 今年の半ば以降、「一強」といわれた安倍内閣の支持率が急落し、一時は政権の存続が危ぶまれる水準まで低下した。支持率急落の理由は、「森友・加計問題」だったが、問題がほぼ沈静化した現時点で振り返ってみると、結局、あれも何だったの
2017年7月、北朝鮮は4日と28日に相次いで新型の移動式大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」の発射実験を実施した。発射は通常よりも高い放物線を描くロフテッド軌道で行われたものの、その高度はそれぞれ2500キロ、3500キロ以上にまで達し、通常弾道軌道に換算すると1万キロ近い飛行が可能であることが明らかとなった。これは平壌から約1万1000キロ離れたワシントンDCを目前に捉える距離である。そして9月3日には、6度目となる核実験に踏み切り、ICBM搭載用の水爆実験に完全に成功したと宣言した。 既に米国防情報局(DIA)は、2018年内にも北朝鮮が核搭載可能なICBMを実戦配備すると見積もっているといわれ、米国内では「非核化のための努力はもはや時間切れであり、北朝鮮の核保有を認めざるをえない」との声も聞かれる。その一方で、北朝鮮のICBMは米国にとっての「ゲーム・チェンジャー」であり、日
第1回李浩哲統一路文学賞受賞者の金石範氏 「朝鮮を卑下した川端康成に怒り」 18日の懇談会で「朝鮮籍」に関する考えなど述べ 「日本のノーベル文学賞受賞作家の川端康成がどこかで『朝鮮をテーマにした文学は普遍性がない』と言ったことがあります。その言葉が、若い私には骨身にしみて迫ってきました。日本文学は上位文学で在日朝鮮人文学は下位文学という、帝国主義的な発言でした。私の一生は、想像力を武器にして、日本語で朝鮮を書くことができるということを証明してきた過程でした」 済州4・3抗争を描いた大河小説『火山島』で第1回李浩哲統一路文学賞を受賞した在日同胞の作家・金石範氏(<キム・ソクポム>93・写真)は、このように語った。18日昼、ソウル恩平区(ウンピョング)のある飲食店で記者団と会った彼は、『火山島』の執筆過程と「朝鮮籍」にこだわる理由、ろうそく革命後の韓国社会と南北関係などについて、率直かつ情熱的
これが国立大学の現状か… 筆者はこれまで、日本各地の大学で起こっている「非常勤講師・職員の雇い止め」問題をレポートしてきた。今後、大学は職員の雇い止めをさらに進めていくことは想像に難くない。 今回は、なぜ大学が「雇い止め」を進めているのか、そして、その安直な方針が今後の大学運営にどのような影響を与えるかについて記したい。 2015年5月、日本国内の大学関係者が驚愕する、ある報告書が作成された。執筆者は、国立大学協会政策研究所の豊田長康所長。「運営費交付金削減による国立大学への影響・評価に関する研究」と題されたこの報告書には、国からの大学運営費交付金が年々削減されたことに連動して、国立大学で書かれた論文の数が減少していることを明らかにしたのだ。 OECD加盟国で論文数が減っているのは日本だけであることも示されているうえ、2012年時点での人口当たりの論文数は最も少ないという。 「これが日本の
ウェブページのアーカイブを記録するサービスとして長く愛されている「ウェブ魚拓」。なんと2015年でオープンから10周年を迎えたそうだ。ネットの(炎上の)歴史とともにじわじわとユーザー数を伸ばしてきた。 そもそも誰がなんのために作ったサービスなんだろう?と思っている人も多そうだが、じつは広告収益よりも課金サービスのほうが好調な、手堅くはっきりとしたニーズに支えられたネットサービスだ。 そんなウェブ魚拓のアイデアを生み出し、運営会社の創業者でもある新沼大樹さんにサービスを作ろうとした経緯や、思い出に残るネット炎上、そして知られざる新沼さんご本人のワークスタイルについて聞いた。(取材場所は宮城県内にある新沼さん宅) ※ウェブ業界きっての肉体派・新沼さんの知られざる素顔に迫った後編はこちら。 消えていく不都合な情報、「もやもやする」気持ちがきっかけ ーーウェブ魚拓ってもう10周年になるんですね。そ
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