では、ソーシャルメディアがある今、テレビはその時間性を発揮できるのだろうか。ツイッター、フェイスブックでリアルタイム性は、テレビを超えているのではないか。 これに対し、前川氏は、「そんな時間性は捨てちまえばよい」と説く。 私もそう思う。リアルタイム性、シェアといった機能が、ソーシャルメディアに代替されるという流れは誰にも変えられない。 テレビの「時間性」は、情報の素早さや生情報をそのまま流す「機能」を指すわけではない。 テレビの「時間性」とは事象の「切り取り方」それ自体を指し、その切り取り方が、リアル以上の領域に入った時に、テレビメディアの表現論が成立するのだろう。 サッカー場に行って、「やっぱり、実際に来てみるといいね」と言われているとしたら、テレビ中継は表現として現実を超えていないことになる。実際にスタジアムに来られない人のためのツールでしかない。