現在では、そうではないのだろうが、よくゴ フマンや象徴的相互作用論の一般的解説を読んでいる と、象徴的相互作用論者としてゴフマンが解説することがしばしば見受けられる[Smith 2006:31]。 これは、ゴフマンが1940年代の後半にシカゴ大学社会学部ならびに大学院で教育を受けたことか らくる、教育を受けた=学派の一味であるというステレオタイプに起因するのではないかと思われる。 ゴフマンの生活史と彼の学問のスタイルの関係についてはイーヴ・ヴァンカン(Yves Winkin)の『アーヴィング・ゴフマン』[せりか書房](Les Moments et Leurs Hommes, 諸契機とそれらの人間たち)に詳しい。 私がゴフマンにしびれるのは、ゴフマンが人間の内面に立ち入るという研究的態度に対して禁欲ある いは意図的な無視・軽視というものがあるからに他ならない――ゴッフマンの自己(self)と