朔ユキ蔵『お慕い申し上げます』について書きたいと思いながら1年以上たってしまった。 書けないなら書けないでもいいじゃん、という声も自分の中から聞こえてくるけども、アウトプットしなければやがて消えていってしまう。いろいろ本も読んでいろいろ考えたことが消えてしまう。それは俺としては惜しい。社会的損失かどうかは別にして。 『お慕い申し上げます』は、寺の話である。 寺の跡取りをどうするか、という話も一つのテーマで、そこから、寺院というシステムが将来存続できるのかという広がりに繋がっている。 もう一つは、仏教そのものがテーマである。寺院が存続していけるのか、ということは信者と集金のシステムとして存続できるかという問題であるが、その中核にあるのは、本来仏教という宗教がこれからも必要とされ続けるのか、というテーマでもある。 佐伯清玄(さえき・せいげん)という29歳の男が副住職をつとめる祥願寺という寺に、