1999年の2~6月頃に経営する会社の男性従業員Aさん(当時24、25歳)を川に転落させ、溺死させたとして殺人の罪に問われた福岡県嘉麻市の会社社長・井手口信次被告(54)に対する福岡地裁の裁判員裁判。無罪を主張していた井手口被告に対し、足立勉裁判長は6月2日の判決公判で「殺人罪の成立を認めるには合理的な疑いが残る。傷害致死罪は成立するが、公訴時効が完成している」と免訴の判決(求刑は懲役13年)を宣告した。(ルポライター・片岡健) 免訴とは、有罪・無罪の判断をせずに裁判を打ち切ること。井手口被告は公判終了後、法廷で釈放され、傍聴していた家族らと共に帰宅した。 この事件は2015年に16年前から失踪していたAさんの白骨化した遺体が田川市の池で見つかって発覚。井手口被告は同年10月に逮捕、起訴されたが、2010年の法改正で殺人罪の公訴時効が撤廃される以前なら殺人罪の時効も成立していた事件だった。