1993年のアメリカ映画「ALIVE」、邦題は「生きてこそ」というこの映画は、公開当時良くも悪くも「問題作」として話題に上がっていた。その時は結局観に行かなかったのだが、ずっと気になっていた映画の一つである。実話を元にしたドキュメンタリー小説「生存者」が原作の映画だ。 極限状態が浮き彫りにする人間の光と闇、そして崇高なる精神 1972年のウルグアイ空軍チャーター機がアンデス山脈に衝突した事故で、乗客はステラ・マリス・カレッジのラグビーチームのメンバーとその関係者だ。 有名な話ゆえにネタばれとはならないと思うので書くが、食糧が尽きた彼等は、最終的に先に逝った乗客の人肉を食することで飢えをしのぐ「究極の選択」の物語なのだ。 日本でも戦時中類似した事件=ひかりごけ事件があり、この事件を題材とした武田泰淳の「ひかりごけ」という小説を筆者は読んでいる。それはあくまで当事者への取材は無く現地の噂などを
スーツの歴史【前編】ジェントルマンの意味に潜む近代スーツの誕生秘話 に続いて、誕生した近代スーツが現代に至る変遷を書こう。未読の方は前編から読んで頂きたい。 http://www.brooksbrothers.co.jp/ourstory/history/ ~職人と工業化、量産と一張羅、相対するものが切磋琢磨~ 民衆から尊敬の目で見られていたジェントリーたち、つまり「ジェントルマン」の装いとしての、約100年前のスーツの誕生までを時間遡行した。当時はまだまだ既製服のスーツは存在しなかった。 上流階級である英国の貴族や指導者階級、ジェントリーたちがサヴィルロー通りに割拠するビスポークテーラー(仕立て職人の店)で服を注文していたが、その文化は今も息づいている。 そして次にイージーオーダーやパターンオーダーが生まれ、それから既製服につながる・・・かと思いきや、これは逆だ。既製服がイージーオーダー
筆者のかつての本業、紳士服業界が長かったので、たまには服飾に関することも書こう。今回は、あまり知られていないテーラードスーツの誕生秘話についてだ。テーラードスーツとは、ビスポークテーラー(英国の仕立て屋)で仕立てられるタイプのいわゆる背広型の洋服の事を指す。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%83%8C%E5%BA%83 ~なぜスーツの形は200年間もほとんど変わらないのか?~ 現代においてスーツもしくはメンズスーツと言えばテーラードスーツを意味する。では、テーラードスーツ(以下スーツ)における、歴史の中でのデザインの変遷と、スーツを着る精神的ならびに文化的背景という二つの面から語りたい。 まずはデザインの変遷から見るスーツの誕生について。 スーツは洋服の中で、20世紀初頭からほとんど基本形を変えないで、世紀を超えて愛されてきたという、恐ろしいほどのロング
2011年の夏から秋にかけて、ちょくちょくスカイプで話をしたアンドレアはブリガムシティーというアメリカのユタ州北部、ワサッチ山脈の麓にある人口都市約1万8千人の都市に住んでいた。 アンドレアは日本に嫁ぐ夢を追い続ける乙女、されど学士 〜 英語ネイティブ交友録 Andrea(Utah, United States)〜 「英語喉ラジオ」とは2011年頃、筆者が大学卒業以来の英語再学習を「英語喉」で始め、ほどなく開始した「MASA RADIO」というポッドキャストで、ネイティブをゲストに迎え、英語学習駆け出しの筆者が英語でインタビューするチャレンジ企画だ。 Sponsored Link Advertising 彼女はコンピュータサイエンスの学士を持っている、いわゆるエキスパートだった。しかも当時彼女は、さらに別の学士を取ろうと試みている最中だと言っていた。 そんな上昇志向の女性であるアンドレアで
急性骨髄性白血病により27歳で若くして逝った妻、女優・夏目雅子は伊集院静にとって宝珠であった。彼は病気の発覚とともに全ての仕事を止めて全力で病床の雅子に寄り添うも、運命は残酷であった。底の見えない絶望の深淵に佇み、彼はアルコール依存症となる。だが、ある人物との出会いで次第にいのちの傷が癒されゆく。 〜決して癒えることのない傷さえ癒す「いねむり先生」とは〜 伊集院静の作風には、どのような悲惨な状況でも、人間に対する信頼が根底に横たわっている。作品によってその規模は様々ではあるけれど、ひとつひとつが「再生の物語」であると言えるだろう。 しかもこの作品は、他の彼の作品とは一線を画している。なぜならずばり彼自身・・・作者本人の再生の物語なのだ。 Sponsored Link Advertising 作者にとってかけがえのない妻をあまりにも早く失い、彼はアルコールに身を溺れさせてゆく。 そんな彼、作
モード奏法というのはモダン〜コンテンポラリージャズのインプロヴィゼーション(即興演奏=アドリブ)の方法論のひとつだ。ジャズ音楽の生命線は言うまでもなく、即興演奏(アドリブまたはインプロヴィゼーション)である。 ~ジャズにコンテンポラリーな世界観への扉を開いた奏法~ 19世紀の後半にアメリカのニューオリンズで産声を上げたジャズは、そのスタートから異民族、そして異文化が混ざり合いぶつかり合う中で成長するという、極めて自由度の高い楽団音楽だった。 やがて決まった旋律の繰り返しに飽き足らず、リードを取る楽器がフェイクと呼ばれる本来の楽曲の旋律をどんどん変化させて楽しむ手法を多用するに到った。 Sponsored Link Advertising それにより、演奏する側も聴く側も、同じ音楽空間を共有し楽しめる音楽として民衆の中に浸透するのには、さほど時間を要しなかった。 そしてブルースから生れたブル
アイオワ州のブリタニーと知り合った8年前、彼女は20歳ぐらいの若さにも関わらず、関西のオバちゃんたちのように世話焼きなネイティブだった。もちろん良い意味で。スカイプを通して観たルックスは、ラルフ・ローレンのモデルでもできそうな、上品なアメリカ娘だった。ルックスと世話焼き加減のギャップがなかなか素敵であった。 Contents 〜 英語ネイティブ交友録 Britany(Iowa, United States)〜 アドリブ英語の効用 世話焼きかつ優しいアメリカ娘だったブリタニー Sponsored Link Advertising 若くして関西のオバちゃんばりに世話焼きなブリタニー 〜 英語ネイティブ交友録 Britany(Iowa, United States)〜 「英語喉ラジオ」とは2011年頃、筆者が大学卒業以来の英語再学習を「英語喉」で始め、ほどなく開始した「MASA RADIO」
南勝久による「ザ・ファブル」は筆者としては久しぶりに出会った、本当に面白いアウトロー漫画だ。おかしな言い方だが、アウトロー漫画、あるいはスナイパー漫画としての品格を備えている。そして現在も進化しながら、連載が続いている。 稀有なる格調高きアウトロー漫画よ「ゴルゴ」を抜き去れ 小説では「ピカレスクロマン」つまり悪漢小説というものが存在する。犯罪者に限らず広い意味での悪人が主人公であり、「白い巨塔」なども含まれる。 それと同じではないが、多少似たニュアンスで漫画の世界に「アウトロー漫画」が存在する。ヒットしたもので言えば和久井健「新宿スワン〜歌舞伎町スカウトサバイバル〜」や高橋ヒロシ「QP」、真鍋昌平「闇金ウシジマくん」などだ。 そしてある意味この系譜の頂点?に立つとも言えるのが、さいとうたかおのライフワークである進行形の名作「ゴルゴ13」かも知れない。 彼は瀕死になりながらも船から脱出し、あ
アンディは当時(2011年)、オーストラリアに住む大学進学を控えたハイスクールスチューデントだった。Masa Radio を始める少し前、その時はまだ確か6~7人だったネイティブ友人やクレイジー・サーファー・ビジネスマンの田地悠平さんと英語で会話しては、ポッドキャストごっこのようにアップロードしていた。 アンディは宮崎駿ファンでジブリを卒業研究のテーマにしていた 〜 英語ネイティブ交友録 Andy(Sydney, Australia)〜 「英語喉ラジオ」とは2011年頃、筆者が大学卒業以来の英語再学習を「英語喉」で始め、ほどなく開始した「MASA RADIO」というポッドキャストで、ネイティブをゲストに迎え、英語学習駆け出しの筆者が英語でインタビューするチャレンジ企画だ。 Sponsored Link Advertising これは余談だが、悠平さんと居酒屋でトークしたものや、面白かったの
アメリカ人青年ベンは知り合った当時(2011年)オハイオ州にすむ学生だった。言語交換サイト Lang-8(現在新規登録は停止中)で知り合い、お互いの書いた文章(彼は日本語で私は英語)を添削し合う仲になり、スカイプでボイスチャットやビデオチャットもするようになっていった。 シャイな青年BEN (Ohio, USA)は筋地金入り日本アニメファン 〜 英語ネイティブ交友録 Ben(Ohio, United States)〜 「英語喉ラジオ」とは2011年頃、筆者が大学卒業以来の英語再学習を「英語喉」で始め、ほどなく開始した「MASA RADIO」というポッドキャストで、ネイティブをゲストに迎え、英語学習駆け出しの筆者が英語でインタビューするチャレンジ企画だ。 オハイオのベンは非常に日本好きだが、「僕はヲタクじゃないよ!」と出会った最初から強調していたのが印象に残っている。 Sponsored
5年ほど前に、この楡周平の読み応えある小説「陪審法廷」を読み終わった時、胸の奥からこみ上げる熱いものをこらえ切れなかった。そして思った。もし自分が将来において、「裁判員」に選任されるようなことがあれば、その時はもう一度この一書を深く読み返そう・・・冷めやらぬ興奮とともに心でそう誓った記憶は今でも鮮やかだ。 歳馬人制度導入の前に問題提起の一石を投じた作品 日本版の陪審員制度とも言える、国民参加の裁判員制度が導入される前に発表された作品だが、それを意識して執筆されたのはまず間違いないだろう。 物語は終身刑か無罪かという、第一級殺人罪で裁かれる日本人少年研一の事件を軸に描かれる。 アメリカのフロリダ州で、義父に3年間に渡り凌辱を受けていた少女パメラからのやむにやまれぬ告白により、彼女に想いを寄せていた研一が激しい義憤に駆られ、その義父に向けて拳銃のトリガーを引いて殺害してしまうのだ。 裁きの場に
熱く骨太な物語を書かせたら日本でも指折りの、夢枕獏の渾身の長編小説「神々の山嶺」(以下「神々」)は、数十年に一度出るか否かの傑作冒険小説だと言っても過言ではない。読まずに死ぬのは勿体無いと思える本のひとつである。 ~「神々の山嶺」は数十年に一度出るか否かの傑作小説~ 「今夜、すべてのバーで」「レディ・ジョーカー」と並ぶ再読系 登山家が追い求めるロマンの片鱗を見せてくれる小説 命を削るような言の葉の数々 Sponsored Link Advertising ~「神々の山嶺」は数十年に一度出るか否かの傑作小説~ 純度の高い山岳文学でもあり、しかしミステリー要素もあり、またエンタテインメント、とりわけ冒険小説の要素を全て備えた作品でもある。真に良い小説はジャンル・カテゴリーを超えて感銘させ得るものだが、まさにこの一著はそうであろう。 著者・夢枕獏自身は「陰陽師」「キマイラ」「飢狼伝」等のSF寄り
小松左京・谷甲州共著による「日本沈没 第二部」は、超分厚い本でしかもページが二段組みだ。二度目だが、文句なしに面白かった。「日本沈没」発表から33年越しで完成したいわくつきの作品だ。数名の、小松左京を慕う作家たちで組まれたプロジェクトとして制作されたものである。 ~これは小松左京を敬愛する作家たちのプロジェクトだった~ 私は面白そうな小説は、ジャンルを選り好みせず手当り次第読んでいる。物書きになる前との読み方と違うところは昔は単なる客、今は客であり尚かつ、市場調査をしているような感じだ。 曲がりなりにも物を書くことを生業をする筆者にとって、物語や文章の名人、達人による面白い小説はあらゆる意味で勉強になるし、お手本とヒントの宝庫だ。 Sponsored Link Advertising この「日本沈没 第二部」のプロジェクトは、数名がかりで部門分けをして、プロたちが練り上げたものを、谷甲州が
「Masa Radio」は以前、筆者が英語喉実践の一環として発信していた、自作ポッドキャストのことだ。2011年当時は無料で使えたAudioBoomというアプリケーションを使用して作っていた。 画像引用元 https://jamaicanlearningjapanese.wordpress.com/ ~ 英語ネイティブ交友録 Mercus (Jamaica) ~ このMasa Radioは言語交換サイトで知り合った主に英語ネイティブ(一般市民)たちに、Skypeで筆者がインタビューするという5分間のトークセッション番組だ。 英語喉開発者の上川氏、カズさんは幾度となく「外人相手に英語でPODCASTを始めたのはMASA(筆者のこと)だ」と讃えてくれており、カズさん自身もそれに触発されたと公言して同様の録音番組を始め、その流れは現在も続いている。 Sponsored Link Advertis
物語の冒頭、満州新京の「満映」スタジオにて理事長甘粕正彦が、官僚浅井源二郎に真剣に何事か頼んでいる。それは浅井の娘である恐ろしいほど美しい4歳の信子を、将来必ず満映の女優にして欲しいと・・・女優浅丘ルリ子の胎動の瞬間だった。 昭和の大物スタアたちが実名で繰り広げる絢爛な銀幕裏絵巻 最近では長編小説「西郷どん」が大河ドラマ化して、実力派作家としての風格が漂って来た林真理子だが、本来私の彼女の小説に対する印象は「面白いけど後味が悪い」だった。ただし、後味が悪くても、また読みたくなる粘っこい魅力があるということは否めない。 その辺りは彼女の出世作である、直木賞を取った「最終便に間に合えば」などでも同様の楽しみかたができる。人間関係で悩む人は、中途半端なカウンセリングを受けるよりも「最終便に間に合えば」を読む方が、人間の弱さを知ることによって強くなれる気がする。 さて、後味が悪い彼女の小説だが、こ
「ジョーカー・ゲーム」は柳広司による、日本ならではのオリジナリティ溢れるスパイ小説だ。いや、「知の巨人」と言われる、元外務省主任分析官である作家の佐藤優によれば「インテリジェンス・ミステリー」という新しい分野だと讃えている。 「知の巨人」佐藤優がインテリジェンス・ミステリーと命名 この本は連作形式、つまりある同一設定のもとでの別々のエピソードの短編集であり、全体として一つの長編としても読めるタイプの編纂パターンであり、私もその形式は割と好きである。 余談だが、この連作形式と通常の長編小説を、見事に違和感なく融合したのが横山秀夫だ。特に色々な意味で物議を醸した、それでも名作と言える「半落ち」はその典型だと思う。 話を戻して、この連作の各エピソードの舞台は終戦前夜の敗色濃厚の日本、同時期のイギリス、同じくシンガポールなどだ。 実在した日本の諜報員養成機関「陸軍中野学校」をモチーフとした「D機関
英語講師JOYさんこと和泉有香さんは物凄い人で、なんとTOEIC1390点講師なのだ。つまりTOEICフルスコア990(何度も・・・)でTOEIC S/Wテストもフルスコア400、英検1級は優良賞受賞とともに獲得された。 ライフワークは英語教育カリスマ講師ジョイ先生と英語対談 英語通訳案内士もこなし、ご自身もファンであられる「宝塚歌劇団」の通訳も・・・全日本青少年英語弁論大会審査員を務め、大学や専門学校などでTOEIC対策を教えるJOYさんは、留学経験なしの努力と継続のひとだ。 彼女の著書「はじめての英検準1級総合対策」はロングセラーとなっている。 Sponsored Link Advertising 今にして思えば大学卒業以来の英語学習再開後たかだか半年で、英語喉だけを唯一の武器として、筆者はこのような凄い人と(認識してはいたが)Masa Radio を、前半後半の二部構成となったプログ
学校では教えてくれない、英語ネイティブスピーカーが普段によく使う言い回しの「生きた英語」を、筆者の経験を元にセレクトして紹介するシリーズの第5回目だ。 https://www.girlonguy.net/ Sponsored Link Advertising 生きた英語頻出言い回し5: the way one ~s The way one ~(s) は「彼のプレゼンの仕方はとても個性的だ」とか「彼女の踊り方は非常にユニークだ」のように、誰か(自分も含めて)の・・・行動や思考、生き方もすべて含めての「何らかのやり方」について、いつでも何にでも使えるうえ、多くのネイティブが好きな言い回しだ。 The way one ~(s) は非常に自由度が高く、主語に何を持ってきても大丈夫だ。同じ意味合いの言い回しで one's way of ~ing というのがあり、これはよく耳にすると思う。 しかし断然
前回の「深掘り母音」(筆者が命名)に言及したコラムが、思いの外アクセスが多かった!このブログのメイントピックのひとつとして英語喉関係のコラムを続けているが、有難くも「英語喉」に興味を持ち始めたと言ってくださる読者が増えているので、音声での補足説明も導入することを決意した。 ネイティブ重要母音を抑え、同時に聴き取り向上も図ろう 前回のコラム「英語喉が気になる人必読!深掘り母音i&uはネイティブ発音に不可欠 」で言及した「深堀り母音」についてさらに「掘り下げ」てみようと思う。 前回の情報を理解して頂いた前提で、進めていきたいと思うので、未読の方は・・・上記のコラムをまずお読み頂いてから、このコラムに戻っていただければ幸いだ。 Sponsored Link Advertising 前回色々と i と u について書いたが、アクセスが多いのを知るにつけ、有難いと思う一方でふと考えた。文章の中での説
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