諸葛亮(しょかつりょう)は、魏(ぎ)の要職を占めるまでになった司馬懿(しばい)を警戒していた。 その司馬懿が曹叡(そうえい)に免官され、故郷へ帰されたと聞くや、諸葛亮は劉禅(りゅうぜん)に「出師(すいし)の表」を奉呈。宿願の北伐を断行し、自ら大軍をひきいて成都(せいと)を発つ。 第278話の展開とポイント (01)成都 丞相府(じょうしょうふ) 馬謖(ばしょく)は、魏における司馬懿の立場を自己分析してみせたうえ、諸葛亮に一計を献ずる。 「司馬懿は自ら封を乞うて西涼州(せいりょうしゅう)へ着任しました。明らかに彼の心には、魏の中央から身を避けたいものがあるのでしょう。当然、魏の重臣どもはその行動を気味悪く思い、狐疑していることも確かです」 「そこで、司馬懿に謀反の兆しありと、世上へ流布させ、かつ偽りの回文を諸国へ放てば、魏の中央はたちまち惑い、司馬懿を殺すか、官職を褫奪(ちだつ。奪うこと)し
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