ごく小さな微生物が、生殖を行わずにどのようにして5000万年にもわたって繁栄を謳歌できたのか、その謎が解明された。なんと自ら干乾し状態になるというのだ。 淡水に生息する無性の無脊椎微生物であるヒルガタワムシ(学名:Bdelloid rotifer)は逃走の達人といえるだろう。自ら干乾し状態になり風に吹き飛ばされることで、進化のレースをも逃げ切ってきたのだ。ほとんどの動物にとって生殖行為は繁殖の手段であるほか、進化の過程で敵対する種を寄せ付けない機能も果たす。 「生物が生殖行為を絶ってゲノムが固定されると、進化の競走の過程で敵対する種に追いつかれ、間もなく制圧されてしまう」と、ニューヨーク州にあるコーネル大学の神経生物学者ポール・シャーマン氏は説明する。この理論は「赤の女王仮説」と呼ばれ、ほとんどの動物が生殖のためなら相手を求めてどこまでもひた走る理由を説明している。 動物界で唯一の“古代無