システム開発は,「ナイスショットを連発する」ことではなく,「ミスを最小限に食い止める」ことが大事です。では,どうすればミスを最小限に食い止めることができるのでしょうか。また,そこにおいて,ITアーキテクトの果たす役割とはどのようなものでしょうか。筆者なりの考えをまとめたいと思います。 複雑さがミスを生み出す 考える材料として,「ITシステム」を取り上げます。ITシステムを単純にとらえれば,入力された情報を加工した後で出力します。こうとらえると,システム開発という作業も同じようなものといえるでしょう。入力に当たるのは,顧客が考える“欲しいシステム”。それをプログラミングという加工を施し,実際に稼働するシステムという出力を作ります。 ただ,システム開発とITシステムでは,入力・加工・出力の複雑さに大きな違いがあります。ITシステムは,決められた入力情報を決められたルールで加工し,決められた出力