オフィスに隣接する猪瀬氏の大きな書庫は、4階建て、高さ10メートルの吹き抜けを中心に設計されている。天井まで伸びる本棚が四方の壁を埋め尽くし、そのなかには過去の著作で参考にした文献が並ぶ。吹き抜けの中心には階段がある。各階にはさまざまな辞典が並ぶ部屋や貴重な資料のスクラップが所蔵される部屋がある。泊まり込みで執筆する際に使うという部屋もあった。 4階まで上がり、地階を見下ろしたとき、猪瀬氏は「この高さから何を思い浮かべる? 飛び込み競技の飛び込み台からプールの水面までが10メートルなんだよ」と言った。 猪瀬氏の脳内を具現化したようなライブラリのなかで、私は今にも溺れてしまいそうだった。 本を書くための「ひとりGoogle」 「この書庫は『ひとりGoogle』なんだよ。Google検索がない時代に、ひとりで検索ができる世界を作り上げたってことなんだ。一冊の本を書くためには、何百冊もの本が必要