私の経営する中西印刷は明治の非常に早い時期に京都の地に活版印刷を導入し、その後活版印刷の会社として百年以上の歴史がある。この件については、本誌の印刷史関係の記事でも何度か紹介していただいている。 実はさらに活版以前に、木版の時代があったというのが口伝としてあった。しかし、その証拠となる木版時代の本というのはこれまで発見されていなかった。木版・活版・平版・デジタルという4つの印刷形式を駆け抜けた会社という当社のキャッチフレーズには実のところ証拠がなかったのだ。 そのことを気にして、亡くなった伯父は京都中の古本屋から明治初期の書籍をかたっぱしから取りよせて、中西製木版本を探したが、結局、亡くなるまでに中西製木版本を発見することはなかった。 ところが木版による出版物が発見できたのである。それも国立国会図書館デジタルコレクションでなのだ。 国立国会図書館デジタルコレクションは書籍の全ページの画像を