25人も入れば一杯になるミーティングルームのスクリーンに映し出されているのは、ヨーロッパの試合映像である。 だがそれは、チャンピオンズリーグの一戦でも、欧州1部リーグの試合でもない。 FAカップのアーセナル対リーズ――。 しかも、フォーカスされていたのはロンドンの名門クラブではなく、イングランド2部リーグに属する後者だった。 リーズの選手たちがものすごい迫力で相手選手に襲いかかり、容易にパスを繋がせない。苦しまぎれに蹴られたボールを回収し、瞬く間に相手ゴールへと押し寄せる。 相手のカウンターになりそうな場面でも5~6人が全速力で帰陣し、アーセナルの速攻を阻止してしまった。 薄暗い室内で、霜田正浩監督が選手たちに熱っぽく語りかける。 「リーズはイングランドの2部だ。代表選手はひとりもいない。特別な選手もいない。それでも魂のこもったサッカーでプレミアに上がろうとしている。この迫力、このインテン