私の意見を投稿するよりも分かりやすいと思いますので、引用しますね。 以下は、講談社メチエ刊、藤田正勝著『現代思想としての西田幾多郎』よりの引用です。 『個人は、一方において社会のなかで生まれ、その影響下に生きるとともに、他方、その限定から独立して自己自身を限定し、かつ逆に社会を「改革する」。個物は、「社会的・歴史的限定の極限」であると同時に、社会を変じ、歴史を動かす。この個人と社会、個物と環境との相互限定のプロセスを、西田はヘーゲルやマルクスの影響のもとで、「弁証法的過程」という言葉で呼んでいる。この弁証法への注目は、しかし、西田が「場所」の思想を放棄したことを意味しない。西田は弁証法的な仮定ないし運動を、一つのものの連続的な発展としてではなく、「絶対無の自己限定」から理解する。西田の考えでは、一般者の連続的な展開からは絶対に独立した個物は──つまり一般者から限定されるだけでなく、一般者を