東日本大震災で被災した宮城県石巻市中瀬の市指定文化財「旧石巻ハリストス正教会教会堂」の解体作業が進められている。教会堂は1978年の宮城県沖地震で被害を受け、現在地に移築された。市は解体した上で、再度移転・復元する方針。 教会堂は1880年の建造で、木造教会として国内最古とされる。震災では約5メートルの津波に襲われ、外壁が損壊するなどした。 解体は3月に始まり、構造と使用資材の調査が同時に行われている。現在は基礎部分と柱だけになった状態で、8日は十字架が外された。 木製の骨組みを銅板で覆った十字架は、屋根の上に設置した土台にはめ込まれていた。作業員たちはクレーンを使い、慎重に取り外した。 作業は5月半ばに完了する予定。瓦と柱などは復元する際に再利用できるかどうか調べ、天井や壁の一部は津波の痕跡を示す史料として保管される。 解体作業を担う文化財保存計画協会(東京)の津村泰範主任研究