散歩の途中、公園のベンチにすわってひと休みしていたら近所の保育園のこどもたちの一群が保母さんに付き添われてやってきた。自由時間らしく、それぞれに走ったり、木の枝で地面に穴をあけたりして遊んでいる。ほほえましい風景である。 そのうちひとりの男の子が、わたしのそばに来て、顔をじっとみつめる。おや、どうしたの?ボクいくつ?ときくと、ミッツと答える。お利口さんね、名前は?とやりとりをはじめたら、遠くでみていた保母さんが血相変えて飛んできて、勝手に話しかけたりしないでください、さあ、こっちにいらっしゃい、とその子の手をひいて連れていってしまった。 ≪公園での会話まで禁止とは≫ なるほど、いまの世の中、どこに不審な人間がいるかわからない。公園のベンチでボンヤリしているオジイサンだって変質者かもしれない。たぶん保母さんは責任上、そうお考えになったのであろう。でも、わたしはなんとなく淋(さび)しくなった。