うつ病の病前性格といえば、テレンバッハのメランコリー親和性性格と下田の執着気質が有名。日本語で出版されてるうつ病の本(論文でもそうなのだが)を見ると記載率がきわめて高い。しかし、うつ病の病前性格なんて世界的には否定されていますよというのが今回のエントリ。 多田幸司, 2010「非定型うつ病とパーソナリティ」『精神神經學雜誌』112(11): 1091-1096. うつ病の説明は下記のような感じになっている。 彼(下田)はうつ病を病前性格,誘因,発症とはじめて統合的に理解し,これが日本では広く支持された(誘因というのは心因と異なり単なる引き金であり,原因は別のところにあるという意味である).その後テレンバッハはメランコリー親和性性格として几帳面,秩序志向,他者配慮の三徴からなる性格傾向を抽出した.テレンバッハは,みずからの性格が発症状況を生み出し,その発症状況にさらされることでみずからが持つ