同じ釣りをするにいたしましても、そこは上手と下手ということでございまして、衆目の納得するところで、容赦なく分けられるのです。 これは釣りに限った事ではありませんで、何事も上手、下手の仕分けが行き届いております。 上手と言いますと最初からそうであったかと言いますと、どうしようもない天才を除いて、どちらもやはり駆け出しと言うのはあるものでございまして、浪士の野朗がまだ釣りを始めて間が無いころのことでございました。 「土手の柳は風任せ、可愛あの子は口任せ」などと、いい加減なパチンコ屋さんの店内放送が二時間おき位にはまだ有った頃、ここ福山にはまだ福山競馬が存続しておりました。 馬主別当の君さんの手引きで勇躍競馬場にいきます。そこは博打場でありますからさぞかし殺伐としたとこだろうぐらいには思っております。荒くれ者に鉄火場の緊張感、森の石松に八尾の朝吉、我らが座頭市に唐獅子牡丹を背負った建さん、さぞや
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