膝を手で押さえながら坂を上って20分。丘の頂上にある最初の目的地、トッケビ(おばけ)市場に到達する。その丘の頂上から家並みを見下ろし、土地勘を得てから、目指す小路を探そうという戦術だ。 トッケビ市場の商店は、狭い丘の頂上を走る、幅がせいぜい5~6メートルぐらいの道の両脇に立ち並んでいる。ほとんどがテントの店や、それすらない露店商だ。売られているのは、庶民の食卓に上がりそうな、スケソウダラを始めとした生魚や干物、おそらくサムゲタン用と思われる小ぶりのニワトリ、豆類、皮をむいたにんにくや、サンチュ代わりに生で食べる小さめな白菜、形のいびつな野菜などの食料品、およそ流行とは縁のないような衣類や服飾品などだ。 値段を聞くと、さすがに安い。タルトンネの人たちが生活を維持していく上で、なくてはならない市場なのだ。 続きを読む そのタルトンネが、ソウルでも最高の立地条件を誇る漢南(ハンナム)洞一帯