災害や事故、戦争、被暴力などで脳に刻まれた「恐怖記憶」を、過去を思い出すことなく消すことに関西文化学術研究都市の国際電気通信基礎技術研究所(ATR、京都府精華町)などのグループが人の実験で成功した。完治が難しいPTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療法の開発につながる成果という。 グループは小泉愛研究員、川人光男ATR脳情報通信総合研究所所長、英ケンブリッジ大など。英科学誌「ネイチャー・ヒューマン・ビヘイビア」で22日に発表する。洗脳につながる懸念もあり、臨床研究は慎重に進めたいとしている。 川人所長らは、脳の活動状態が分かる装置(fMRI)で記憶に関わる部位の活動パターンを立体的に解析し、被験者の脳の活動が特定パターンに近づくと「報酬」として目の前に表示される円が大きくなる訓練で、意識せずに特定の脳の活動パターンを学習する手法を開発している。 実験は20代を中心に男女17人に実施。