『生きている兵隊』(旧仮名づかい:生きてゐる兵隊、いきているへいたい)は、中国戦線に取材した石川達三の小説であり、作者自身の中公文庫『前記』によると、「この稿は実戦の忠実な記録ではなく、作者はかなり自由な創作を試みたものである」という。しかし、「あるがままの戦争の姿を知らせる」(初版自序)ともしており、モデルとなった第16師団33連隊の進軍の日程、あるいは、描写が歴史事実と一致する個所も少なくない。1938年発表。 概要[編集] 石川は、南京陥落(1937年12月12日)直後に中央公論社特派員として中国大陸に赴き、1938年1月に上海に上陸、鉄道で南京入りした。南京事件に関与したといわれる第16師団33連隊に取材し、その結果著されたのがこの小説であり、日本国内では皇軍として威信のあった日本軍の実態を実写的に描いた問題作とされる。『中央公論』1938年3月号に発表される際、無防備な市民や女性