倫理、法律、世論、福祉…体制整備幅広い視点で 子宮を失った女性の卵子を使い、女性の実母が妊娠する代理出産が行われた。生殖医療にはどのようなルールが必要だろうか。(医療情報部 田中秀一) 代理出産を巡っては、2001年に諏訪マタニティークリニック(長野県)の根津八紘(やひろ)院長が国内で初めて実施したことを明らかにした。この時は子宮を切除した女性の妹が代理出産していたが、今回は女性の実母が代理母となり、祖母が孫を出産する形になった点が衝撃的だった。 こうした親子関係に違和感を持った人も少なくないかも知れない。日本産科婦人科学会も「家族関係が複雑になる」などとして代理出産を認めていないほか、厚生労働省厚生科学審議会部会は、代理出産を罰則付きで禁止する報告書をまとめている。 米国では、今回と同様の代理出産は既に1990年代初めに行われている。その一組の家族に面会した星野一正・京大名誉教授(生命倫