今年のスウェーデン銀行賞(通称ノーベル経済学賞)は、「経済制度の設計」についてHurwicz、Maskin、Myersonの3人に授賞された。おそらく、これを当てたギャンブラーはほとんどいないだろう。 Hurwiczは、Arrowとともに一般均衡の安定性を証明する論文を書いたあと、一般均衡と線形計画による資源の最適配分の双対性を証明し、こうした技法を使って効率的な資源配分を設計する「メカニズム・デザイン」の元祖となった。これは「分権的社会主義」をめぐる論争の延長上で、計画当局が市場をシミュレートすることで、市場の欠陥を是正するメカニズムが設計できるかどうかを考えるものだ。 その成果は、有名な1973年のAER論文にまとめられているが、結果的には現実に意味のある結果はほとんど出ていない。このころまでに、計画経済のパフォーマンスの悪さは明らかになっており、経済全体をコントロールするというプ