通州事件の歴史的な意味は、日本が日中戦争にまい進していくにあたっての国民動員のためのプロパガンダとして利用されたという点にあります。正当性のない中国侵略を、どうして日本国民が支持したのか、というのは歴史研究の重要な論点ですが、(軍部の責任が大きいのは言うまでもないですが)昨今ではメディアの責任についても研究が進んでいます。その意味では通州事件は歴史学上、どのようにプロパガンダに利用されたかという点に重点が置かれています。 一方で通州事件をメディアとの関連ではなく、事件そのものとして研究した成果というのは、少なくともネット上ではあまり見かけません。軍事史学会などで通州事件関連の論文もありますが、日本軍がなぜ居留民を守れなかったかというのが主眼になっており*1、事件そのものについては踏み込んだ研究がされていません。 通州事件そのものの存在については、否定するものはまずいませんので、「利用される