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ブックマーク / www.enpitu.ne.jp (82)

  • 活字中毒R。

    『心を整える。』(長谷部誠著・幻冬舎)より。 (長谷部選手が、プロ4年目に「カズ」こと三浦和良選手とはじめて一緒に事をしたときのエピソード) 【カズさんはビシッとしたスーツ姿で現れた。あまりに緊張していたので、どんな店に行ったかまったく覚えていない。確か西麻布あたりのレストランだった。もちろん、すべてカズさんのセッティング。エネルギーに満ちあふれていて、17歳の年の差なんてまったく感じなかった。 カズさんがキングたる所以は、メニュー選びのときに感じさせられた。野菜をたっぷり注文し、炭水化物はほとんど頼まない。試合の前はエネルギー源となる炭水化物を摂った方がいいけれど、普段は余計な脂肪がついてしまうからだ。やっぱりキングは違うと驚かされた。当然、デザートもべない。 僕はずっと聞きたいと思っていたことがいくつかあって、ここぞとばかりに矢継ぎ早に質問した。当時はまだ人見知りが激しかったけれど

  • 活字中毒R。

    『無趣味のすすめ 拡大決定版』(村上龍著・幻冬舎文庫)より。 (「リーダーの役割」という項から) 【人望があるとか、剛胆であるとか、忍耐強いとか、リーダーとしての資質が話題になることが多い。だが、わたしはリーダーの「資質」などどうでもいいと思う。どんなに優れた資質があっても、「何をすればいいのかわからない」リーダーは組織を危うくする。リーダーは、「どこに問題があるのか」「何をすればいいのか」わかっている人でなければならない。映画『硫黄島からの手紙』で名将として描かれた栗林忠道大将にしても「何をすればいいか」をまず把握し、海岸線の陣地を捨て山中に無数のトンネルと地下壕を掘り持久戦に持ち込んで敵を苦しめた。 「何をすればいいか」を把握したあとは、戦術の細かな優先順位を考え、組織を団結させ、リスク要因を取り除き、ひたすらゴールを目指す。相変わらずリーダーの資質が話題になることが多いのは、近代化と

  • 活字中毒R。「人の目や世間というものは、車窓から見える景色みたいなものなんです」

    『秋元康の仕事学』(NHK仕事学のすすめ」制作班・編)より。 (2010年5月にNHK教育テレビで放送された「ヒットを生み出す企画力 秋元康」の放送とテキストを元にまとめられたの一部です) 【第1章でも申し上げたように、もしも僕がお茶汲みをするのであれば、その部署の全員の健康状態や趣味嗜好を調べて、それぞれの人に合ったハーブティをブレンドして出してあげようと思うでしょう。なかには、そのときに先輩から「なに、あのコ、勝手なことして」と言われる人もいるかもしれませんが、そういった意見は全く意に介さなくていいですよ。 人の目や世間というものは、車窓から見える景色みたいなものなんです。例えば、電車の窓から、田んぼの真ん中で踊っている裸の女の人が見えたとします。みなさん、そのときは「なんか、変なのがいるぞ」って窓際に集まりますよね。けれど、次の駅で降りてタクシーを飛ばして見にいく人はいないものな

  • 活字中毒R。

    Twitter』はじめました。フォローしていただけると嬉しいです。 http://twitter.com/fujipon2 『名言の正体―大人のやり直し偉人伝』 (山口智司著・学研新書)より。 (ケンタッキー・フライド・チキンの創設者である、カーネル・サンダースの生涯) 【白髪に白ヒゲ、さらに白いスーツを身に着けて、優しい笑みを浮かべるカーネルおじさんの人生は、その温和な雰囲気とは裏腹に、実に波乱万丈なものだった。 農場、鉄道会社、弁護士、保険外交員、秘書、ランプの製造販売、タイヤのセールスマン……などなど、カーネルは正義感が強く、融通のきかない性格だったため、上司と対立しては退職転職を繰り返した。 しかし、会社員生活はどうしても長続きせず、29歳でガソリンスタンドを開業。その附属施設としてカフェを開業し、飲店を手がけることになるのだが、カーネルは店を3度も倒産させている。 1回目の

    solailo
    solailo 2010/01/31
  • 三谷幸喜さんが語る「向田邦子さんのシナリオの凄さ」- 活字中毒R。

    『三谷幸喜のありふれた生活8 復活の日』(三谷幸喜著・朝日新聞出版)より。 (「特別な大先輩、向田さん」という項より) 【「阿修羅のごとく」という連続ドラマは、僕からすれば、神様が書いたシナリオである。どの登場人物も、言っていることと思っていることが違う。僕の理想。なぜなら彼らは普段、そうやって生きているから。言葉と思いとは必ずしも一致しないのである。自分もそんな台詞を書きたいといつも思っているのだが、なかなかうまくいかない。 「阿修羅のごとく」で向田さんは、辛辣なまでに人間の二面性をあぶり出す。一見平穏に見える家族たちが、裏ではかなりどろどろの駆け引きを展開する。 何が凄いかって、僕レベルの脚家は、それぞれのキャラクターの個性を表す時に、どうしても台詞に頼ってしまう。その人がどんな喋り方をするかで、個性を出そうとする。よく喋る人、無口な人、まわりくどい言い回しを好む人、等々。実際は、そ

  • 活字中毒R。「『素直に承諾したものが損をする』というシステムは絶対に違う」

    Twitter』で僕もつぶやいています。 http://twitter.com/fujipon2 『のはなしに』(伊集院光著・宝島社)より。 (伊集院さん愛用のノートパソコンが故障してしまったときの話です) 【すぐに購入した家電量販店にパソコンを持っていくと快く「すぐにメーカーに頼んで無料修理をいたしますので、3週間お預かりいたします」という。3週間は少々痛いが、無料で直るのならいたしかたがない。と、パソコンを預けて帰宅。ここまでは良かったのだが…。 3週間後、家まで宅配便で送ってくれるといっていたパソコンが届かない。問い合わせてみると、なんだかんだあった後に「メーカーに直接聞いてほしい」ということになった。 その通り問い合わせてみると、メーカーの担当者が「すみません、あと3週間かかります」としれっというではありませんか。10年後の約束が3週間延びるのならばしれっといわれても仕方ないが、

  • 活字中毒R。

    『ユリイカ 詩と批評』(青土社)2009年10月号の「特集・福伸行」より。 (福伸行さんと大槻ケンヂさんの対談記事「『ドル箱』いっぱいの愛を!〜勝ち負けと、その先」の一部です) 【大槻ケンヂ:福さん自身はギャンブルはやるんですか? 福伸行:ほとんどやらないんです。とは言っても、ぼくは釣りとかはやる気がしなくて、やっぱり点数がつくもののほうが好きみたいなんですね。ゴルフも好きですけど、あれも点数がつくじゃないですか(笑)。点数がついて勝ち負けのあるものが好きなんですね。 大槻:その点で、ぼくには勝ち負けっていうのを否定したい気持ちがずーっとあるんですよ。つまり勝ち負けがあるということは負ける可能性があるわけで、「そんなの、いやだよっ!」って思うわけです。だからぼくの人生は「合気道人生」って言っているんですけど、合気道には勝ち負けってないんですね。ところが、『カイジ」とかは体制側が勝つ

  • 活字中毒R。

    『ダ・ヴィンチ』2009年7月号(メディアファクトリー)の特集記事「ニッポンのオカン、西原理恵子スペシャル」より。 (西原さんが自らのルーツ、高知県の浦戸を再訪して。「」内は西原さんの発言です) 【西原さんは浦戸で6歳まで育った。 「母親が離婚して出戻ってきた時、私はまだ母親のお腹の中にいたんです。母親は三人姉妹の真ん中で、生活に追われてやらなくなっちゃったけれど、若い頃は絵も描いたし、植物だって私よりずっと詳しい。昔は結構モテたみたいよ。そこで漁師のおっちゃんと再婚しとけばよかったのに、自分はまだイケてるって思っちゃうんだよね、女って(笑)。再婚して引っ越したら、お父さんには恋人も別にいて、しかもその恋人がブスらしいって、怒ること怒ること!」 西原さん、それって『いけちゃんとぼく』みたい。『ゆんぼくん』に『ぼくんち』、サイバラ漫画には『サザエさん』の家族みたいな家は出てこない。 「それが

    solailo
    solailo 2009/08/13
  • よしもとばななさんの「ある居酒屋での不快なできごと」 - 活字中毒R。

    人生の旅をゆく』(よしもとばなな著・幻冬舎文庫)より。 【この間東京で居酒屋に行ったとき、もちろんビールやおつまみをたくさん注文したあとで、友だちがヨーロッパみやげのデザートワインを開けよう、と言い出した。その子は一時帰国していたが、もう当分の間外国に住むことが決定していて、その日は彼女の送別会もかねていたのだった。 それで、お店の人にこっそりとグラスをわけてくれる? と相談したら、気のいいバイトの女の子がビールグラスを余分に出してくれた。コルク用の栓抜きはないということだったので、近所にある閉店後の友だちの店から借りてきた。 それであまりおおっぴらに飲んではいけないから、こそこそと開けて小さく乾杯をして、一のワインを七人でちょっとずつ味見していたわけだ。 ちなみにお客さんは私たちしかいなかったし、閉店まであと二時間という感じであった。 するとまず、厨房でバイトの女の子が激しく叱られて

  • 活字中毒R。

    『BRUTUS (ブルータス)』2009年6/1号(マガジンハウス)の特集記事「オトナになっても、マンガ好き。」より。 (マンガ家・森田まさのりさん(代表作『ろくでなしBLUES』『ROOKIES』)と千原ジュニアとの対談の一部です。森田さんは現在「芸人」をモチーフにしたマンガ『べしゃり暮らし』を『週刊ヤングジャンプ』(講談社)で連載中) 【森田まさのり:最後にお会いしたのは10年以上前ですね。当時、お笑いのマンガを描くことについてどう思われるか伺った記憶があります。 千原ジュニア:先生のマンガはその前からずっと読んでますよ。『べしゃり暮らし』が始まった時は「あ、これや!」って感じでしたね。 森田:当時は芸人さんって怖いっていうイメージもありました……。 千原:素の芸人って怖いですよ。優秀なら優秀なほど怖いんじゃないですか? これは僕の自論ですけど、「部屋キレイ」「絵うまい」「顔怖い」って

  • 活字中毒R。:「僕は本当に性善説に立って『2ちゃんねる』を作ってきたつもり」

    人 vol.09』(太田出版)の「巻頭ロング手記・ひろゆき〜世界の仕組みを解き明かしたい」より。 (引用部はすべてひろゆきさんの発言です) 【でも僕は、性善説ですよ。性悪説だと思われているのかもしれないんですが、そんなことはないです。 たぶんそれはみんなからあまり納得してもらえない部分かもしれないですね。なぜ納得してもらえないのか、僕の方から見ると不思議でしかたないんですが。 ミクシィが性善説のイメージがあるかもしれないですけど、それは違います。だって招待制にするということは、悪い人が入らないようにしているということでしょう。アカウントを作って個人情報を入力しないと中に入れないというのは、何かその人が問題を起こした時に追跡できるようにしたいからでしょう。 でも2ちゃんねるはアカウントも招待制もない。何をしても自由ですよ。だって人は悪いことなんかしないんだもん。そういう発想で2ちゃんねる

  • 活字中毒R。

    『昭和天皇のお事』(渡辺誠著・文春文庫)より。 (宮内庁大膳課の和担当として大膳厨房係に26年間勤めた著者の「昭和天皇のサンドイッチ」の思い出) 【そうそう、サンドイッチのサイズで思い出したことがあります。後に美智子皇后から、もう少しサイズを小さくしてほしいというご要望がありました。お客様とお話をしているときに、口の中にべ物を入れてお話をするわけにはいかないので、うんと小さくすればさりげなくべることができるということで、それまでの九つ切りから十二切りにしました。しかし、これにはかなりのテクニックを必要としました。切りづらいため、つい力が入りパンの表面に指のあとがついたりしたら、作り直しということになります。 大膳のサンドイッチへのこだわりは、当然ことながら箱に詰めたときの美しさにもあります。 切り口を見せずに真平らになるよう、切り口が横を向くように詰め込みます。表面がデコボコになっ

    solailo
    solailo 2009/04/11
    『本当の「贅沢」というのは、食材や食器の豪華さではなくて、「徹底的に丁寧な仕事をさせる」ということなのではないかな、と考えさせられます。』
  • 活字中毒R。

    『と学会年間・BROWN』(と学会著・楽工社)より。 (「と学会」会長・山弘さんのまえがき「知識を蔑む者は足をすくわれる」から) 【2008年秋、日のネット上で、「神舟7号映像捏造疑惑」が持ち上がった。9月27日に中国の宇宙船・神舟7号が行った船外活動の映像に、画面上方に向かって移動する「泡」のようなものが写っている。これは宇宙で撮影されたものではなく、プールの中で撮ったニセの映像に違いない……というのである(http://dic.nicovideo.jp/v/sm4765291)。 その少し前、北京オリンピックの開会式の映像でCGが使われたり、少女の歌が口パクだったりで、中国の印象をかなり落としたのは事実だ。しかし、この映像に関しては、捏造の証拠はまったくないと断言できる。 映像の最初のほうで、飛行士が小さな国旗を振っているのだが、その動きはまさに真空で無重力の状態の動きなのである。

    solailo
    solailo 2009/04/01
  • 「こんな風に、ヌケヌケと大人になって、そんなことをしていたことを笑いなから話している自分ってどうなんだろうね」-活字中毒R。

    「こんな風に、ヌケヌケと大人になって、そんなことをしていたことを笑いなから話している自分ってどうなんだろうね」 『労働者K』(ケラリーノ・サンドロヴィッチ著・角川学芸出版)より。 (劇作家・劇団「ナイロン100℃」の主宰(「有頂天」のケラさん、として記憶している人も多いかもしれません)、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんの19年ぶりのエッセイ集から。ケラさんは小学校2年生で転校した際にいじめに遭い、「蟻をべさせられたり」「腐った牛乳をイッキ飲みさせられたり」「デパートのオモチャ売場で何万円ものプラモデルを万引きさせられたり」「女子更衣室に全裸で放り込まれたり」したことがあったそうです) 【そんな時に私がまず考えたことは、「親にバレないようにせねば」ということだった。息子がそんな虐待を受けていると知った時、父や母はどんなにショックを受けるだろう。よりによって自分の息子がそんなメに遭うなんて。

    solailo
    solailo 2009/04/01
  • 活字中毒R。

    『YouTubeにまつわるスゴイ数字』へはこちらからどうぞ。 『悪党の金言』(足立倫行著・集英社新書)より。 (内田樹さん(神戸女学院大学教授・フランス文学研究者・エッセイスト)に足立倫行さん(ノンフィクション作家)がインタビューしたものの一部です。内田さんの一人娘・るんさんに関する話題から) 【足立倫行:るんちゃんと暮らしている頃、料理や洗濯は全部内田さんが? 内田樹:そりゃそうです。小さいから。 足立:いや、中学生、高校生になれば。 内田:「お父さん代わろうか」と言ってくれる日がいつか来るだろうと思って待っていたけれど、ついに来なかった(笑)。でも僕は、娘と二人で暮らして、初めて自分が「人間なんだ」と思い知らされました。 足立:と言うと? 内田:それまで僕は、自分を軽佻浮薄な現代人の典型と思っていたんです。薄情で、計算高くて、利己的で。けれど日々娘の面倒を見ていると、少しずつ献身的にな

    solailo
    solailo 2009/01/28
  • 20年前と今の『はじめてのおつかい』の変化 - 活字中毒R。

    『いつやるか? 今でしょ!』(林修著/宝島社)より。 (『東進ハイスクール』のカリスマ講師・林修さんが2012年に書かれたの一部です) 【ずいぶん前に。高校の先生と現代文の指導について話していたときのことです。生徒の成績表を見ながら、あれこれ話していたのですが、そのとき妙なことに気づきました。 上位の生徒は「明子」、「良子」、「宏美」など普通に読める名前が圧倒的で、特に「子」がつく名前が多いのです。一方、下位になればなるほど「これなんと読むんですか?」と聞かなければならないような「難読」名が増えるのです。かなりの数のクラスがありましたが、すべてそうでした。 「こういう難しい名前の生徒の親は、クレームも多いんですよ」 高校の先生は、そうもおっしゃっていました。僕は、これは単なる偶然ではないと思っています。 親は自分の子どもが立派な人間になることを願って名前をつけます。あくまでも究極の目的は

  • 『GTA(グランド・セフト・オート)3』に影響を与えた「日本ゲーム界の歴史的失敗作」- 活字中毒R。

    『洋ゲー通信 Airport 51』(エンターブレイン)より。 (『キラー7』や『ノーモア★ヒーローズ』など、独特な作風で知られるゲームデザイナー須田剛一氏と、謎の洋ゲー(外国メーカーのゲーム)冒険家マスク・ド・UH氏による『週刊ファミ通』の人気連載を単行化したものの一部です) 【マスク・ド・UH:『GTA(グランド・セフト・オート)3』の自由度の高いゲーム性には、じつはモデルが存在していたんです。ロックスター(GTAの制作メーカー)の社長であるサム・ハウザー自身が「あのゲームのコンセプトはよかった」と言っているシロモノが。 須田剛一:何ですか、そのゲームは? UH:それは……『シェンムー』です! 須田:はああああ!! 『シェンムー』があったからこそ『GTA3』は作られた…… UH:日が誇る大作『シェンムー』と、この”公共の敵ナンバー1”とまで言われたビデオゲームがリンクするんです!ふ

    solailo
    solailo 2008/12/29
  • 活字中毒R。 - 「この業界で成功するには、一に体力、二に人柄、三四がなくて、五に才能」

    『週刊SPA!』2008/12/2号(扶桑社)の鴻上尚史さんのコラム「ドン・キホーテのピアス・693」より。 【大学時代、テレビで久米宏さんが「この業界で成功するには、一に体力、二に人柄、三四がなくて、五に才能」と言うのを聞いて、体の力みがスーッと消えたことがありました。 その当時の久米さんは、歌番組やバラエティー番組を飛ぶ鳥を落とす勢いで司会していましたから、「ああ、この人でもそう思っているんだ」とほっとしたのです。 その当時の僕は、劇団を旗揚げしたばかりで、「自分には才能があるのか。ちゃんとした作品を書けるのか、ナイスな演出ができるのか」と、見えないものだけを心配していましたから、「なんだ、まずは体力なんだ。で、次が人柄なんだ。才能は、そのずっと後なんだ」と思っただけで、うんと楽になったのです。 体力は、目に見えることですから、周りが睡眠不足で音を上げても、踏ん張ればすむ話でしたし、人

  • 活字中毒R。

    『日を変えた10大ゲーム機』(多根清史著・ソフトバンク新書)より。 【1989年に発売されたゲームボーイの名前に、ファミコンのように<コンピュータ>という文字が含まれなかったのは象徴的だ。この新型ゲーム機は、<おもちゃ>であることに徹していた。おもちゃとは、子どもや大人を問わず、誰もが一目見ればすぐに遊べて、乱暴に扱っても壊れないものだ。「分かりやすさ」と「堅牢性」では、並の家庭用ゲーム機は足下にも及ばない。 そして任天堂には、長年の経験に裏打ちされた「おもちゃを見るプロ」かつ「ゲームの素人」で、しかもゲームボーイの企画をちゃぶ台返しできる人物が一人いた。当時の社長・山内溥その人である。 山内にまつわる二つの逸話は、どちらもすさまじい。一つは、ゲームボーイの試作機をプレイしてみたときのエピソードだ。当初の試作品は、ゲーム&ウォッチと同じ、斜めから見やすい「TN液晶」を採用していた。これは

  • 活字中毒R。

    『日経エンタテインメント!2008年10月号』(日経BP社)の特集記事「モノマネ芸人進化論」より。「芸人から見たモノマネ人気」と題した、有田哲平さん(くりぃむしちゅー)の話をまとめたものの一部です。 【最近は、モノマネが細分化してきたと言われていますけど、これだけマニアックなのが広く受け入れられるようになったのは、芸人が変わってきたというよりも、ネタを見せるシステムが変わってきたのが大きいと思います。 『とんねるずのみなさんのおかげでした』の『細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』のコーナーでは、舞台の床が落下式になっていて、ネタ終わりの絶妙のタイミングで強制的に舞台上から芸人が消える仕組みになっていますよね。あれって一見残忍ですが、芸人にとっては「やり逃げ」をさせてもらえるおいしいスタイルなんです。「細かすぎて〜」は2004年からこの見せ方でやっているんですが、それが『爆笑レッドカーペット