アニメや漫画がスペインで人気を博すようになって久しい。しかし、最近はそのブームのさらに上をいく現象が起きているようだ。 かつて「漫画家」になることができるのは、日本人だけだった。だが、近年ではスペイン人も漫画家としてキャリアを積み、活躍することが多くなってきたと、スペイン「バングアルディア」紙が報じている。しかも、その多くは日本でも出版されているという。
アルゼンチン北西部に、「家族」という概念を知らない女性たちがいる。彼女たちはなぜ一人で生きていくのだろう。幸せなのだろうか──。 すべてはカメラマン、アリエル・パチェコの一言から始まった。伝説にすぎないかもしれないが、アルゼンチン北西部・カタマルカのどこかに、「男がいない地区」があるらしい、と。そしてもし噂が本当ならば、その場所はアントファガスタ・デ・ラ・シエラという村にあるらしい、と。 さっそくインターネットで調べてみると、その辺りはリャマに似たビクーニャという動物が生息し、火山や古代人が描いた岩絵などがある場所だということがわかった。そこを訪ねるには、まずカタマルカの州都サン・フェルナンド・デ・カタマルカまで行き、さらに車で12時間の道のりを辿らなくてはならないそうだ。 そんな村は果たして本当に存在するのだろうか。私はグーグルの検索ボックスに、「アントファガスタ」「独身女性」「レズビア
ボストンはザーザー降りの雨だった。哲学者マイケル・サンデルとのインタビューは、新型コロナ感染予防のため密閉空間を避けて彼の自宅の庭でする予定だった。しかし、前もって言われていたように、雨だったら場所を変更するしかない。 サンデルは午前中、オンライン授業で忙しい。だから、屋外だけれども雨に濡れずにすむ、代わりの場所を探すのは、ジャーナリストの私の役目となった。私が思いついたのは、「ハーバード大学カーペンター視覚芸術センター」の無機質なコンクリートのベンチくらいだった。この建物は、ル・コルビュジエの北米唯一の建築で、ベンチはカーブを描くスロープの下にあった。 サンデル教授は、名門のハーバード大学の教室でも、数百万人がYouTubeで視聴する正義についての講義動画でも、聴衆の先入観を吟味するソクラテス式問答法を実践することで知られる。私の場所のチョイスについては「いいところを思いつきましたね」と
韓国のエンターテイメントを世界に“売る”ために、政府はどのような取り組みをおこなってきたのか。20年以上に及ぶ政策の成果が如実に現れているいま、日韓の比較文化論を研究しているカン・ハンナ氏がその内容を解説する。 政府のコンテンツ産業の振興と同時に… 最近、ソウル市は韓国で初となる「K-POP専用のコンサートホール」(ソウルアリーナ)を2024年に開設すると発表し、韓国内で話題を呼びました。これまで韓国には1万人以上が入る大きなコンサートホールがなかったため、スポーツ競技場などを借りてK-POPのコンサートをおこなっていました。 ですが、このソウルアリーナの登場で、2万人規模のK-POPアーティストたちのコンサートが頻繁におこなわれる可能性が高まります。同アリーナの開設に向けて、ソウル市を含む韓国政府が2017年7月に「国政運営、5年計画」でこの案件を採択し、早期着工に向けて進めているとのこ
日本でも、1999年から希望ナンバー制が導入され、好きな数字を選べるようになった車のナンバープレート。しかし、自分が選んだその数字が、時には自動的に割り当てられたその文字が、他のドライバーを不快な思いをさせてしまうことがあったら──。 ある日系米国人が抗議したのはあのワードだった。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が伝える。 ナンバープレートに「JAP」 1900年代初めに自動車のナンバープレートを義務化する最初の法律が承認されて以来、アメリカの各州はその規則に気を配ってきた。 全部ではないがほとんどの州は、「ASS(尻)」「XXX(過激ポルノ)」「WTF(What the fuck:何だよ!馬鹿か!)」のような、他の自動車運転者を困惑させたり不快にさせるような言葉のブラックリストを持っている。 大抵、これらのリストは「バニティープレート(註:自動車の所有者が有料で自分の好きな文字と数字を組み
それは、最も愛らしいクルマかもしれない。このクルマが走っていくと、人は笑顔になる。指をさし、手を振って、「かわいい」という言葉を何度も口にし、それから「あれ、何なの?」と訊くのだ。 日産「フィガロ」は、小さな車体で、ほとんど漫画のようなデザインをしていて、よく目立つ。イギリスではたびたび目にするため、ごく最近の超人気モデルのように見えるだろう。 だが、その推測はまったくの的外れだ。 むしろフィガロは古いクルマだ。1991〜92年に販売されていた車種で、当時、海外への輸出はなかった。つまり、世界的にフィガロがたくさん走っている街など、まったく存在しなかったのだ。 しかし、イギリスではいま、このエキセントリックで小さなオープンカーが数千台も走っている。いったい何が起きたというのだろう? 消滅した英ブランドたち イギリスにはこれまで、フォードやゼネラルモーターズ、クライスラーのような大手国産メー
日本は夫婦の離婚後、父か母どちらかが子供の親権を持つ「単独親権制度」を採用している。だが、日本以外の多くの先進国は「共同親権制度」をとる。夫婦に愛がなくなっても親である権利は守られることから、共同親権のほうが理想的とされ、日本への導入も検討されている。 だが、フランス映画『ジュリアン』を観ると、どちらが子供にとって幸せなのか、考えを巡らせずにはいられない。 11歳のジュリアンは、両親が離婚し、母親と姉とともに暮らす。だが、離婚調停において裁判所が共同親権を認めたことから、ジュリアンは2週間に一度、父親であるアントワーヌの元で過ごさなければならない。離婚の原因はどうやら元妻へのDVらしい。2人で過ごす週末。イライラを募らせるアントワーヌは、ジュリアンの前でも次第に本性をあらわしていく──。 『ジュリアン』はフランスで40万人を動員、ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞。社会問題を扱
歴史人口学者エマニュエル・トッドは、あの「私はシャルリ」デモを批判する著作が大論争を引き起こして以来、フランスでは発言を控えていた。 だが今回、難民問題、パリ同時テロ、困窮する若者たちの暴発、こういった切迫する危機について、ついに口を開くことを決意。「ロプス」誌の独占インタビューをお届けする。 ドイツが考えていることを直視しないフランス ──私たちは、第二次世界大戦以来、もっとも大きな難民の波に直面しています。すでに欧州は、巨額債務による危機で足元がおぼつかなくなっていました。そこに難民問題が起きたことで、かろうじて欧州を支えている最後の大きな柱まで倒れてしまいそうです。こうした現状について、どのようにお考えでしょうか。 まず強調するべきことは、「フランスにとって『難民危機』とは、実体をともなわない観念的な現象だ」ということです。 この理由はとても単純です。難民たちは私たちの国に来たがらな
毎月、お届けしてきた連載「フランスメディアを騒がせた最旬映画」。今回は1年を締めくくるスペシャル版として、フランスの人気カルチャー誌が発表した「2017年ベスト映画ランキング」をご紹介します。現在まさに日本で公開中の作品や、来春早々に公開が決定している作品も多数ランクイン! 「レ・ザンロキュプティブル」 フランスを代表する文化情報誌(通称レ・ザンロック)。 12月発売号では、映画や音楽などジャンル別に「2017年のベスト作品」を特集。映画のベスト10は、編集部および同誌に寄稿する映画批評家ら12人が選考を担当する。2017年にフランスで公開された作品のなかから各自が10作を選出し、そこからランキングを作成。誌上にてベスト10を発表した。
日本で暮らす外国人が年々増えるなか、外国にルーツをもちながら日本で育つ子供たちも増加している。だが、日本語教育のサポートなど学校側の受け入れ体制は整っていない。肌の色の違いや日本語の拙さからいじめられるなど、疎外感やアイデンティティの揺れに苦しんでいる子も多い。 大坂なおみは3ヵ国にルーツ 9月、テニスの大坂なおみ選手が全米オープンで優勝すると、彼女の国籍やアイデンティティをめぐり日本のメディアやSNS上ではさまざまな意見が飛び交った。なかには、ことさら「日本人らしさ」を強調する報道や、彼女の容姿や日本語に言及して「日本人と呼ぶには違和感を覚える」などの差別的な表現まであった。 いずれも、自分たちが思う「日本人」という枠の中だけで大坂を語ろうとした、ステレオタイプな見方だった。 大坂は日本人の母親とハイチ系米国人の父親のもとに大阪で生まれ、3歳でニューヨークに移り住んだ。日本とハイチとアメ
韓国は、なぜ今になって2015年の日韓合意に反発しているのか。和解への道筋をどのように描いたらよいのか。ソウル支局時代から慰安婦問題の取材を重ね、韓国の社会やメディア事情に詳しいNHK報道キャスターの花澤雄一郎氏による書き下ろし第二弾。 国民感情がすべてを凌駕する国 慰安婦についての韓国国民のイメージは固定化している。そして国民感情に直結している。韓国では、時に国民感情が政策どころかあらゆる力を凌駕する。いったん世論が燃え上がれば誰も止めることができない。朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾はその最たる例だ。 だからこそ、慰安婦についての固定化したイメージに異を唱えることは非常に危険な行為になる。 最大の鍵は韓国メディアだが、ほとんどの記者は韓国国民と同じ認識を持っている。ほんのごく一部に詳しく理解している記者もいるが、そうした内容を報じるために社内の理解を得るのは至難の業だ。 政府も同様だ。
米国で話題を集めている小説がある。タイトルは『pachinko』、そう、日本でお馴染みのあのパチンコである。 著者は米国在住の韓国系アメリカ人、イ・ミンジン氏。第二次世界大戦の前から1980年代にかけての日本を舞台に四世代の韓国系の家族を描いている。なぜか日本では取り上げられないこの小説の著者イ氏に米国「ニューヨーク・タイムズ」紙が日本の新大久保でインタビューした。 日本のなかでも雑多な雰囲気で、多言語の飛び交う街として知られる東京・新大久保。 韓国系の人々が多く住むこの街には、近年さまざまな国から移住者がやってくる。韓国系の肉料理店だけでなく、ハラール・フード(イスラム法で許された食材)を扱う料理店など、アジア諸外国の店舗が軒を連ねる新大久保は、民族・文化的に均質とされる日本では異質の街なみを形成している。 そんな新大久保は、小説家Min Jin Lee(イ・ミンジン)氏と会うのにぴった
アメリカ班のRです。 本誌の2012年10月号で取り上げたアン・マリー・スローターの記事「女性は仕事と家庭を両立できない」を覚えていらっしゃるでしょうか? ヒラリー・クリントン国務長官のもとで国務省政策企画室長を務めていたエリートの女性が、「いまの社会状況では、仕事も育児も立派にこなすなんて無理!」と言い切ったことで、米国のみならず日本でも話題を呼んだ記事です。 先月の「ワシントン・ポスト」紙に、国務省の仕事を辞めてプリンストン大学教授に復帰したスローターの記事が掲載されたのでご紹介します。 スローターの元上司であるヒラリー・クリントン国務長官の後任として、オバマ大統領が指名したのはジョン・ケリー。2004年大統領選に出馬して、ジョージ・W・ブッシュに敗北した人物として記憶されている方も多いかもしれません。ケリーが国務長官になるかもしれないと聞いたスローターの14歳の息子が、こう尋ね
こんにちは、鈴木です。被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。 長年フランスの「クーリエ・アンテルナショナル」で働いていた縁もあり、震災後、フランスのラジオから電話での取材依頼を幾度か受け、日...こんにちは、鈴木です。被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。 長年フランスの「クーリエ・アンテルナショナル」で働いていた縁もあり、震災後、フランスのラジオから電話での取材依頼を幾度か受け、日本に暮らすフランス人の震災後の態度についてなどを聞かれました。 ご存知の方もいらっしゃると思いますが、他の外国人同様、多くのフランス人が震災後東日本を離れました。帰国、あるいは韓国のような隣国や関西などに「避難」したフランス人のことをどう思うかという質問を、あるラジオ局から受けました。 僕の周囲にもフランスへ戻った友人がいます。九州や香港に避難した友達もいます。皆フランスにいる家族に切望さ
表紙担当の南です。 5月号では海外メディアが東北関東大震災をどう報じたか、を特集しました。お読みいただければ、世界中のメディアが日本に対してあたたかいエールを送ってくれていること、日本が必ず復活すると...表紙担当の南です。 5月号では海外メディアが東北関東大震災をどう報じたか、を特集しました。お読みいただければ、世界中のメディアが日本に対してあたたかいエールを送ってくれていること、日本が必ず復活すると確信していることがわかると思います。 先日、英「インディペンデント」紙が「がんばれ、日本。がんばれ、東北。」という日本語でのエールを一面に掲載したことが、日本のメディアでも報じられました。同紙はその後も、別冊の表紙に「根性」という文字を大きく掲載しています。 日本の新聞同様、海外の新聞も被災地の写真を大きく掲載するのが一般的なので、同紙の一面は確かに異色でした。私も最初に見たときは新聞
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