自分の人生。と君はつぶやく。 生まれてから今まで、君もいくらか短くない時間を生きてきて、 その間にはいくつかの象徴的な思い出のようなこともあったと思う。 しかし君には、今ここに生きている自分が、自分固有の時間を生きてきたという実感をうまく捕まえることができない。 そしてこれまでの人生の、一体どれくらいの時間が本当の自分だったのだろうかと考えたりする。 君は毎日、君を生きている。それは確かに生きてはいた。 けれど今になって、そのときの自分が本当に、 その瞬間に自分の時間を生きたという実感と共に思い出されるということがない。 まして、その証がそこにあったのかと問われようものなら、それはまったく証明のできないことであるような気がしてくる。 はたして君は生きたのだろうか。自分の人生を。自分だけの瞬間を君は選びとってきたのだろうか。 もしかして君はただ、自分の人生のフリをしているだけの時間の流れの中