寂れたアーケード街の一角にあるゲームセンターが好き。 厚い扉を開けると熱気がふわりと降り掛かり、喧噪な音の波に包まれる。 周りに人の気配はなく、自分だけがここに居る。 筐体は大きな音を立てながら映像を流し、誰もいないのに画面は動き続けている。 ふいに、この世界には自分しか居ないんじゃないかと思い込む。 リフレインする音声とBGM。コインを求めて点滅する文字の数々。 淀んだ空気が心地よく、騒がしさが心音とリンクする。 何度も同じシーンを目にしながら心は踊り、思わず唾を飲み込んだ。 どのゲームをやろう。 彼らは、自分以外にも同じ顔を見せるだろう。 そして、誰も居なくても同じ顔を見せるだろう。 そんなところが好きなのだ。
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