負債とはなにかについてわたしたちが理解していないという事実そのもの、あるいはこの概念の融通無碍であることそれ自体が、負債の力の基盤である。 デヴィッド・グレーバー 「負債論」 ソフトウェア開発において、欠陥のある未熟な実装によって機能の追加や修正が難しくなることを、借金に喩えて「技術的負債」と呼ぶことがある(Wikipedia)。 現代のソフトウェアはもはや「サービス」に近い製品が多いが、サービスは顧客に受け入れられて初めて収益を生み出すことができる。広く使われているソフトウェアも最初は数少ない機能にたくさんのバグを添えてリリースされ、試行錯誤を経て顧客に受け入れられる。つまり、機能の追加や修正が難しくなることは、それ自体が潜在的な損失と言える。 しかし、私にはこの「技術的負債」という言葉は会計上の「借金」とは随分と異なる意味を持っているようにも思える。というのも極端な話、もし機能の追加や
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