タグ

ブックマーク / delete-all.hatenablog.com (161)

  • 人材流出阻止目的で臨時昇給を実施したら地獄の門が開きました。 - Everything you've ever Dreamed

    会社が大荒れ。上層部が行った臨時昇給がその原因。一般的にポジティブなイメージのある昇給イベントで地獄になるのはめずらしいことである。説明しよう。当社は特に現場において人材不足状況が問題になっている。会社上層部は、人材流出阻止のため「ギリギリの経営判断で現場の皆様の昇給を決定いたしました」と社内メッセージを送り、現場社員を対象に臨時昇給を突如実施した。典型的なトップダウンである。 ところが昇給額が一律月2000円。しょぼすぎ。それを知った現場社員から「ギリギリに切り詰めて2000円なのか?」「2000円しょぼすぎないか?」「バカにされている気がする」など、絶望感が強まり、流出ムードが加速してしまった。最悪の結果だ。 僕ら部長クラスは、このトップダウン決定を事後に知らされた。事前に知っていたら、現場の反応と絶望を正確に予測できたし、昇給額が2000円ということもなかったし、最低でも「ギリギリの

    人材流出阻止目的で臨時昇給を実施したら地獄の門が開きました。 - Everything you've ever Dreamed
  • 中小は価格転嫁できても賃上げできませーん。 - Everything you've ever Dreamed

    僕は品会社の営業部長だ。勤めているのが人員に余裕のない中小企業のため、業の新規開発だけではなく既存クライアントとの交渉も任されている。今は、年度末ギリギリまで続いていた価格交渉を終えて落ち着いたところだ。「ウチも苦しいんだよ。値上げ?無理無理~従業員にも泣き寝入りしてもらっているんだから」と却下する一方で、春闘で組合にしれっと満額回答していた素晴らしい某大手企業のような例外を除けば、原材料等コストと人件費上昇分(見込み)を転嫁した価格で契約更改することができた。合格点をつけられる交渉だったのではないか。 僕の勤務する会社には定期昇給がない。中途で入った当初はあったが、会社上層部が今のメンバーになってから凍結されてしまった。実力主義を打ち出した彼らは、業績が向上すれば定期昇給は行うと説明してきた。コロナ時代の業績低迷に耐え、価格転嫁交渉がうまくいった今こそが定期昇給を行う千載一隅のチャン

    中小は価格転嫁できても賃上げできませーん。 - Everything you've ever Dreamed
  • AIに「プロの謝罪」ができますか? - Everything you've ever Dreamed

    先日、謝罪(とクレーム対応)のために北関東エリアまで車で赴いた。気の乗らない、嫌な仕事だ。再発防止対策は万全を期していたが、嫌味のひとつふたつはいわれる。最悪なのは、謝っているのに謝ったら済むと思うなと言ってくる人、何をしても怒りをあらわす人がいることである。そんなとき僕は、上野クリニックのCMに出てくる男性タレントのように首を縮めて時間が過ぎるのを待つことしかできない。 (群馬県太田市の道の駅にて。太田市はプロバスケチームのホームタウンだ) 2時間半ほどの道中、AI技術が発達したらこういう嫌な仕事をやらなくてよくなるのだろうかと考えた。人間の弱点をカバーし、嫌な仕事を軽減するために技術はある。AI技術であれ、例外ではない。だとすれば謝罪のような嫌な仕事こそ真っ先にAIに投げていくべきだ。しかし、仕事というのは相手があって成立するものでもある。謝罪を受ける側の立場になってみたときAIの謝罪

    AIに「プロの謝罪」ができますか? - Everything you've ever Dreamed
  • 中小企業、価格に転嫁できませーん。 - Everything you've ever Dreamed

    僕はフミコフミオ品会社の営業部長だ。中小企業なので新規開発営業だけでなく、既存のクライアントとの交渉も一部、任されている。僕と同じフミオという名前を持つ首相が、春闘の集中回答日に大手企業の「満額回答」「満額を超える回答」といった良い感じの回答が相次いでいることを受け、中小企業の賃上げの流れを期待したい、という内容のコメントを出しているのをニュース番組で見た。僕は大手の満額回答も、首相のコメントも、冷凍倉庫にいるような冷めた気持ちで受け止めていた。確かに、中小企業からの製造コストや労務コスト増大を転嫁した価格アップ要請を不当に排除することは禁止されており、悪質な企業は公表されることになっている。僕のXのポストにもそういうレスがついている。 ウチの会社からの値上げ要請を受け付けなかった大企業様が満額回答で賃上げしている様子を冷めた目で見ている。世の中小企業なんてこんなものではないかな。 —

    中小企業、価格に転嫁できませーん。 - Everything you've ever Dreamed
  • 政治家は裏金つくってんのに、行儀よく確定申告なんて出来やしなかった。 - Everything you've ever Dreamed

    僕はフミコフミオ。先ほどからイータックス(https://www.e-tax.nta.go.jp/)で確定申告作業をはじめた小市民である。ところがhttps://www.e-tax.nta.go.jp/において「裏金」記入欄が見つからず作業が頓挫したため、気持ちを落ち着かせるために、こうしてブログを書いている。確定申告作業の進捗率は30%程度だろうか。道は長い。参考までにあげておくと、岸田フミオ内閣の最新支持率は14%である。岸田内閣の支持率14% 自民党の支持率も16%に下落 - 産経ニュース 確定申告のために税務署を訪れた人たちが「裏金政治家からきちんと税金を徴収しろ」「政治家から徴収するまで納税しない」と文句を言っているというニュースを見た。スタッフジャンパーを着ているアルバイトの若者へ、イオンで購入したジャンパーをパリっと着こなしたオジサンが文句を言う、いわば世代間ジャンパー対決だ

    政治家は裏金つくってんのに、行儀よく確定申告なんて出来やしなかった。 - Everything you've ever Dreamed
  • 帰宅命令を出すのは「公共交通機関が止まったら」でいい。 - Everything you've ever Dreamed

    先日(2024年2月5日)、関東地方に大雪が降った。職場がある神奈川県に大雪警報が出された。めずらしいことだ。積雪を警戒して朝から県内の有料道路は通行止めになっていたが、会社最寄り駅を経由する電車やバスといった公共交通機関は通常どおり運行。朝からSNS上では帰宅命令を出す企業の情報がぽちぽちと出始めていた。 午前10時半。僕の座る窓際席から降雪を確認。会社前の道路はうっすらと白くなりはじめていた。スタッドレス未装着車の走行は危険だ。会社上層部が会議室に集まり、対策会議を開き対応を検討しはじめた。降雪予報を受けて前日の夕方にも会議はひらかれていたが、「明日の様子を見て臨機応変に対応する」というどうしようもない結論に至っていた。こういう状況ならこういう動きをするという取り決めもなし。1時間弱の会議で何を話していたのだろうか?行き当たりばったりを臨機応変と超訳していてアカデミー出版もびっくりであ

    帰宅命令を出すのは「公共交通機関が止まったら」でいい。 - Everything you've ever Dreamed
  • 僕の「昭和」が死んだ。 - Everything you've ever Dreamed

    最近「昭和」がバカにされすぎ。「昭和(笑)」とオチに使われるのをよく見かけるし、部下に注意したら「部長みたいな昭和の働き方はできません」と笑われた。「昭和はこんなものじゃないぞー」とやりすごしたが、僕は昭和を知らない。大卒で就職したのが1996年(平成8年)で、昭和は僕が中学3年生のときに終わっていた。つまり僕は昭和の働き方を知ってるマンの資格を満たしていないのだ。 「昭和」はいつからこんな扱いをされる存在になったのだろう。昭和は「あの頃は良かったね」といわれる憧憬の対象だったはず。昭和への郷愁を感じさせる映画「ALWAYS 三丁目の夕日」は大ヒットした(観たことないけど)。たしか「週刊/昭和時代」も刊行されて、初回は特別価格で、付録はタンツボ(白/陶器)だったと記憶している。 僕は、たぶん、昭和の働き方にどっぷり浸かっていた世代と、直接、十分な時間を一緒に働いた経験をもつ最後の世代だ。新

    僕の「昭和」が死んだ。 - Everything you've ever Dreamed
  • 部下の作った「絶対にダメ出しされない」究極の提案書がすごかったのでシェアします。 - Everything you've ever Dreamed

    品会社の営業部長という夢も希望もない仕事に従事している。特に最近は、皆さまご存じのとおり材の高騰の影響を受けて上下左右から圧をかけられて悲鳴をあげている。そんな絶望的な職業人生でも何とかやっていられるのは、ときどき、ほんと、たまーにだけど、「人間ていいな」「自分の人生も捨てたもんじゃないな」と思えるような、きらり輝く瞬間が1か月に3秒ほどあるからだ。 先週、企画提案書の作成を部下に依頼した。部下は90年代頭から営業をやっている50代後半のTさん。この夏から人たっての希望で企画部から営業へ異動になった僕より9歳年上の社員だ。頼んだのは、会社の衛生・消毒部門を活かす、法人向け衛生チェックパッケージの企画提案書だ。ある程度の業界経験があればできる、簡単な仕事。困難も不安もない。僕は概要を説明して「じゃ。お願いしますね」と依頼した。Tさんは「あーはいはい」といつもの、良く言えば余裕のある、悪

    部下の作った「絶対にダメ出しされない」究極の提案書がすごかったのでシェアします。 - Everything you've ever Dreamed
  • 元給食営業マンが「ホーユー」の学校・警察での給食提供停止騒動の原因をざっくり解説してみた。 - Everything you've ever Dreamed

    mainichi.jp 西日を中心に学校や寮で事の提供が停止する事態が起きている。運営会社は広島市に店のある給会社ホーユー。ホーユーの名はコンペで何回か見かけたことがある。詳しくは知らない。 給事業はリターンも少ないけれどもリスクも少ないビジネスだ。給設備や用具や器をクライアント側の負担で事業が行えるからだ。ひとことでいってしまえば経費負担が軽いのだ。材費は実費、人件費も委託費でカバーできる。「莫大な利益が出せるか?」といわれると案件次第だが、一事業所当たりで赤字になるリスクはとても少ない事業である。 そのため、近く破産申告するとみられるホーユーの社長が人件費や材費の高騰を理由に上げているのを知って「妙だな…」とコナン君のように疑ったのがこの文章を書いた表向きの理由である。なお裏向きの理由は奥様からの「あなたの会社は大丈夫なのか」という不安を取り除くためである。 一般的に

    元給食営業マンが「ホーユー」の学校・警察での給食提供停止騒動の原因をざっくり解説してみた。 - Everything you've ever Dreamed
  • ビッグモーター社のせいで鬼舞辻無惨様が降臨してパワハラ会議が勃発した。 - Everything you've ever Dreamed

    定例部長会議の終盤にビッグモーター社の話題になった。「あれだけとんでもないことをしでかした会社が倒産しないなら、何もしていない我が社は倒産しない」「ゴルフ好きの風上にも置けない」「除草スタッフはきわめて優秀では?」くだらない雑談だった。平和な空気が一変して地獄になったのは、上層部の一人が何を血迷ったのか「創業者の2代目、息子を要職にするからいけないのですよ」と言ったときだ。僕は社長が目を落としていた資料から目線をあげた瞬間を今でも覚えている。その直後に社長が放った「私も創業者の息子、2代目だが?」というひと言で会議室は静まりかえった。しんとして耳が痛いほどでした。口を開いたら死ね。そんな空気。窒息死したほうがマシ。そんな空気。 重苦しい空気の中、ほほ笑みをたたえた社長が口を開いた。「世間では2代目を要職に就けることは好意的に思われていないようだね。キミらはどう思う?」。社長は名指しして聞い

    ビッグモーター社のせいで鬼舞辻無惨様が降臨してパワハラ会議が勃発した。 - Everything you've ever Dreamed
  • パパになりました。 - Everything you've ever Dreamed

    私事ですが、先月、パパになりました。「ありがとう」「おめでとう」…祝福の前に話を聞いてほしい。パパといっても父ではないのだ。パパ活のパパである。P活のPである。僕がめでたくパパになれたのは、ひとえに「株式会社はてな」の不義理のおかげである。心の底から感謝している。きっかけは「はてなブログ」への記事有料機能の実装であった。 記事の有料販売をはてなブログではじめよう! 人気ブロガーが書く有料記事の活用例も多数ご紹介 - はてなブログ このムーブは素晴らしい。遅すぎたくらいだ。だが、皆さんもご存じのとおり、この新機能を紹介するアンバサダー的な立場の有力ブロガーに僕は選ばれていない。声すらかけられていない。2003年からはてなを使い続け、noteにも浮気せず、企画で声をかけられたら「いざ鎌倉」の勢いで参加し、ほめられもせず、20年間、ひたすらダイアリーとブログを書き続けてきた僕のプライドは踏みにじ

    パパになりました。 - Everything you've ever Dreamed
  • 本牧埠頭、1995年、夏。 - Everything you've ever Dreamed

    1995年の初夏から秋にかけて、横浜牧埠頭の倉庫でアルバイトをしていた。当時、僕は法学部に通う大学生で、たまたま学生課の掲示板で目に留まったのが牧の倉庫会社のアルバイトだった。時給は1000円。すでにバイトをしていたファミレスや蕎麦屋の時給が700円台だったので、何も考えずに飛びついた。家庭の事情でお金を稼ぐ必要があったからだ。もちろん、うまい話はないのは知っていた。時給の高さはハードなアルバイトの裏返しだと覚悟していた。どれだけ酷い仕事であっても「数か月耐えればいい」「無理なら逃げればいい」と割り切って面接に臨んだ。お金を目的にはじめたアルバイトだったけれども、あの1995年の夏は、お金には換えられない意味を持つ大切な時間になったのだ。 面接5分で採用決定。研修や教育はなし。「今から行ける?」と作業服を着た社員に車に乗せられ連れていかれた倉庫で「見よう見まねで覚えて」と言われて放り

    本牧埠頭、1995年、夏。 - Everything you've ever Dreamed
  • 急で悪いけど仕事ヤメることにした。 - Everything you've ever Dreamed

    前の会社に勤めていた頃から18年ほど付き合いのある、とある会社の担当者と2年ぶりに会ったら、突然、後任を紹介された。挨拶。名刺交換。雑談以上商談未満の会話。確か、定年まで1年以上あったはず、横領がバレたのか、ハラスメントで追いやられたのか…。僕の疑問を察したかのように「家の事情で早めることにした」と彼は言った。咄嗟に「長い間、お世話になりました」と言うと彼は「何にもお世話してないよ。悪かったね」と詫びた。 そうなのだ。僕が前の会社に勤め始めた頃から、つまり品業界に転職してきた頃から、何年も通って話をしてきたけれど、残念ながらいまだ契約に至っていない。辞めていく彼が、源義経を守護する武蔵坊弁慶のごとく、契約の前に立ちはだかって薙刀を振るいまくっていたのだ。 ナギナタマンの第一印象はマジで最悪。「御社とは取引しないから」。コンペの結果通達はそれだけ。わざわざ呼び出してその一言。「なんて冷血な

    急で悪いけど仕事ヤメることにした。 - Everything you've ever Dreamed
  • 飲食店の自粛が地獄すぎる。 - Everything you've ever Dreamed

    突然だが、飲店に対する自粛要請が産み落とした二つの地獄についてお話したい。僕は神奈川県在住の品会社営業マン。今日は、取引先(ブライダルとレストランのオーナー)と今後の仕事について、いつもの喫茶店で軽く打合せをした。神奈川県。飲接客業。どうしたって話題は緊急事態宣言になる。明るい話題はない。昨日(1月25日)、感染者数が減少していたのを受けて「ようやく光が見えてきたかもしれないですね」、僕が話を振ると彼は暗い顔で「最悪だよ。緊急事態宣言が解除されてからのほうがむしろ怖い」とオーナーは言った。営業時間が元通りになれば、次第に客足が伸びて売上も回復する。その一方で、飲業をターゲットにした緊急事態宣言の効果が出たということは、飲が感染の主原因であることが確定ということでもある(と一般人は受け止める)。 感染防止のため、自粛して我慢して協力してダメージを受けているのは飲業なのに、悪者にさ

    飲食店の自粛が地獄すぎる。 - Everything you've ever Dreamed
  • 僕たちは五輪をあきらめない。 - Everything you've ever Dreamed

    未来の話だ。2681年夏、東京。巨大スタジアムのメインスタンドの前にジャージ姿の老人が立ち尽くしている。老人が立っているのは、セパレートレーンのスタート地点だ。スタンドには誰もいない。スタンドだけではない。スタジアムには老人以外の人影はない。彼の傍らにはタイムを競うライバルもいない。弱り切った彼の足腰は、陸上選手のようなスタート姿勢に耐えられなくなって久しい。老人は「よ~いドン!」と囁くように声を出して走り出した。一歩。二歩。その走りは、後の散歩のようだ。歩みは遅い。それでも彼は確実にゴールへ向かっていた。25mを過ぎたところで、老人はバランスを崩した。転びそうになる彼を支えたのは、学生時代、スポーツに挫折した記憶への反抗心だったかもしれない。失速した老人は立ち止まって目をとじた。耳を澄ませた。人々の声が聞こえる気がした。歓声。喧噪。その音は、スタンドより遠くから聞こえた。彼はかつて行わ

    僕たちは五輪をあきらめない。 - Everything you've ever Dreamed
  • 敗北事業を黒字化させたら上層部からイヤな顔をされました。 - Everything you've ever Dreamed

    「たいしたことないですよ」謙遜のつもりの言葉が、屈辱の言葉になってはねかえってきて、今も僕の心を苛んでいる。 10月中旬。冷凍おせち事業の担当者が体調不良で倒れた。後任選びは難航。なぜなら一昨年、昨年と2年連続でおせち事業は数値目標を達成できず、社内で問題になったのを、部課長クラスなら誰でも知っていて、かつ、今シーズンも担当者が倒れた時点では芳しいものではなかったからだ。進んで手をあげるのは馬鹿であった。しかし、僕が代理として任されることになった。馬鹿ではない。部門長会議における一部上層部の計略で任されることになってしまったのだ。「これまでの方法ではうまくいかない。法人向け営業に長けた営業部の血を入れて販売を抜的に変える」が表向きの理由。「うまくいかない事業を押し付けたい。失脚させたい」が真の理由であった。 家庭用おせちのセールス経験ナシ。前年までのノウハウ(販路)は当てにならない。予算

    敗北事業を黒字化させたら上層部からイヤな顔をされました。 - Everything you've ever Dreamed
  • まるでコーヒーのおかわりを頼むように、妻は「離婚しましょう」と言った。 - Everything you've ever Dreamed

    離婚しましょう」奥様は言った。水曜午後8時。国道沿いのファミレス。道路に面して並ぶボックス席に、僕ら以外に客はいなかった。ヘッドライトが線になって右から左から僕らの前を通り過ぎていく。僕らは、お互いに、言うべき言葉を不発弾のように抱えていた。目の前には冷めたポテトフライとまだ温かいホットコーヒー。沈黙を破ったのは奥様だ。「離婚しましょう」まるでコーヒーのおかわりを頼むような言い方だった。 他人事みたいに言うなよ、と僕は言いたくなったが堪えた。感情を丁寧に排除することで、一時の感情に流されず、理性と意志で下した判断であることを、聞き手にわからせる意図が言葉から垣間見えたからだ。そして「別れを重いものにならないようにしたい」という気づかいが痛いほどよくわかったからだ。彼女はコーヒーカップを両手で包んでいた。何か大事なものを守っているように見えた。それが二人の過ごした時間であったらいい。 「も

    まるでコーヒーのおかわりを頼むように、妻は「離婚しましょう」と言った。 - Everything you've ever Dreamed
  • 会社には絶対にしくじってはいけない選択がある。 - Everything you've ever Dreamed

    社長からランチに誘われた。サシである。「来たな」と覚悟を決めた。社長は気になる人間をランチに誘って振るいにかけるとは社内では有名で、僕がサシ・ランチに誘われるのは入社3年で初めてである。我が社は社長派と常務派で争いが続いている。若返りをはかりたい社長と古参の上層部の対立である。 つまり、サシ・ランチはただのランチではなく、踏絵なのだ。社長からの質問に対して的確に答えなければ、最悪、失脚。僕と社長とのランチを聞きつけた古参社員から、ちょっと耳に入れておきたいことが、と話を持ちかけられた。その人は、もともと常務派で僕のことを目の敵にしていたけれども、とある案件でしくじって、トカゲの尻尾のごとく切られて、今は僕の部下として働いている。元々の敵である僕の部下になってしまったうえ、60を越えて初めての新規開発営業の仕事をさせられているせいで、すねてしまい、日常的に反抗的でヤル気のない不良債権と化して

    会社には絶対にしくじってはいけない選択がある。 - Everything you've ever Dreamed
  • 老舗料理屋のテイクアウトを手伝って「自粛要請」「新しい生活様式」のぶっ壊すものが見えてきた。 - Everything you've ever Dreamed

    僕は品会社の営業マン、一昨日、取引先の料理店の店主オヤジから、「今後のことについて話し合いがしたい」と連絡があった。今のオヤジさんが三代目の古い日料理屋。新型コロナの影響で売上が激減したため、先月、相談を受け、アドバイスをした。「今は、何よりも売上です」といってテイクアウトを提案。オヤジさんは口数の少ない人で「…やるしかないか」と了承。あまり気乗りしない様子であった。切羽詰まっていたのでポンポンと話をすすめた。計画立案。テイクアウト用容器の手配。宣伝。ときおりオヤジさんが何か言いたいことがあるけど言えない様子を見せた。気になったが、それ以上に時間がなかったので話を進めた。魚料理が売りの料理店であったけれど、生ものは避けた。オヤジさんが考えたメニューは高級すぎたので「こだわりはわかりますけれど、今は、こんな時代なので」つって、ランチタイムにあった内容に変えてもらい、価格を抑えた。「今は」

    老舗料理屋のテイクアウトを手伝って「自粛要請」「新しい生活様式」のぶっ壊すものが見えてきた。 - Everything you've ever Dreamed
  • 現金10万円一律給付の正しい使い方と、受け取り拒否の悪影響について。 - Everything you've ever Dreamed

    現金10万円現金給付が決まった。全国民へ一律に給付される。金額や時期について色々な意見はあるが、給付自体は良い施策だと思う。ベストではないがベターだ。興味深いのは、一律給付つってんのに、受け取りを拒否する人がSNSやメディアで見られたこと。「自分は生活に困っていないから、当に困っている人に使ってもらいたい」という理由である。純粋に、素晴らしい、立派だ、と思った。辞退した10万円を、国が当に困っている人のために使ってくれると考えることができる、そのオメデタサが素晴らしい。ご立派である。 普通に考えれば、受け取り拒否に対して、政治家は「このお金は必ずしかるべきところに給付します」と表向きにいいながら、「想定されたよりも実際に給付にかかった費用が少なくて助かったー」と捉えるだけだろう。もしかしたら「一律支給といっているのに、辞退する人が相当数出ているなら、次からは支給制限をしていくべきだろう

    現金10万円一律給付の正しい使い方と、受け取り拒否の悪影響について。 - Everything you've ever Dreamed