トップ > Chunichi/Tokyo Bookweb > 書評 > 記事一覧 > 記事 【書評】 「健康第一」は間違っている 名郷 直樹 著 Tweet mixiチェック 2014年10月5日 ◆限りある医療をどう分配 [評者]山岡淳一郎=ノンフィクション作家・東京富士大客員教授 挑発的な本である。「長生きを目ざすのは間違っている」で始まり、保健データを示し、日本人の生活習慣は改善されており、心疾患やがんが増加する要因は長生きだと指摘。健康欲をコントロールして死を受け入れる選択肢を持て、と説く。 正直に言えば、読み始めてすぐ、死生観は医療だけで決まるものではない、個人の心の領域に価値観を押しつけられたくない、この種の議論は医療費抑制論に短絡され「貧乏人はさっさと死ね」という極論に結びつけられはしないか、とやや違和感を覚えた。 しかし、読み進めて蒙(もう)を啓(ひら)かれる。「健康第一