米シリコンバレーでコンサルティング会社を起業し成功した著者が、ネットの現在とそれが今後の社会にもたらす変化について論じた本だ。本書が読者をつかんだ理由を、発行元の筑摩書房の担当者は、「ネットを閉じた世界としてではなく、私たちの生活やビジネス、社会全体を変えるものとして伝えたところが評価された」と見る。 ひとつの鍵は情報技術分野での「チープ革命」。コスト下落が進むことによって「世界全体でいえば一〇億人規模の人々」が自己表現のための道具を手に入れ「今とは比較にならないほど厖大(ぼうだい)な量のコンテンツの新規参入」が起こる。 そうした大量の情報をさばき受け手に届ける技術も進歩している。具体的には、検索サービスなどを提供する米グーグル社の成功だ。同社の理念は「増殖する地球上の厖大な情報をすべて整理し尽くす」ことだという。著者はそれを「知の世界の秩序」の再編成だと言う。 その他、ソフト開発の手法や