10年前のサウジアラビアでテレビのニュース番組を見たとしたら、画面には王国の未来を守ろうと決意し、改革に熱心な比較的若い王子の姿が映っていただろう。当時、ムハンマド・ビン・ナエフ王子は一族の前面に立ち、サウジにとって最大の緊急課題だったテロリズムの対策にあたっていた。同王子は聡明でマスコミ通なうえ、野心家でもあった。彼が王座に就きたがっていることはほとんど疑う余地がなかった。 昨年の4月、同王子の叔父にあたるサルマン王が国王に即位してから4ヵ月後、同王子は皇太子となった。これはサウジアラビアがそれまでの伝統と決別したことを示す劇的な出来事だった。 これまでの国王6人(第2代から現国王まで)はすべて、建国者である初代国王の息子だ。息子たちは今も数人が健在であり、王位継承者の列に加わっている。だが、ムハンマド・ビン・ナエフ王子の立太子により、今後の王位は初代国王の孫世代となる「第3世代」が継承