今から20年近く前,私が初めて経験した「会社」は,とても活気があるところだった。アルバイトとして勤務していた営業所では,社員が朝早くから出社し,現在の顧客や見込み顧客に電話をかけまくっていた。アポイントが取れると,次はプレゼンテーションに向けて深夜まで資料作り。期末ともなると山のように届いた契約書を経理担当者が処理していった。 営業目標に届けば「本日,目標に到達」と掛け声がかかり,営業成績をグラフ化したパネルには花が飾られた。時には苦情も舞い込んだが,それを上司や同僚に相談しながら解決していった。「これが会社か。早く社会に飛び出したい」と大いに刺激を受けたことを思い出す。 それから20年,営業部門の職場環境は様子が大きく変わったと聞く。企業によって多少差はあるものの,いずこも格段に静かになったそうだ。これは,決して顧客とのやりとりが少なくなったからではなく,電子メールと携帯電話の普及により