■中上健次は「バッファロー・ソルジャー」がかかっていればご機嫌だった 中上紀氏(以下、中上):あの、中上健次(※1)がご迷惑おかけしまして申し訳ありません。今日はよろしくお願いします。すごく緊張してます…… 笑顔で出迎えてくれたのは「AiLARA」二代目ママの古田そのみ、同店の歴史を紐解いた本『AiLARA「ナジャ」と「アイララ」の半世紀』をまとめた作家の泉美木蘭、そしてビール瓶を投げられた張本人で「AiLARA」の名物DJであるコージ。 DJコージ氏(以下、コージ):今さら来て謝られても(笑)。中上健次さん本人が謝ってくれたので十分ですよ。もともと仲悪いわけじゃないからね。 事の顛末はこうだ。店が閉店した朝方のこと。AiLARAへ飲みに来ていた中上健次はかなり酔っており、店の席にまだ座っていた。そして突然、DJブースにいたコージに「ボブ・マーリーをかけろよ、コージ!」と言うが、店はもう閉