(歴史ライター:西股 総生) 命の危険すら危惧されるレベル (前稿から)戦国関東を代表する名城とされる八王子城の最大の問題点は、城歩きのビギナー向きではない、ということに尽きる。多くの人がこの城を訪れること自体は別に問題ではなく、いや、むしろ歓迎すべきことなのだが、山城として要害堅固な八王子城は、ビギナーにはお薦めできない。
(歴史ライター:西股 総生) 命の危険すら危惧されるレベル (前稿から)戦国関東を代表する名城とされる八王子城の最大の問題点は、城歩きのビギナー向きではない、ということに尽きる。多くの人がこの城を訪れること自体は別に問題ではなく、いや、むしろ歓迎すべきことなのだが、山城として要害堅固な八王子城は、ビギナーにはお薦めできない。
習近平国家主席は毛沢東の真似をして重要産業を内陸部へ強制移動させようとしている?(写真:AP/アフロ) 中国で、習近平政権が広東省から四川省に工場などを大移動させる計画を進めているとの噂がネットで駆け巡っている。その数、1500社あまり。沿岸部から内陸部への基幹産業の大移動は毛沢東時代にもあった。当時は旧ソ連や米国の核の脅威から守る、という名目だったという。その再来ならば、戦争の準備ということか? (福島 香織:ジャーナリスト) 中国のネット上で最近話題になっているのは、広東省の1500社余りの工場が内陸の四川省に移転させる計画が進行中だ、という噂話だ。もし本当なら、広東省40年以来の大産業移転計画ということになる。 あながち単なる噂と笑い飛ばせないのは、毛沢東時代も、沿海部の国家基幹産業を旧ソ連の核の脅威から守るという名目で強引に雲南など内陸部に移転する三線建設政策をとったことがあり、毛
(柳原 三佳・ノンフィクション作家) 自殺や他殺、特殊清掃が必要となるような「人の死」が発生したアパートやマンション、一戸建てなどの不動産物件のことを「事故物件」といいます。事故があったことを知らせずに売ったり貸したりすることはできません。 販売者は発生から3年が経過するまで、入居希望者にその事実を告知することになっており、国土交通省が出している『宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン』には、買主や借主にとっての「心理的な欠陥(瑕疵)」を考慮する必要性について、その趣旨や背景が詳細に記されています。 では、車における「事故物件」、たとえば、ドライバーや同乗者が交通事故で亡くなったり、車内で排ガス自殺を図ったりした車、また、人を死傷させた加害車両などは、中古車市場でどのように扱われているのでしょうか。 車の場合、「人の死」が絡んでいても告知する義務なし 実は、中古車販売時には
中国・北京の人民大会堂において開催された「中国アフリカ・フォーラム」の開会式で習近平国家主席が演説。その様子を映し出すメディアセンターのスクリーン(2024年9月5日、写真:AP/アフロ) この夏に中国人の経済や国の将来に対する見方が大きく変わった。富裕層から庶民まで多くの人々が、バブルが崩壊したと思うようになった。今年(2024年)の春頃までは、バブル崩壊と言われてもそれを西側が流す陰謀論として信じない人も多かったのだが、今は誰もがバブル崩壊を確信している。 なにがこの変化をもたらしたのだろうか。原因は複合的であり、多くの事象が重なって先行きに対する自信が失われたものと思われる。 動静不明になった習近平 ここである中国人から興味深い話を聞いた。それは人々の将来に対する見方が習近平の健康問題に関連しているとする説だ。秦の始皇帝以来、中国は皇帝が統治する国である。人々は意識してはいないのだけ
政府による補助金投入を受け、熊本に台湾TSMCの新工場が建設された。また、新会社ラピダス(Rapidus)が政府の全面支援のもとに設立されるなど、日本の半導体産業復活に向けた動きが活発化している。半導体の重要性が世界でかつてないほど高まっている理由とは。日本の半導体産業はどうすれば復活できるのか。2024年7月、書籍『2040年 半導体の未来』(東洋経済新報社)を出版した政府の経済安全保障関連の審議会委員であるとともにラピダス社外取締役でもある小柴満信氏に話を聞いた。(前編/全2回) ■【前編】日本半導体に「千載一遇のチャンス」到来、ラピダスを批判する人が知っておくべき「技術の転換点」とは?(今回) ■【後編】理研の量子コンピュータ「叡」の革新が「日本半導体の未来」を照らす納得の理由 <著者フォロー機能のご案内> ●無料会員に登録すれば、本記事の下部にある著者プロフィール欄から著者をフォロ
はじめに 2022年2月24日にロシアの侵攻により勃発したウクライナ戦争は既に3年目に突入、8月11日には900日を超えた。ウクライナの奮戦も見られる中、戦線の膠着が報道されている。 この間、北大西洋条約機構(NATO)にスウェーデンおよびフィンランドが加盟し、NATOの加盟国は32か国となった。 今後、NATOはロシアの脅威をどのように見積もり、集団防衛のための態勢を整備していくのであろうか。 NATO加盟国の中でも、主要な兵力供給国であり、EUを牽引する経済大国のドイツは、「時代の転換点(Zeitenwende)」として国防費を大幅に増加させ、ウクライナへの軍事支援を拡大してきた。 そのドイツの連邦軍のトップであるカーステン・ブロイヤー(Carsten Breuer)連邦軍総監は、2029年にロシアがNATO加盟国に対し攻撃を開始する可能性を見積もり、それまでに真に戦争を遂行できる連邦
“蓮舫ショック”は、まだ尾を引いているのか。野党第一党・立憲民主党に明るい話題がない。秋に代表選が控えるものの、自民党総裁選の陰に隠れ、立候補が取りざたされる名前にも新鮮味が感じられない状況だ。立憲民主党はこのまま沈んでいくのか。維新や国民民主など、他の野党勢力との連携はどうなるのか。衆院議員として立憲民主党や国民民主党に身を置いた弁護士の菅野志桜里氏に、野党のいまと展望を聞いた。 「変化を託そうと思えない」 ――立憲と共産が推した蓮舫氏が3位に沈んだ都知事選を受け、Xに<「何が原因か分からない」幹部たちが、立憲民主党の時代感覚を圧倒的にズレさせている>と投稿されました。 菅野志桜里氏(以下、菅野氏):立憲民主党が左傾化を強める方向に危機感を持っています。 民主党が2009年に政権を取ってから、もう15年が経ちました。国民から「失敗」という評価をいただいたあと、立憲が本当の意味で変化を見せ
“蓮舫ショック”は、まだ尾を引いているのか。野党第一党・立憲民主党に明るい話題がない。秋に代表選が控えるものの、自民党総裁選の陰に隠れ、立候補が取りざたされる名前にも新鮮味が感じられない状況だ。立憲民主党はこのまま沈んでいくのか。維新や国民民主など、他の野党勢力との連携はどうなるのか。立憲民主党、国民民主党の元衆院議員で弁護士の菅野志桜里氏に、野党のいまと展望を聞いた。 ◎前編:“立憲の左傾化”菅野志桜里が抱く危機感「次の選挙を失ってでも、共産とは一線を」蓮舫ショックで変われるか? から読む 立憲に欠く「統治ライセンス」 ――自民党は下野を経験して、政権交代を2度と繰り返さないために、政権運営や選挙におけるずる賢さを身に付けた印象です。一方で、立憲民主党は教訓として生かせているものがないようにも見えます。 菅野志桜里氏(以下、菅野氏):国民世論がいまの自民党政権に満足しているわけではまった
昨年夏、2018年に沖縄近海の光ファイバー海底ケーブルから中国製の盗聴装置が発見されていたことが在沖縄米軍向け英字誌の指摘で明らかにされ、防衛・通信関係者に衝撃を与えた。だがこのときクローズアップされた海底ケーブルの脆弱性について、その後の日本の対策は十分とは言えない状況が続いている。もし「台湾有事」となれば、海底ケーブルの“脆さ”は日米台、ひいては背後に北朝鮮を抱える韓国などにも致命傷となりかねない。日本の大手民間電気通信事業者OBもこう警鐘を鳴らす。「民間任せではもう限界。重要インフラとして国を挙げて防護、管理を進め、近隣国・地域とも協力する必要がある」――。 “むき出し”の超重要インフラ 「米軍基地の電話線ルートなども含め全容を把握している」 那覇市内で筆者のインタビューに応じた大手民間電気通信事業者OBはこう切り出した。 彼が一例として挙げたのが沖縄本島勝連半島先端に位置する海上自
東京都知事選への立候補を表明している蓮舫氏に対し、怒涛のような攻撃が向けられている。「蓮舫いじり」が沸きに沸く状況で、SNS上では「#蓮舫パニックおじさん」というハッシュタグまで登場した。告示を目前にあふれる蓮舫批判に対し、元毎日新聞編集委員でジャーナリストの尾中香尚里氏は「日本政治の劣化が見て取れる」という。蓮舫氏に向けられている3つの攻撃をもとに、尾中氏が解説する。(JBpress) (尾中 香尚里:ジャーナリスト、元毎日新聞編集委員) 蓮舫氏への“罵詈雑言”から見えるもの 「七夕決戦」となる東京都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)は、まれに見る「与野党ガチンコ勝負」の構図となった。 3選を目指す現職の小池百合子知事を自民、公明両党が支援し、新人の蓮舫参院議員を、出身母体の立憲民主党、共産党、社民党が、それぞれ支援する。ここまで明確な「与野党ガチンコ対決」の様相を呈する都知事選は
本格的な侵略を受けたら日本の弾薬は2週間ももたないという試算がある(写真は令和5年度富士総合火力演習、陸上自衛隊のサイトより) テレビ画面に映し出されるウクライナの被災者の痛々しい姿や廃墟と化した家並みを見るにつけ、戦争の悲惨さを感じずにはいられない。 2月19日には日本とウクライナの政府などがウクライナの戦後を見据えた「日ウクライナ経済復興推進会議」を開いた。 国際機関などの試算では復旧・復興需要は少なくも4110億ドル(約60兆円)に上るとされ、ウクライナの国家予算の何年分にも相当する。 多くの戦死傷者と破壊しかもたらさず、国民を塗炭の苦しみに追いやる戦争はなんとしても避けなければならない。 そうした思いが募っていた矢先の昨年後半にはハマスがイスラエルを攻撃して新たな戦争が始まった。 ガザ地区から逃げ惑う無辜の人々、そして犠牲者が日々増大していくさまを見せつけられている。戦争はどんなこ
2022年5月上旬ドニプロ/イジューム戦線でタンク攻撃で負傷した兵士。「あなたにとって平和とは何か」と聞くと、負傷した腕をあげて「勝利!」と答えた(香港人フォトジャーナリスト、クレ・カオル氏撮影) 拡大画像表示 東京で開かれたウクライナの戦禍を伝える写真展で、私のすぐそばにいた女性が、小中学生と思われる2人の子どもにこう語りかけた。 他国に侵略されたら「抵抗せずに降伏する」が賢明な選択なのか? 私とその母子3人が見ていたのは、ロシアとの戦闘で重傷を負い、病院のベッドに横たわるウクライナ兵士の写真である。キャプションには〈「あなたにとって平和とは何か」と聞くと、負傷した腕をあげて「勝利!」と答えた〉とあった。 母親が子どもに「逃げろ」と言うのも理解できなくはないと思いつつ、写真に写る兵士の決然とした表情とのギャップが、違和感となって私の中に広がっていった。ウクライナの状況を多少なりとも知る私
私たちが日常生活を営む上で不可欠な仕事に従事する人たち=エッセンシャルワーカーが、コロナ禍で大きな注目を集めた。 その多くは報酬が低く、劣悪な労働環境にある。一方、コンサルティングなど「特になくてもかまわないが報酬の高い」仕事もある。いわゆる「ブルシット・ジョブ=クソどうでもいい仕事」だ。 この不均衡を是正するにはどうしたらよいのか。筑波大学人文社会系教授の田中洋子氏が上梓した『エッセンシャルワーカー 社会に不可欠な仕事なのに、なぜ安く使われるのか』(旬報社)から一部抜粋する。 >>後編:ドイツのマクドナルドには正規/非正規雇用の区別なし、全員が「正社員」待遇 これまでもスーパーマーケットの従業員やトラックの運転手は、毎日当たり前のように社会を支えてきたが、その仕事の重要性が社会に明確に意識されることはほとんどなかった。2020年の世界的な新型コロナウイルスの感染拡大への緊急対策として社会
(山本一郎:財団法人情報法制研究所 事務局次長・上席研究員) 2024年の幕開け早々、能登半島北端の輪島市、珠洲市周辺を襲った巨大地震。山がちな半島特有の地形や寸断された隘路に悩まされていましたが、ホバークラフトが投入されるなどして、ようやく被災地に暮らしていけるだけの物資が輸送できるようになってきました。 大型の余震や豪雪などの悪天候もあり得る中で、ギリギリの人命救助や輸送作戦も行われています。石川県の皆さんだけでなく、応援に入られた各都道府県消防・防災ご担当者や防衛省・自衛隊、海上保安庁および電力会社や通信会社、医療関係者ほか各民間の皆さんのご努力には本当に感謝に堪えません。 総理の岸田文雄さんも、巨大地震発生の報が入るや発生1分後には対策室を設置。5分後には関係部門への指示出しを行うなど、きちんと初動の対策に力点を置き、状況把握や人命救助、物資輸送に尽力されました。 石川県知事の馳浩
JBpressで掲載した人気記事から、もう一度読みたい記事を選びました。(初出:2023年2月27日)※内容は掲載当時のものです。 (作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎) 東京・上野動物園で生まれたジャイアントパンダの「シャンシャン」が、所有権のある中国に返還された。その惜別フィーバーぶりも、中国でのパンダ事情を知れば日本人も少しは興ざめするかもしれない。その前に、中国の食事情について。 足が4本のものなら机と椅子、飛ぶものなら飛行機、それ以外のものなら、なんでも食べるという中国。“食は広東にあり”と言われる広東省広州市に初めて入った時のことだ。 あるレストランの前に深いスリットのチャイナドレスを着た若い女性がメニューを抱えて立っていた。 「どれでも好きなものを選んでいいのよ」と言って微笑むから、見ると店の入口の脇には上下2段で横に伸びる集合住宅のような鳥小屋が設置されていて、そこにはハト
「原爆の父」として知られる米国の科学者、オッペンハイマー。その生涯を描いた伝記映画『オッペンハイマー』が世界公開から数カ月遅れで2024年に日本で上映されることが決定した。同作は、広島・長崎への原爆投下による凄惨な被害状況を伝えるシーンが出てこないことや、米国人の原爆軽視が疑われる「バーベンハイマー」騒動などにより日本上映が見送られていた作品。原因となった騒動を振り返ってみると、米国人と日本人の間の圧倒的な価値観の違いが見えてくる。 (杉原 健治:フリーライター) 世界興行収入は1300億円超の大ヒット 2023年12月7日、映画配給会社のビターズ・エンドはクリストファー・ノーラン監督の映画『オッペンハイマー』を2024年に日本で公開することを発表した。ネット上では「もう観れないかもと諦めかけていたから嬉しい!」「『オッペンハイマー』見たさにアメリカ旅行を本気で考えてた。配給会社さんありが
米紙ワシントン・ポストは8月7日、元米政府高官ら日米両政府の関係者への取材をもとに、中国人民解放軍のハッカーが日本の防衛省の機密情報を扱うネットワークに「深く、持続的にアクセスをしていた」と報じた。 その報道内容は次のようなものだった。 「米国家安全保障局(NSA)が2020年秋に察知し、マット・ポッティンジャー大統領副補佐官とポール・ナカソネNSA長官が東京を訪問し、『日本の近代史で最も深刻なハッキングの一つだ』と日本側に警告した」 「ただ、その後の日本側の対応が十分でなかったことから、2021年11月にはアン・ニューバーガー米国国家安全保障担当副補佐官が来日し対策を促した」 「また、米サイバー軍は被害の確認や中国のマルウエア除去に向けた支援を提案した」 「しかし、日本側は自国の防衛システムに『他国の軍』が関与することに警戒感を示し、日米双方は日本が民間企業にシステムの脆弱性を評価させ、
(国際ジャーナリスト・木村正人) 徴兵逃れの不正112件、容疑者は33人 [ロンドン発]「本当の戦争を知っている人が地域の徴兵センターを運営すべきだ」―ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は11日、徴兵逃れの不正により国民と西側支援国の信頼を根本から揺るがせたとして各州の徴兵センターの責任者24人を全員解任した。6月4日に始まった反攻が消耗戦に陥る中、国民や兵士の士気を削ぐ大スキャンダルだ。 ゼレンスキー氏は国家安全保障・国防会議で国家捜査局、保安庁、内務省、検事総長、国家腐敗防止庁、国家反腐敗局から州徴兵センターの責任者である軍事委員に対する査察の報告を受けた。それによると州徴兵センター職員の刑事責任を問う案件は合計112件、容疑者は33人もいた。オレクシー・レズニコフ国防相が交代するとの報道もある。 「ドネツク、ポルタヴァ、オデーサ、キーウ、リビウなどで州や市、地方の軍事委員
そうした中でマイナンバーカードが現状でどれだけ役に立たないか、私がつい最近体験したあまりにバカバカしいエピソードを披露してみたい。 マイナカードがあれば戸籍証明書もコンビニで取得できるはずなのに… 個人的な事情から戸籍を証明する書類が必要になった。8月に入ってからのことだった。 マイナンバーカードはすでに取得済みだ。これさえあれば、近所のコンビニエンスストアで戸籍証明書(戸籍謄本・抄本)や住民票の写しは取得できるはずだった。役所の窓口で交付されるより、手数料も安く済む。 ところが、本籍地を置く東京23区の区役所のホームページを覗くと、マイナンバーカードを利用したコンビニ交付サービスで取得できる証明書は「住民票の写し」「印鑑登録証明書」、それに「特別区民税・都民税課税(非課税)証明書」「特別区民税・都民税納税証明書」だけしかなかった。 おかしい。国の説明やネット上の宣伝では「戸籍証明書」も取
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