池田氏や生島氏の記事を中心に、消費税の段階的増税の議論がアゴラで盛り上がってきた。この議論の背後には「消費税の段階的引き上げは貯蓄課税と同等の効果をもつ」という性質がある。 この性質は直感的には自明であるが、重要な性質であることから、補足としてそのメカニズムを簡潔に説明する(注:少々数式が登場するがご容赦を)。このメカニズムは拙著『2020年、日本が破綻する日』でも概説しているが、この理解を深めるには、現役期と老齢期の2期間を生きる、ある個人を想定するとよい。 この個人は、現役期に賃金(W)を稼ぎ、その一部を現役期に消費(C1)し、残りを老後のため貯蓄(S)する。そして、老後は、その貯蓄と利息をベースに老齢期の消費(C2)をする。このとき、現役期の消費税率をt1、老齢期の消費税率をt2、金利をrとすると、以下の関係式が成り立つ。 現役期: (1+t1)C1+S=W …*1 老齢期: (1