むかしむかし、ある海辺の小さな村に、みかんの木を育てているおじいさんが居ました。 その頃はまだ、みかんの木を育てているのは、そのおじいさんだけでしたが、 そのみかんの木から採れるみかんは、とてもおいしく、村で評判でした。 ある秋の日、おじいさんは、実ったみかんを、遠くの街の市場に持って行きました。 おじいさんのみかんはたちまち評判になり、とても高い値段で取引されるようになりました。 喜んだお爺さんは、それからせっせとみかんを市場に持っていくようになりました。 ひと冬が終わって、春が来るころには、おじいさんは、家を建て替えられるほどのお金を儲けて、 たいへんなお金持ちになっていました。 村の人々は皆、おじいさんを羨みました。 「いいなぁ、僕もみかんを育てて街で売って、お金持ちになりたいなぁ」 そういう人たちに、おじいさんは快く協力し、みかんの木の育て方を教えました。 村では皆がみかんの木を植